第2回 シードル
1.なぜ、シードルか

 2作目はシードルである。なぜ、シードルなのか。
 本格的なビール造りの準備はまだ整っていない。しかし、このあいだ造ったビールの熟成を待つだけではつまらない。簡単にできて、しかもおいしいもの、手のあまりかからないもの、と考えた結果である。まあ、本格的なビール作りの前の、軽い肩慣らしというところか。幸い、東急ハンズでワイン酵母を入手してある。以前、製菓用イーストを使った時のような失敗はないはずだ。しかも夏の暑い時期、冷えたシードルは美味いだろう。理由は、こんなところである。

2.仕込みと第1次発酵

 今回使った材料は、次の通り。
 1.ダイエーSAVINGSのアップルジュース 100%果汁 クリアタイプ 1000cc×2
 2.英国製の汎用ワイン酵母
 アップルジュースは168円×2=336円、酵母は300円で買ったが、使ったのは4分の1くらいだから75円。合計411円+消費税=432円が原価である。
 アップルジュースにもっと良質のものを使うという手もあった。しかし良質のものは概して懸濁タイプである。シードルには似合わない気がしたのである。(もっとも、発酵させれば透明度が上がるのかもしれないが。)
 まず、酵母の予備発酵を行う。コップを消毒用アルコールで滅菌し、アップルジュース100ccと、砂糖6グラムを入れて混ぜる。そこに酵母を入れ、コップをゆすってかき混ぜる。ラップで蓋をしておく。1時間もしないうちに発酵が始まり、気泡が出始めた。
 そこでこの前使った2.7リットル入りペットボトルを、例によって消毒用アルコールで滅菌し、まず酵母液、次いでアップルジュースをそそぎ込む。今回は補糖は行わない。本格的なアップルワインではなく、あくまで夏の軽い飲み物である。そもそも梅雨が明けたばかりで、連日30度を超える気候。本格的なものを求めても無理だろう。このジュースは糖分が12%なので、アルコール分6%ほどのシードルが出来ることになる。
 数時間で気泡が出始め、半日後にはあたりにリンゴの芳香が漂いはじめた。表面に気泡とともに酵母が浮き上がってきたので、軽く容器をゆすって均一にしておいた。

3.瓶詰めと第2次発酵

 4日目にはほぼ泡が消え、5日目には液全体が透明になってきた。そこで瓶詰めをする。500ミリリットル入りのカクテル用ソーダの瓶を4本用意したが、液は3本半分だった。プライミング(二次発酵)用砂糖は、ビールよりやや多め、4グラムを入れる。中身の半分しかない4本目は、熟成の様子を見るための試飲用とする。

4.試飲

 早いのはわかっているが、瓶詰めして半日後、5日目の夜に試飲してみた。酵母臭がまだ強いが、ちゃんとシードルの香りがする。もっとも、期待したほど香りは強くない。やや水っぽい感じか。しかしちゃんとシードルらしくなったのは、やはりワイン酵母のおかげだろう。(1998.8.9)

 瓶詰めの2日後、再度の試飲。もっとも試飲用のこの1本はこの間も栓を空けたので、シードルではなくただのアップルワインである。なかなかの出来だ。酵母臭も落ち着いて、香りがよくなっている。これなら、十分日常的な飲み物になる。2次発酵中の3本が楽しみだ。(1998.8.11)

 瓶詰めの12日後、3回目の試飲。炭酸の量が多く、市販のスパークリングワイン並みに泡が出る。やや酵母臭が残るものの、味・香りとも良好。これならお客さんにも出せます。(1998.8.21)

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