富山 (96/5/1-4)


東京から上高地(野麦峠)を越えて富山まで往復した、
4日間1409kmの旅の記録です。




 5月1日、フィアットフェスタを終えてやっと本格的な連休が始まりました。今年は仕事が忙しく、前日は遅く帰ってきた為に、連休の渋滞を避けるべく3:00amに出発する予定だったのが9:00amとなってしまい、案の定、国道20号は渋滞となっていました。しかし走りだすと渋滞も思った程ではなく、高尾で給油した後、12:00pmには甲府に到着しました。のんびりと昼食をとった後、塩尻まで坦々と20号を走っていきました。20号は周りを山に囲まれた空いた道で、その後19号に入って田園の中を広域農道を走り、山に向かって158号に入ります。道は完全に山合いを走るようになり、やがて梓湖沿いの連続トンネルに入ります。道は非常に空いており、対向車もほとんどなく、ハイスピードで通り抜けます。やがてトンネル内の乗鞍・野麦峠方面への分岐を過ぎると、上高地へ着きました。するとここで、通行止めの表示が!実は上高地乗鞍林道は冬期閉鎖だったのです。地図には書いてあったので分かってはいたのですが、5月にもなって閉鎖中とは思いませんでした。だから道が空いてたのか!と思いつつもすでに夕刻になっていた為、慌てて別ルートを探しました。かなり南下すると野麦街道があるのですが、それも冬期閉鎖とあります。ここで終わりか?と考えましたが、とりあえず行ってみることにしました。行ってみると通行止めは無く、無事通り抜ける事が出来ました。山はまだ雪が残ってはいたものの、通行を妨げる程では無く、暗くなる前に高山に到着しました。6:00pm、高山で晩御飯を食べた後、寝るには早いので、行けるところまで行くことにしました。ここから富山へは越中東街道(41号)と越中西街道(360号)があり、どちらも同じ様な距離なのですが、360号を選びました。2時間程走って、岐阜県と富山県の県境のトンネルを抜けると細入の道の駅があり、そこで車中泊をすることにしました。


  

「舟戸公園ゲート展望休憩所」と今は亡きロン・ヘロンの唯一の
実作品である、「錦町バス待合所」の屋根です。


 城端の「町史館蔵回廊」にて


   

大島町の2作。左は「時の館」、右は長谷川逸子氏設計の「絵本館」です。


新湊の内川にかかる「東橋」。漁港町風情でいっぱいです。


水田の中に建つ栗生明氏設計の市営団地


 道の駅で仮眠をする人は多く、熟睡は出来ませんでした。4:30amに目が醒めて出発。朝日と共に富山市街を目指し、5:00am過ぎに富山駅に到着しました。
 今回の旅の目的は「富山県まちのかおプロジェクト」を見に行く事でした。これは、海外の建築家や芸術家が富山県各所に建築物やモニュメントを建設したもので、'91から始まったプロジェクトです。
 6:00pm庄川町に着き、まず初めの「まちのかお」である舟戸公園休憩所に着きました。朝の公園には人が誰も居なくて、ひっそりとしていました。その後、アーキグラムのロン・へロンの唯一の実作品であり、遺作でもある錦町バス待合所を見た後、朝食をとり、市街を抜けて160号を北へ能登半島の氷見を目指しました。160号はオービスがありましたが快走で、あっとゆう間に到着。ここではまちのかおとは関係ありませんが、十二町潟水郷公園横断橋と長谷川逸子氏設計の仏生町小学校を視察しました。その後、午前中に富山市街に帰ってきて、再び「まちのかお」巡りです。エンリック・ミラーレスの高岡駅南口シンボルモニュメント、井波彫刻総合会館、城端の町史館、大島町時の館を見て、長谷川逸子氏設計の絵本館に行きました。その後、漁港風情があって美しい町、新湊に入って、東橋、栗生明氏設計の市営団地を見て富山駅に戻りました。まだ3:00pmでしたがホテルの予約を済ませ、昨晩よく眠れなかったので早々にチェックインして寝ました。


  

ロン・へロンの「小杉駅南口広場キャノピー(バス発着所)」とまだ雪残る
ピーター・ソルターの「上市町馬場島展望休憩所(ピーターハウス)」です。
丁度この日が開所日でした...


   

海に向かって建つトム・ヘネガンの「滑川市ほたるいか展望台」と
水田の中に建つロン・へロンの黒部市「風の塔」です。
風がとっても気持ち良い!


   

温泉の町宇奈月にあるエンリック・ミラーレスの「想影展望台」と
六角鬼丈氏設計の「まんだら遊苑」


 3日目の朝は7:00amに駅前のホテルを出発。まず、近場の小杉駅前広場キャノピーを見た後、太閤山ランドへと向かいます。太閤山ランドには葉祥栄氏設計のJETタワーや、仙田満氏設計の児童施設がありましたが、8:00amなのでいずれも開館しておらず、外観だけ見て車に乗りました。再び富山駅に戻り、給油。今度は少し山に入ります。冬期閉鎖の県道で上市町の山奥、馬場島を目指します。路肩には雪が多く残りましたが、車は少なく、10:30amには到着しました。展望所は道沿いにあるのですが、周りは深い雪に閉ざされており、何度も雪に足を取られながら漸く中に入ることが出来ました。中では町の職員が開口に打ちつけてあった木戸をはずしている最中で、「今日、冬眠から目覚めたんですよ!」と言っていました。とてもラッキーでした。2階の開口から外を見ると、丁度その方向に立山連峰の山々が見えました。感動的な風景でした。(時期的に最高だったのではないでしょうか?)帰りは道を間違えてしまい、延々ダートを走るはめになってしまいました。(こういう時に車高を下げなくて良かったって感じるんですよね...)
 一気に山を下り、滑川の海岸にある、トム・ヘネガンのほたるいか展望台に行きました。スロープ状の昇路を昇って展望台に立つと、ガラスのスクリーンの間から気持ちいい海風を感じました。この日は天気も良く、今度は8号を北上して黒部を目指します。黒部では水田に立つ巨大な風見鶏であるロン・へロンの風の塔を見た後、富山地方鉄道に沿って宇奈月に行きました。この道はさすがに宇奈月温泉へ行く観光客の為に混んでいましたが、昼過ぎに到着。エンリック・ミラーレスの想影展望台を見ました。展望台から山を見上げると、ニホンカモシカが駆け下りてくるのが見えました。8号に戻って南下し、立山方面へ向かう道へ。(この日はほんとによく走りました。)六角鬼丈氏設計のまんだら遊苑をまわって終了しました。この日は帰れるところまで行く予定でしたが、その直後、41号に向かう一般道でねずみとりに捕まってしまいました。対向車がパッシングで教えてくれていたので、慎重に走っていたのですが、40km制限の道を15kmオーバーの55kmで青切符でした。(こんな低速でも捕まるんですね...)ちょっとブルーになって、慎重に41号を高山へ。6:00pmに到着して、このまま夜の野麦峠を走るわけにもいかないので、市民公園の駐車場で、車中でシュラフにくるまって仮眠を取りました。


伊東豊雄氏設計の「諏訪湖博物館・赤彦記念館」


 翌朝、寒さと共に目が醒めた時刻は3:30am。まだ暗いのでもう少し寝ようと思いましたが寒さで寝付けず、結局暗闇の中を出発しました。野麦峠で夜が明け、美しい陽光が世界を照らしました。それと共に輝く白銀の風景!早く出発してよかったです;
 その後は行きと同じルートで帰り、途中諏訪湖で伊東豊雄氏設計の赤彦記念館を、これまた開館前だったので外観だけ見て東京に向かいました。高円寺の自宅には12:30pmに到着しました。全行程1409km、平均燃費17.3km/lでした。