東北 (96/8/15-17)


福島・仙台・花巻・気仙沼まで、東北大陸を北に縦断しました。
最北目的地は宮沢賢治の故郷イーハトーブです。




森の中の星の見えるホール(那須)


 今年の夏は東北に旅することにしました。大学時代に日本各地を旅していたのですが、東北は、北の一部十和田湖周辺と東京に近い福島までしか行ったことが無く、今回はそれを埋めるように東北を縦断して走るコースになります。今回も遅く出発した初日は、国道4号を北へ進み、行けるところまで行くことにしました。陸羽街道は東海道や山陽道とは違ってバイパスが少ない為、市街地を抜ける時は車線は多くなりますが、速度は落ちます。その感覚は甲州街道を走る感じに似ています。しかしその分、田園の中を走る豪快さはとても気持ちがいいです。那須(森の中の星の見えるホール)や福島に寄り道をしながら行ったので距離は伸びず、暗くなってしまったので、福島市街を過ぎて少し走った国道上の道端で仮眠を取りました。


  

JR白石駅そばの小川にかかる「しらさぎ橋」と
仙台市外の運動公園にある展望台のある高架水槽


山本理顕氏設計の岩出山中学校


岩出山中学校の中庭にて


宮沢賢治イーハトーブ館


 夜明けと同時に目が醒めた2日目の朝も、多くの長距離トラックと共に相変わらず4号を北に向かいます。白石市に入り、市内にある阿部仁史氏設計のしらさぎ橋を見に行って、再び4号で北へ。仙台を通り抜けて市街の運動公園にある針生承一氏+阿部仁史氏設計の展望台のある高架水槽を見に行きました。その後少し走って、山本理顕氏設計の岩出山町立岩出山中学校を時間をかけて視察。昼前になって眠くなったので公園の駐車場で仮眠。初夏の陽気は気持ちよく、すっかり寝込んでしまいました。起きて4号を一気に北へ進み、一関、江刺、北上を通って花巻市へ到着。今回の旅の最北地点です。丁度今年は宮沢賢治没後何周年かに当たり、JRがキャンペーンを行っていた為に混雑しており、渋滞に巻き込まれましたが、古市徹雄氏設計の宮沢賢治イーハトーブ館を見学してからこちらもキャンペーン中のフォルクローロ遠野へ向かいました。しかし283号はそれほど混んでなく、美しい田舎道はとても気持ちよく走れました。340号で南下、陸前高田で海岸線に出てリアス式海岸を走って夕方になって気仙沼に到着しました。ここで市内のホテルをとることにしました。


  

国際的漁港気仙沼の「海の道」
見送りデッキとブリキの鳥がとまる街灯


 

リアス・アーク美術館


森舞台・登米町伝統芸能伝承館


 3日目になり、まず朝の気仙沼漁港へ向かいました。海岸にはマグロ漁の遠距離漁船が無数に停泊し、日本最大級の漁港の風格を感じさせます。海岸沿いには石山修武氏の計画した「海の道」プロジェクトに関連した建築物やモニュメントが散在し、それらは異国の香りがするものばかりです。気仙沼は大航海時代から世界的に開かれた町であり、東京や大阪とはまた違った世界観で外国と密接なつながりをもった存在でした。遠距離漁船は遠くブラジルやオーストラリア、アラスカ、南アフリカまで航海していて、船員達は平気でブラジル語をしゃべったりします。陽気で明るく日本的で、とても国際的な不思議な町を一気に好きになってしまいました。朝食をとった後、開館を待ってこちらも石山修武氏設計のリアス・アーク美術館を見学。その後再びリアス式海岸に出て45号を南下、太平洋を後にして内陸に入り北上川沿いを走って登米町にある隈研吾氏設計の森舞台・登米町伝統芸能伝承館を見ました。45号を南下し、まだ午前中でせっかく時間も余ったのでリアス式海岸最南端に位置する牡鹿半島の牡鹿コバルトラインを走りました。太平洋がとてもきれいでした。その後、休日の観光客と共に仙台方面を渋滞の中走り、渋滞に疲れた頃、松島に到着しました。そこで道をそれて海岸を見に行きました。海岸の向こうには松のうっそうと茂った小島が点在し、道は海岸の水位に近く(まるでベニスのよう)て見晴らしよくて日本三景らしい風景でした。仙台市に入るとすでに暗くなっており、行けるところまで帰ることにして4号を南下しました。白石市外の道の駅で仮眠。明けて8/17にえんえん走り続けて昼過ぎに東京に到着しました。東北の旅は初夏の陽気と長い冬の残り香が混ざった季節の変わり目の雰囲気をたまらなく感じた旅でした。