A112 はガンガン乗って乗り倒す車だと思います。
壊れたら直せばいいとゆう気持ちでいきたいですが、
普段のメンテナンスも要求されます。
本国ではメンテナンスしながら車に乗るのは当たり前ですが、
日本ではメンテナンスは人任せで乗るだけという考え方が多いので、
戸惑う方も多いと思います。(本当は車の方が戸惑っているのでは?)
日本でこの車を購入するのは趣味も入ってくると思いますので、
趣味の範囲で手を掛けてやることが重要だと思います。
ここでは A112 特有の不調の改善方法をフォローしています。
内容は素人の見解ですので、完全なものではありません。
もちろんあくまでも参考までに、自己責任で活用して下さい。
トラブルを一つずつ解消して、快適な A112 ライフを楽しみたいですね!




エンジン・ミッション本体
タペット音(エンジン上部からカタカタ音が大きい)がする タペットカバーを開けてタペット調整をする。OHVは比較的調整がし易い。バルブクリアランスは吸気が0.20-0.30mm、排気が0.25-0.35mmであるが、これは冷却時の値である。
シフトが入りにくい もともと4速のミッションに5速を加えたAbarthはシンクロが弱い。特に頻繁に使用する3速はヘタルのが速いので注意が必要である。ガリガリ鳴りだしたらシンクロの交換が必要。クラッチ交換時などに同時にするのが良い。
シフトが突然入らなくなった
シフトの入りが悪い
シフトリンケージブッシュが突如としてはずれることが多いので、常時予備を持っていると良い。無い場合は針金等で巻き付けて応急処置をすれば走行することは可能である。
シフトダウンやエンジンが動くとコトコト音がする ドライブシャフトの先端に付いているベアリング(トリポリジョイント)にガタがでると、この様な症状になる。ラフな路面や段差等で酷使すると寿命が早い。トリポリは年式によって数種類あるので注意が必要である。壊れたまま乗り続けるとベアリングが崩壊して中のピンがミッション内部に入り最悪ロックしてしまい、とても危険である。早めの処置が必要である。
ミッションオイル漏れが多い ミッションオイルは匂いがきついのでエンジンオイルと判別しやすいが、これが漏れる場所はドライブシャフトブーツの部分である。前述のトリポリをカバーする位置にあるが、これが破れるとミッションオイルが全て流れ出てしまうので危険である。定期的(車検時位)に交換するべきパーツである。その他に中心軸のベアリングのシールからも漏れるが、これは漏れやすくなったが、ドライブシャフトブーツからでは無くなってきたら要注意!オイル漏れで高速回転させると最悪焼き付きもある。
オイルが漏れる 漏れる場所はいくつかあるが、代表的なものは、油圧計と油圧センサーの部分で、これらが割れた時。また、タペットカバーからブローバイのホースを通常はクリーナーへ返すが、キャブが詰まりやすいのではずしていることが多い。この場合、何も付けないとエンジンルーム内が煙だらけになるため、通常パイプで下部などに逃がすが、この時に燃料用等の柔らかいパイプを使うと折れ曲がってラインを塞ぐことがある。そうすると、圧が逃げなくなって、タペットガスケットを破壊して、そこからオイルが吹き出すことがある。あとは、フィルターの緩みやオイルゲージのあたりは圧が高くて漏れやすいので注意。オイルパンパッキンの所も考えられるが圧が低いので急激に漏れることは少ない。
油圧が上がらない Abarthは油圧計が付いているが、センサーが壊れると、完全に針が動かなくなる。ただ、交換前にコネクタがはずれていないかチェック。オイルによっては劣化が激しいものを使うと、すぐに油圧が保てなくなるものがある。始動直後は正常に油圧が上がるが、夏の渋滞等で油温が上がるとサラサラになり、油圧が下がる。化学合成油は比較的長期間油圧を保つものが多い。鉱物油は硬いものを選び、短期間に交換した方がベター。油圧計はオイルのバロメーターなので、ゲージで汚れを確認と同時によくチェックすること。(オイルの汚れはオイルキャップの口に指を入れて、タペットカバーの裏のオイルを取ると本当の汚れがわかる。)


電気系
タコメーターの針がピンピンはねる これは点火コイルの劣化である可能性とピックアップケーブルの断線、メーター本体の故障が考えられるが、前者の場合が多い。コイルに触れて加熱がひどい場合は交換時期である。酷くなると高回転時に吹けなくなる。濡れタオル等で冷やせば復活する。ピックアップケーブルについては下記。
バンプ等で跳ねたり高回転時に突如としてエンストする(キーをひねってもプラグに点火しない) プラグコードのはずれとピックアップケーブルの断線が考えられる。後者は、マレリのフルトラのウィークポイントで、もちろんポイントを使用するJr.等では起こらない。デスビキャップをはずすとピックアップの付け根から2本のコードが出ていて、そこが焼き切れていたり、緑青を吹いて腐ってショートしている場合がある。経年劣化と突如なることがあるので、常備すべきパーツである。
電圧降下によるアイドリング時の回転落ちが大きい 電圧降下により点火火花が弱くなることが原因である。イグナイター、ピックアップケーブル、点火コイルのチェックが必要。また、A112のオルタネーターは通常、マレリかボッシュ、またはルーカスの45Ah程度のものが装着されている。現代の国産車は軽でも70Ah以上が標準なので、電装オプションをつけすぎると、負担がかなり大きい。残念ながらボルトオンでつけることのできる国産のオルタネーターは発見していないが、ステーをつくればそれは可能である。しかし、容量を大きくすれば、その分負担も大きくなることも多く、一長一短である。バッテリーは端子さえ換えれば国産品も載る。最大で75D23まで載ることを確認済。ただ皿の大きさに個体差があるかもしれない。これは52Ah。純正は輸入車用の54459で、44Ah。
ホーンが鳴らない マイナスアースがとれているかチェックする。マイナスはマウントの金具とボディにボルトで共締めしているので、緩むと鳴らない。また、純正のFIAMMのエスカルゴホーンは良い音がするが、10年も経つと中のリード部分が腐食して鳴らなくなる。車用品店等でよく売っているFIAMMのエスカルゴホーンは純正に似た音が出るものがあるので、交換すればまた鳴るようになる。


冷却系
ヒーターが効かない これは水が足りないことが原因のことが多い。ラジエーターキャップを開けてコアの上が隠れる程度に冷却水を補充する。この時リザーバーにも水が適当に入っていることを確認する。この他にはエアボックスの横に付いているヒーターバルブが錆で固着または破損していることがある。壊れるとクーラントが漏れるので注意。特に夏期は使用しないので気づかないことも多い。
水温が下がらない 水が入っていれば、電動ファンが回っていないか、サーモスタットの固着が原因である。ファンのセンサーは以外と丈夫なので、コネクターの不良をまず疑ってみた方が良い。センサーには80度型と90度型があり、回る温度が違う。ファンが回る様であれば、サーモスタット不良であろう。固着して、弁が動かなくなると、冷却水が回らなくなりアウトである。くれぐれも定期的に冷却水は交換するべきである。
リザーバータンクとコアの間で冷却水の行き来がない この間にあるパイプは長年交換しないと、内部に錆などが溜まり、塞がってしまっていることが多い。普通に走れてしまうため、気づかないことも多いが、きれいにしておいた方が良い。また、ラジエーターキャップの不良もある。キャップは国産品が使えるので、早めに交換すべきパーツであろう。
フロント下部から水が漏れる ウォーターポンプの寿命がくると、オーバーフローから漏れてくる。手で回してゴロゴロ感じればもう寿命である。ラジエーターホースの継ぎ目からも漏れやすい。消耗品として交換すべきである。


燃料系
ガソリンを入れると室内がガソリン臭い 燃料タンクの排出口のキャップの割れが原因である。リアシートをはずし、黒い蓋をあけると、キャップが見える。割れていなくても、ガソリンを入れすぎるとここから漏れて臭うことがある。
エンジンが突然吹けなくなって、アイドリングが保てなくなる 色々な要因が考えられるが、特有なのはキャブであるDMTRのジェットホルダーの緩みである。エアクリーナーをはずして、バレルに挟まれた4本のホルダーをマイナスドライバーで締める。(締め付けすぎないこと)また、DMTRは燃料の取り入れ口の金具も緩み易い。これは打ち込み式なので打ち込むしかない。
アイドリングが高くなった 徐々に高くなった場合、エアクリーナーが詰まっている場合が多い。ノーマルのものは紙式なので交換するしかないが、薄い布式のものは、KUREのエンジンフォーミングクリーナーが良く落ちる。(ガソリンや灯油ではあまり落ちない)スポンジ式のものは専用クリーナーで洗浄する。
時々、気づいたようにアイドリング時に突然エンジンがストールする 燃料フィルターは詰まっていないだろうか?フィルターを外して正方向から吹いてみて、滑らかに吹けなければ詰まっている。汚れていなくても水が詰まっていることもあるので注意。あとは、燃料ポンプを電磁式のものに換装している場合、性能が低下すると、この様な症状が起きる。暑い場合はパーコレーションの可能性も当然ある。
冬の高速走行後などにアイドリング状態に戻すとエンジンがストールする エアフィルターをスポーツクリーナー等に換えていないだろうか?ノーマルのエアクリーナーボックスにはホットエアーとコールドエアーの切り替えが蓋で出来るようになっている。冬はホットエアーを入れるようにエキマニ上部から空気を取り入れる管(通称象の鼻)側に口を切り替えて、キャブに温風を入れて、燃焼室内のガソリン冷却による燃焼不良を防ぐようになっている。スポーツクリーナーはこのようなことを考えて作られていないのでアイジングを起こしてしまう。


足まわり関係
夜間発進時にライトが上がる(加速時にフロントが持ち上がる) リアリーフサスペンションとショックのへたりが原因である。乗り心地を残したい場合は純正パーツで交換するべき。
エンジンを回すとエンジンが前後に大きく揺れる 前述のトリポリジョイントの劣化か、エンジン下部のトルクロッドの劣化が原因である。トルクロッドはゴムが完全に壊れるとはずれる可能性もあるので要注意。木造建材用の四角ワッシャーをもっていると外側からナットでおさえて応急処置ができる。ゴムに空洞の無い、強化品もあるので、これに交換するのも良い。(壊れる程劣化すると、エンジンが動きすぎて、マフラーの継ぎ目が広がり、音が漏れることがある)
ギャップを越えるとヒコヒコ音がする 各ブッシュのへたりが原因のことが多い。とくにリアAアームにある4つのブッシュはよく劣化する。
高速等で直進安定性が悪い
ハンドルがとられる
ホイール自体の歪み、4輪のアライメントの歪み等がある。リアのアライメント調整にはシムを使用するため、調整を断る店もある。シムを持参すればok!内径10mmのワッシャーを加工することで対応できるが、厚さのバリエーションが無いので、ある程度以上の調整は無理。
ステアリングを回すと遊びが大きい
ハンドルのセンターが回す度に違う
大部分はステアリングラックブッシュの劣化である。また、タイロッドエンドブッシュ、スタビサイドブッシュも少なからず影響する。これを交換してもダメな場合は、ステアリングギアボックス内のカラーが割れているか、ステアリングギア自体にガタつきがある場合がある。


制動系
ブレーキが鳴く 稼動荷重の殆どをフロントで負担しているA112の場合、フロントディスクの負担もかなり大きい。ブレーキ鳴きが大きいのは普通であるが、これを止めるには、KURE等の鳴き止め剤をパッドの裏全面に塗付すると、止むことがある。(鳴き止め板もいいかも)新品に交換すると鳴く事が多いが、摩擦面が落ちつくと次第に鳴らなくなったり、変磨耗すると再び鳴りだしたりする。この場合は鳴き止め剤の効果は無い。ローター面が荒れていれば、思い切って交換する方が良い。
サイドブレーキの効きが悪い サイドブレーキの効きが悪いのも、特有である。力任せに引っ張っていると、切れやすいので、注意。フットブレーキを強く踏みながら、サイドを引くとかかり易い。他にもワイヤー類は切れやすいので注意。


ボディ関係
振動でドアの内張りの中から音がする ウインドウを支える、バーの付け根の溶接が折れるとカタカタ音がする。溶接し直すか、裏側に消しゴム等を両面テープ等で詰める等して留めることもできる。その他、ドアロックとノブを繋ぐ金棒がガラスに接触してビビリ音をだすことがある。この場合は金棒を少し引っ張ってやると止まることがある。(窓を上げ下げして音が変わればこれ)ヒコヒコ音は外側のプラスチックのモールがボディに摺れて鳴る音の場合が考えられる。振動等でモールを止めるボルトがはずれている可能性がある。(細いので回しすぎないこと。ねじ切る場合あり)内張りを剥がさないとこのボルトは回せない。特にリアは多少時間がかかる。内張りのピンは専用の内張りはずしを使用すれば容易にはずれて、再利用可能である。
パワーウインドウが作動しない ボディ側とドア側を結ぶ可動部分の配線や、コネクターが切れやすいので、ここを交換する。ヒューズもチェック。
大雨や洗車時に室内の足元に水が入る クーラーのホースを室内へ通す貫通孔のパッキンがはずれたり、クーラーそのものをはずして穴を塞がないとその穴から水が新入する。(以外とボンネット内にも水が漏れる)