History
量産型 A112 Abarth が誕生したのは'71年9月。 この'71年は Autobainchi 社が FIAT 傘下に入った年でもある。 (A112 自体の歴史はそれよりも古く'69年) A112 は2年後に登場する FIAT127 (X1/4) のパイロットモデルとしての 役目を持ち、ジアコーザ式のエンジンマウントを持つ初めての FF である。 A112 とゆう車名は、開発コードが X1/2 であったことに由来する。 A112 は基本構造を維持しつつも、数回のフェイスリフトを行い、 '84-'86の最終型まで生産され、以後 Y10 へと引き継がれた。 (現在の LANCIA Y は Y10 の後継モデルである。)
Abarth の製作した A112 のコンバージョンモデルは当初、 ラディアーレ・プロトティーポと称し、982ccのOHVエンジンは 2基の WEBER40DCOE を搭載して108HP/6800rpmを発生し、 680kgの車体を208km/hまで走らせる強烈なモデルであった。 '69年には90HPのストリートバージョンを発表するが量産には至らず、 初めて量産された A112 Abarth は'71年に登場し、 982cc/OHV+WEBER32DMTR の組み合わせで 58HP/6600rpm、最高速150km/hをマークした。 その後1050ccにボアアップしたエンジンは最終的に ストリートバージョンでは同じキャブで70HP/6600rpm、 最高速170km/hを発するまで進化をとげる。 '78年、その年ラリーに熱心だった FIAT は、 イタリアン・ラリー・チャンピオンシップの為に1050ccのまま 13:1という高圧縮比によって97HPまでチューンされた エンジンを載せた A112 Abarth Rally を市販した。
Abarth
最終型に至るまでの A112 Abarth はボディは別として、エンジンは TORINO CORSO MARCHE 33 にある Abarth 工場で Abarth のメカニックによって1基ずつ組み上げられた物であり、 最後の Abarth として、Abarth の歴史を語る上でしばしば登場する。 しかし、数々のラリーで好成績をおさめていることはあまり知られていない。
Grade
'69に誕生し、'71に Abarth(58HP) と E の2モデルを発表した A112 は、 '73には各所がブラックアウトされた stage2 へと移行。 '75に E を廃し、E の後継モデルである豪華仕様の Elegant と 馬力を向上させた Abarth(70HP) を発表した。(stage3) '76には排気量の小さい Juventus を発表。Abarth(58HP) を廃止した。 '77に樹脂製のグリルとライトリムが一体化した外観の 新世代である stage4 へと進化した A112 は、 '78には豪華仕様の廉価版である Juventus e Elegant や、 豪華仕様で最速版の Elegant e Abarth の2種を追加する。 その後、'79に豪華仕様の Elegantシリーズ を Appia に統合し、 '80に、それまでの Juventus を Junior に、Appia を Elite に 改称統合し、stage5 へフェイスリフトを受ける。 これが通称ヒゲ付きと呼ばれるグリルとバンパーの間に縦桟のある モデルであり、フライホイールの軽いこのバージョンは人気がある。 '82後期からはバンパーが大型化されて、stage6 となり、 '83に Elite LX を発表するが、内容にほとんど差異は無い。 '84後期に Abarth のフロントバンパーにフォグ(又はドライビング)ライト を装着し、stage7 へと最終進化をとげる。 '86まで生産された最終型のディーラーであったJAX の輸入したモデルは 主として後期型の Junior/Elite/Abarth の3種であった。 (A112 のスタイリングは FIAT 社内のデザイン部門によるものである。)
Buyer's Guide
HAWK総業が輸入していた stage5 Abarth
A112 の輸入は stage2 のAbarth から始まる。 当時のディーラーは SANDAI WORKS であった。 その後 stage5 になって HAWK総業がこれも Abarth のみの輸入を開始する。 stage6/7 の最終型になり、JAX がディーラーとして輸入をつづけたが、 JAX がイタリア車から撤退した後 (現 Duo/Fahren) は、 CHECKER MOTORS や GARAGE SASAKI (現 G.S.T.) 等で売られていた。
A.TRUCCO の OLIO カラーの stage2
パーツは、自分で探す場合、海外から個人輸入をするか、 関東では A.TRUCCO や F.L.M.C. といったショップで購入することができる。 また、前述の各ショップでも購入は可能である。ただし、パーツのみの 販売はしない店もあるので注意が必要である。 中古パーツについては個人売買や G.S.T. のパーツセンターで 手に入れることができる。(JAX のパーツセンターは閉鎖された。)
Books
待ちに待った A112 の専門書。これを読めば A112 の全てがわかる! 生い立ちからレースでの過去の活躍等、盛りだくさんの内容。 写真やかつての広告用ポスター等、資料画像も豊富で飽きさせない。 A112 びいきのイタリア人の視点で書かれた内容は、 A112 が彼等の生活に深く浸透していたことをうかがわせる。 A112 ファン必見の書。 (伊語)NADA \3,980-\6,240
言わずとしれた、唯一の整備書。 "RIVISTA TECNICA dell'automobile" シリーズの1冊。 初期の A112 の内容が主であり、後期型とはあらゆる箇所で差異が見られる。 ヘインズのマニュアル程、詳しい内容は無いものの、 豊富な絵と写真によって基本構造とパーツ構成を知る上で A112 オーナーは是非持っておきたい1冊であるといえる。 後期型については後半の数ページにその違いの一部が書かれている。 写真左は伊語、右は仏語バージョン。 (伊語/仏語)SEMANTICA SRL \4,800-\5,800
Magazine
'77/9
p47-54
'80/11
p65-70
'83/11
p113-123
'86/9
p49-57
'82/1
p45-50
'84/9
p58-61
'84/12
p62-63
'85/6
p18-28
'85/11
p98-99
'87/10
p165
'90/9
p34
'91/2
p70-71
'91/12
p44
'94/10
p40-41
'97/4
p33-39
vol.2
p46-53
vol.6
p29-34
'92/6
p136-139
'97/3
p122-129
'90/10
p76-79
'92/4
p60
p220-221
'92/3
p148-151
p38-39
'93/5
p25
'93/8
p40-44
'94/3
p33
p20-23
'97/5
p32-33
'97/8
'98/1
p192-195
'94/6
p77-87
'96/1
p52-53
p130-132
Technical Information
restore A112
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