マスコミ時評バックナンバー(96.04‾05)



'96.5.30 日本経済新聞

 アスキーの取締役4名が退社。
 表向きの理由は「社長との意見の相違」だそうだが、西社長は「スクウェアに引き
抜かれた」という主旨のコメントを出していた(のちに、スクウェアという固有名詞
は引っこめた)。まあ私にしてみれば、それはあまり肝心なことではない。
 肝心なのは、その取締役の中に、小島文隆氏と塩崎剛三氏の名前があったことだ。
 一応説明しておくが、小島氏といえばかつてのログインの名物編集長にしてファミ
通の初代編集長。塩崎氏といえばファミ通の二代目編集長にして「東府屋ファミ坊」
のペンネームで知られるウッドボール*な人である。かつてのコンプティーク誌にお
ける、佐藤辰男氏のような立場の方々なのだ。
 なぜ私がここでコンプティークを例えに挙げたか、勘のいい方ならもうおわかりだ
ろう。佐藤氏が角川を退社したとき、角川メディアオフィスのメンバーのほとんどが
一緒に退社しているのだ。かくして角川は分裂し、メディアワークスという新しい出
版社ができた。現在では両社は友好関係にあるようだが、分裂体制は依然続いている。
 万が一これと同じことがアスキーで起こったら・・・。ゲーム業界でこれほど重要
な位置を占めるファミ通やログインが、分裂という事態に追いこまれれば、業界全体
が甚大な被害をこうむることになるのは明らかだ。
 角川とは事情が異なるし、社長と取締役との間で話し合いの場が設けられていると
いうから、角川と同じことになるとは思えないが、完全に「ない」ともいいきれない。
私としては、分裂という最悪の事態にならないよう、ただ祈るしかない。
*ファミ通が隔週刊から週刊になったとき、広告に「ゲーム誌はファミコン通信でウ
ッドボール(きまり)だね」というコピーがでかでかと掲載された。このハイセンス
にして超バカパクなコピーを考え出した塩崎編集長(当時)は、以後「ウッド尊師」
と呼ばれ、幅広く敬愛された。


'96.5.28 トゥナイト2(テレビ朝日)

 トゥナイト2は、ゲーム情報番組以外で、ゲーム関連の情報をもっとも多く取りあ
げてきた番組ではないだろうか? それだけに、ゲームファンではない人々に対する
ゲーム情報の発信源として、もっと注目されてもいいと思う。
 ただし、過去にちょくちょく大ポカをやっている。ブンブン丸氏に密着取材してお
きながら、ブンブン丸氏の職業について誰一人知らなかったり、「バーチャファイタ
ー3」映像公開をメインにしておきながら、ジャッキーを「3」の新キャラと思いこ
んでいたり・・・。
 そういうシーンを見るたびに、「スタジオに渡辺浩弐さんがいたらなぁ・・・」
「山下章さんがいたらなぁ・・・」と考えてしまう。渡辺さん、山下さん、もしこの
ページを御覧でしたら、あの番組をなんとかしてください。
 ただ、今回は、「E3でアメリカのゲームを取材する」という内容で、各ゲームの
無難な紹介に徹していたためか、そういう目立った大ポカはないようだった。2週に
分けての放送だそうで、なんだか気合いが入っている。
 ウィングコマンダー4にマーク・ハミル出演。いわゆる「インタラクティブムービ
ー」的なゲームで、テレビ向きの題材といえる。
 テレビ向きといえば、会場も、ゲーム自体も、見栄えにインパクトがあってテレビ
向き。
 んで、やっぱり出てきたアダルトソフト(スクリーンセーバー)。
 んで、やっぱり出てきたコスプレ、しかも露出度の高いやつ(企業宣伝用)。
 ひととおりゲームの紹介が終わったあと、トリを飾ったのはなんとあのリチャード
・ギャリオット(ロード・ブリティッシュ)氏。年末発売予定の「ウルティマ・オン
ライン」を紹介していた。
 司会の石川次郎さんいわく、「リチャード・ギャリオットって、ブンブン丸より有
名なんでしょ?」
 ・・・まあ、たしかに間違ってはいないが・・・。

'96.5.28 SPA! 6/5号(扶桑社)

 一方、同じE3をレポートして、
「日本製ゲームが世界を制す!」
 と結論づけたのが、『SPA!』の「ゲーム秘宝館」。
 Nintendo64では『マリオ』、サターンでは『ナイツ』と『ソニック』、PSでは
『トバルNo.1』しか、見るべきものはなかったと評価。
 渡辺浩弐氏は、「欧米のソフトハウスのゲームのワンパターンぶりに僕は愕然とさ
せられた」「映像は最高・ゲームは最低」と、海外ゲームを酷評した。
 『トゥナイト2』と『SPA!』を比べてみて私は、「映像メディアと活字メディ
アの違い」を感じた。一般大衆ウケを重視し、見た目のインパクトを重視する映像メ
ディア。一方、見ただけではわからない、深い部分の情報を、ときどき主観をまじえ
ながら提供する活字メディア。
 一般誌でありながら『SPA!』のこの連載は、どのゲーム専門誌よりも「活字メ
ディアの特性」を活用している。専門誌と違って、変な“しがらみ”にとらわれない
のがいいのだろう。

'96.5.23 日本経済新聞

 ゲームメーカー各社の96年3月期決算出揃う。任天堂減収、セガ微増に対し、ナム
コの経常利益は過去最高、コナミ経常黒字に転換。値下げ競走の激化などにより、ハ
ードメーカーが苦戦したとの内容。
 日経新聞は、「ソフト、開発力カギ」「ソフトメーカーの業績はヒット商品の有無
に左右される」「実力のあるソフトメーカーがハードを自分で選択できるようになっ
た」と、ゲーム界で主体となるのはソフトであるということを強調していた。
 また、「ヒット作に乏しい中堅ソフトメーカーの経営は一層苦しくなっている」
「ソフトメーカーは淘汰の時代に入った」と分析しているが、私が思うにこれは実に
的確な分析である。
 ゲーム業界の外にいる日経新聞がこういうことに気づいていて、なんで当の中堅メ
ーカーがこういうことに気づかんのかなぁ・・・。

'96.5.23 スコラ6/13号(スコラ)

「格闘ゲームで必殺バトルマスターになるッ!!」
 一般マスコミでこのテの企画をやったら、「バーチャファイター」オンリーの記事
になるのが普通だと思うが、今回の記事は、「バーチャ2」「鉄拳2」をはじめ、
「ヴァンパイアハンター」に「KOF95」、「RB餓狼」に「闘神伝2」、それに
私の知らないゲームまで取り混ぜての、一挙14作品大紹介。
 もっとも、数が多い分、どれも表面的な紹介にとどまっているのが残念だが。
 むしろ、端のほうにあるコラムが興味深い。格闘ゲームの魅力、とくに、なぜ「ヘ
ビーユーザーに女のコも多い」のかという点を、独自の視点から分析している。
 あと、ページのそこらじゅうにコスプレふうの写真(編集者か?)がはめこまれて
いるのがちょっと妙だ。柔道着とかカンフースタイルとか、あと男がチャイナドレス
着てるのまではまだいい。なぜ、ハヤブサ選手(プロレスラー、FMW所属)のマス
クをかぶった男がいる? しかも、「鉄拳」のアンナを思わせる格好の女性のハイヒ
ールに踏みつけられてるし。
 今気づいたが、リード文が、「毎度おなじみ、スコラゲーム道場の時間です」で始
まっている。つーことは、・・・毎号やってるんかいな、このコスプレ(笑)。

'96.5.23 週刊プロレス6/4号(ベースボール・マガジン社)

 この雑誌、とくに山本編集長は、「プロレスラーは積極的に他の格闘技の選手と試
合をやって、レスラーの強さを証明せよ」と、事あるごとに主張している。今週号の
巻頭記事で、これに関連して、「劇画とファミコンゲーム」のことが取り上げられて
いた。
 劇画やゲームで格闘技を素材にしたものは、例外なく“他流試合”をテーマにして
いる。「現実の試合よりも劇画やファミコンゲームの方が、はるかに進んでいてなお
かつ面白い」という内容だ。
 まあ、たしかにゲームの場合、各キャラの個性を出すために、どのゲームも異種格
闘技戦になっている。“お笑い路線”のキャラもちゃんといるあたりが、プロレス的
カオス(混沌)な世界と共通点があるといえなくもない。
 「特にファミコンゲームの場合、ゲームの中の選手をファンが自由にコントロール
しながら遊ぶことができるわけだから、これはもう脅威としかいいようがない」とも
書いている。
 これについてはちょっと異論がある。「選手をコントロールできる」ことには、デ
メリットもあるからだ。
 個性的なキャラの個性を出せるかどうか。それは、キャラをコントロールする、双
方のプレイヤー次第である。もし一方が、勝つことだけを最優先させて、リングの端
でただじっとしてるだけの「待ちプレイ」をやってしまえば、それは相手のプレイヤ
ーにとっても、見ているギャラリーにとっても、フラストレーションのたまる試合と
なってしまう。
 現実の格闘技でも、たまにそういう試合がある。だが、格闘技の中でもプロレスで
は、そういう試合はめったにない。それはプロレスラーが、まず観客の存在を第一に
考え、観客を楽しませることを、最優先事項と考えているからだ。
 プロレスラーのように、「魅せる」ことのできるプロゲーマーは、現在のところ数
えるほどしかいない。

'96.5.21 週刊読売6/2号(読売新聞社)

 記事のタイトルは、「英国が認めた日本文化はマンガとTVゲーム」。
 『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』と『スペースインベーダー』が、「後世に残すべ
き作品」として、英国国立映画テレビ保管所に収められたということである。
 「テレビゲームが映像芸術の分野と認められた」「日本人自身が文化だと思ってい
ないような分野で、日本のソフトは圧倒的なクオリティーと影響力で世界をリードし
ているのだ」しかし、「にもかかわらず、日本国内ではアニメやゲームは文化・芸術
として認められていない」・・・この記事の、ゲームに関する部分だけ抜き出してみ
ると、だいたいこのような論旨になる。
 以前から、ゲーム界の一部では、「ゲームは“文化”である」という主張がなされ、
それを世間に認めてもらうことが、ゲーム界の目標である、といわれてきた。
 少なくとも海外では、その目標は着実に達成されつつあるようだ。日本国内でも、
「日本ソフトウェア大賞」のような、ゲームを文化として見る動きが、もっと活発に
なってほしいものである。
 ただし今回のこの記事では、“文化”となりつつあるゲームが、世間に与える影響
を不安視するくだりもある。例として、ゲーム中に出てくるアイヌ民族を取り上げ、
「誤解に基づく表現やアイヌ語の誤用が目立つ」としている(ナコルルのことか?)。
 この手の話題は、一歩間違うと差別問題になりかねないということで、世間の目が
厳しくなってしまうのは仕方のないところか。
 エドモンド本田のようなキャラなら、笑ってすませられるのかもしれないが・・・。

'96.5.21 日本経済新聞

 任天堂の山内社長のインタビューがあった。
 最近の山内氏の主張は一貫している。「市場に駄作が大量に出回り、ユーザーがう
んざりしている」というものだ(そのためニンテンドー64では、発売するソフトや参
入するメーカーを絞りこむ、というのは周知の通り)。
 また、供給過剰によって問屋が赤字になるのを防ぐため、9月まではニンテンドー
64のハード自体を、割当制で出荷するとのこと。問屋は割当量を(規定より)少なく
することはできるが、増やすことは認められない。
 私が考えるに、たしかに去年の今ごろのゲーム界は、数ばかり多いが飛び抜けたソ
フトはなく、市場全体がやや沈滞傾向にあった。こういう現象を防ぐために、ソフト
の本数を減らすというのは、たしかに一つの方法ではある。
 ただし、それ以上に重要なのは、飛び抜けたソフトが出現することだ。去年の年末
あたりから、ゲーム界に活気が戻ってきた。駄作は相変わらず多数出ている。だが、
話題を集められるような大ヒットが何本か出現したために、業界に明るさが出てきた
のだ。
 タイトル数を制限することで、質が向上するのかどうか? これは実際にニンテン
ドー64が動いてみなければ、なんともいえない。
 それからもう一つ、ゲームのよしあしは、メーカーによって決まるものではない。
実績のないところが、突然ヒット作を生み出すこともある。
 逆に、過去にヒット作を出していても、その作り手が移籍したり独立したりして、
今では過去の遺産を食いつぶして生きているようなメーカーも多い(とりわけファミ
コンブームの頃は、今みると駄作の範疇に入るようなソフトでも、けっこう売上を伸
ばしたものだ)。現在のゲーム界で病根となっているのは、じつはこういうメーカー
ではないかという気がするのだ。
 もし、“ソフトの質を高めるため参入メーカーを制限する”はずのニンテンドー64
に、こういう病原菌メーカーが入りこんだら、このハードに未来はない。こういう戦
略をとる以上、このハードにクソゲーが存在してはならないのである。
 そういう視点から、ニンテンドー64を見守ってみたいと思う。
 ちなみに、このインタビューが載った新聞の別の面では、ナムコの経常利益が過去
最高になったことが報じられていた。家庭用ゲームソフトが利益率の高いCD-ROMに切
り替わったのが寄与したとのこと。偶然とはいえ、何か皮肉めいたものが感じられる。

'96.5.21 Flash6/4号(光文社)

 やっぱりこの雑誌が取り上げた。
「『ダビスタ』長者の豪邸」
 ゲーム画面はなく、代わりに見開きで薗部さんの御自宅がどーん! いやぁ笑っ
た笑った。
 ただし、本文のインタビューのほうは、いたって真面目。薗部さんのあらゆる魅
力的な側面が表れていて、面白かった。とくに「馬券伝説」のくだりは必見。
 また、この本文は、インタビューに入る前の「ツカミ」部分も興味深い。長者番
付に関する各ワイドショーの報道が、皆一様にダウンタウンと小室哲哉氏の話題ば
かりに終始していたことをさりげなく批判。深読みのしすぎかもしれないが、“こ
れだからワイドショーはつまらん”という、記者の方の心の叫びが感じられた。
「ゲーム作家を追わずして21世紀のトレンドは予測できませんぞ!」
 という一文があったが、私もまったく同感である。

'96.5.16〜17 日刊スポーツ、ほか各誌

 長者番付にゲームデザイナーの名前が!
 16日公示された高額納税者番付の「著名人」部門に、「ダービースタリオン」の
薗部博之氏(納税額2,3155万円、4位)と、「ドラゴンクエスト」の堀井雄二氏(納
税額8041万円、20位)の二人がランクインを果たした。
 一般紙・スポーツ紙とも、各紙でこのことを取り上げ、「新しいタイプの高額納税
者出現」と分析している。日刊スポーツでは、「『ダビスタ』大富豪 ゲーム作家二
人が初のランク入り」の見出しで、大きく扱った。
 両氏のランク入りは、三つの意味で価値のあることである。一つは、「ゲームデザ
イナーは儲かる職業である」という認識を、一般の人々に持たせたこと。これは他の
ゲームデザイナーたち、そしてゲームデザイナー志望の人たちに希望を与える。もち
ろんお金だけがゲーム作りの動機になっては困るが、お金もやる気を起こさせる一つ
のファクターである。
 二つめは、ゲーム界から明るい話題を、世間一般に提供したこと。ネガティブなデ
マや、企業絡みのスキャンダルは、ゲーム界にとってプラスにはならない。
 もう一つは、薗部氏と堀井氏の名前が売れたこと。とかく「人」が前面に出てこな
いため、ともすれば「誰が何をやっているかよくわからない業界」と思われがちなゲ
ーム界だけに、お二人にはますます活躍していただきたい。
 もっとも、ダビスタに匹敵するヒットソフトは、ほかにも何本かある。薗部氏が4
位に入るのなら、ほかにも何人かのゲームデザイナーが、ランクインしてしかるべき
なのだ。
 なかには、大ヒットであるにもかかわらず、作り手の名前すら公表されないソフト
もある。音楽業界や映画業界と比較してみれば、これは異常なことといえよう。
 もう一つ問題なのは、高額納税者を生み出すような大ヒットがある一方で、それを
はるかに上回る数の「クソゲー」が存在することである。
 日刊スポーツでは、薗部氏と堀井氏を、「分野の“先駆者”」と紹介していた。先
駆者意識を持たない人間は、ゲーム業界には必要ない。

'96.5.9〜10 読売新聞、日本経済新聞等

 ソニー・コンピュータエンタテインメントが、「ヤミ再版」容疑で公正取引委員会
の立ち入り検査を受けた。
 各新聞によると、容疑は「ソフト販売会社に対し、同社製ゲームソフトを値引き販
売しないよう指示していた疑い。従わない業者には出荷停止などの措置をほのめかし
ていたという」とのこと。
 “疑い”もなにも・・・。プレイステーションのソフトが値引きされないというの
は、ゲームファンにとっては周知の事実である。ソフトメーカーに対してはそれが大
きな“ウリ”であった。私も正直言って、これが法律に抵触する疑いが生じるとは思
いもしなかった。プレイステーションが発売されて間もない時期ならともかく、なぜ
今になって公取委が動き出したのか。裏で何かいろいろありそうな気がするが、それ
は置いといて。
 私は、これをゲーム専門誌がどう取り上げるか、そこに興味を持った。ファミ通の
5/31号(5/17発売)。表紙に大きくこう書かれていた。
「PSソフトの店頭価格が下がる噂が!?」
 ・・・なるほど、そういう見方があるか。ソフトの値下げが行われるようになると、
果たして誰が喜び、誰が泣きを見るのか? クソゲーメーカーか? 優良メーカーか?
それともゲームファンか?
 一番泣くことになるのは、“ウリ”を一つ失ったSCE自身だと思うが。

'96.5.6前後 (各マスコミ)

 「ボキャブラ」では「VF」の知名度に驚かされたが、今度は「マリオ」の知名度
の高さに、今さらながら驚かされた。
 巨人のマリオ投手に関する報道。どこの新聞見てもテレビ見ても、必ず二言目には
“スーパーマリオ”。
 各誌のスミっこのマンガでは、ピーチ姫は観戦に来るわ、長嶋監督はコントローラ
ー持つわ。
 さて、はたしてマリオ投手は、スーパーマリオのような大活躍を、日本のファンに
披露することができるのだろうか?
 ・・・私は巨人ファンじゃないからどっちでもいいや。
 でも、・・・“スーパーマリオ”といったら、ポンセ(元大洋)だと思う。

'96.4.24 タモリのスーパーボキャブラ天国(フジテレビ)

 バーチャファイター2やってる子供の横から老婆が出てきて、
「バアチャン書いた『つ』」
 ファミ通の「ボンジュールお習字」ならボツになってもおかしくないネタだが、こ
こで重要なのはネタの出来うんぬんではない。
 「バーチャファイター2」という単語が、ゲームファンでない人がいっぱい見てい
るテレビ番組で、何の説明もなしにポンと出てきたこと自体が重要なのだ。
 考えてもみてほしい。ゲームファンでない人にタイトルを言って、それがゲームの
タイトルだと即座にわかってもらえるようなゲームソフトが何本あるか。
 「マリオ」「ドラクエ」「ファミスタ」「ダビスタ」「ぷよぷよ」くらいだろう。
それでもこれらのタイトルが、普通のバラエティー番組で、ギャグの元ネタになった
という話は、ちょっと聞いたことがない。やはりスタッフから、「ゲームファンでな
い人にはわからない」と思われているからだろうか。
 「バーチャ」はあっさりとギャグの元ネタになった。私の記憶が確かならば、「バ
ーチャ」の名前がこの番組に出てきたのはこれが二度目である。どうも「バーチャ」
は、これまでの有名ゲームとは、違う層の人々に名前が知られているようだ。
 「格闘ゲームはマニアック過ぎてついていけない」という声をよく聞くが、そのマ
ニアックな格闘ゲームから、これほど知名度のあるゲームが出てくるとは、じつに皮
肉なものである。

'96.4.21 読売新聞、朝日新聞等

 でっかく一面まるまる使った広告、しかもカラー。
「NINTENDO64 6月23日発売!」  失礼ながら、これには思っきし笑かしていただいた。
 ・・・ホントは「本日発売!」となるハズだったのにねぇ・・・。

'96.4.16 月刊relax5月号(マガジンハウス)

 創刊号なんである。
 なんかインターネットのおすすめホームページが載っていたり、コスプレが紹介さ
れていたり、佐藤大さんとか香山リカさんとか以前ファミ通で連載持ってた人たちが
書いてたりする雑誌なんである。
 この雑誌の中に、セガの赤田義郎氏の連載コーナーがある。赤田氏といえば、ファ
ミ通でインタビューを受けているさなかに上半身裸になり、新宿ジャッキー氏やブン
ブン丸氏と親交を深めたという、AM3研きっての芸人である。
 その赤田氏が、ブンブン丸氏のことについて書いていた。
“ブンブン丸が「鉄人」を降りた理由”。
 昨年9月に行われた「マキシマムバトル」において、ブンブン丸氏はセガから受け
た“鉄人”の称号を返上した。その理由は、すでにファミ通や日本経済新聞などで報
道されたように、氏のファイトスタイルとは相入れない消極的な戦法をとった選手が
“鉄人”と認定されたためである。
 赤田氏は、ブンブン丸氏がこの後、新たなゲーマー団体を設立したことについても
触れている。この団体については以前ファミ通でも紹介された。名称はBMW(ブン
ブン丸・アンド・マーベラス・ウォリアーズ)。メンバーはブンブン丸氏と前田アキ
ラ氏(マキシマムバトル3位入賞)の2名。だが・・・、
 この団体が何らかの活動を行っているという話を、私は聞いたことがない。
 「新団体設立!」と声高に宣言したのであれば、団体として何らかの活動を見せて、
その存在意義をアピールしてほしい。でなければまた、どこかの誰かの「待ちプレイ」
につきあわされる羽目に陥るだけだ。
 ちなみにこのコーナーのタイトルが、「ゲーム業界・男前列伝」。ということは、
“ゲーム界で4番目に男前な”ザ ウィナーもいずれ登場することだろう。いや、登
場させてください。

'96.4.13 伊東四朗のあっぱれ土曜ワイド(文化放送)

 朝、目覚まし代わりにタイマーセットしておいたラジオから、いきなりニュースが
飛び込んできた。
 なにしろ起きがけなんで、詳しいことは覚えていないが、なんでもどこだかのある
お医者さんが、テレビゲームと健康についてのアンケートを取ったら、テレビゲーム
をプレイ中に何らかの障害(肩こりや視力低下以外にも、めまいや偏頭痛、おう吐な
ど)が現れた人が、かなり多かったとかいう話だった。
 あの「てんかん報道」のときの騒動が、私の頭をよぎった。あのときは、「大英帝
国の東スポ」の異名をとる(といったら東スポに失礼か・・・)、『ザ・サン』の記
事を、日本の一般マスコミが一斉に取り上げて、
「ゲームやったらてんかんにかかる」
とかいうデマまで流れて、大騒ぎになったのだ。
 ゲーム界のマスコミは、そのデマを否定して、医師による証言も取りつけて掲載し
た。だがゲーム雑誌に載った記事は、ゲームファンにしか伝わらない。一般社会から
デマが消えたのは、それからしばらく経ってからだった。
 今回の場合、この番組内では、パーソナリティの伊東四朗氏が、「(起こった症状
は)ゲームのせいって決めつけていいのかな?」と、すかさずフォロー。“プレイ開
始後30分以内に症状が現れた例もある”という報道にも、「習慣性があるから、そ
のときはたまたま30分以内でも・・・、」とフォローを入れた。
 伊東氏も、ロードランナーやドンキーコングの頃は、ゲーム好きだったという。そ
れ以前にも、「テニス」(ポン?)や「ブロック崩し」(ブレイクアウト?)をプレ
イしたことがあるそうだ。
 ということで、この番組ではまるくおさまったが、このニュースが他の各マスコミ
で大げさに報道されれば、「てんかん報道」のときの二の舞になりかねない。私は布
団からはい出して、新聞やテレビのニュースをチェックしてみた。
 だが、なぜかこの話題は、その後一度も目にも耳にもすることがなかった(だから
結局このページにも、最初のあいまいな記憶に頼って書くしかなかったのだ)。とり
あえずひと安心といったところ。・・・しかし、こういう報道があるたびに戦々恐々
としなければならないというのは、それこそ非常に体に悪い。
 ゲーム界の人間がニュースやワイドショーに呼ばれるようにならない限り、こうい
う状態はいつまでも続く。

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