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今年も終わりかあ。1年前の今ごろはアメリカでぼーっと年越ししてたんだ、と思うと不思議な気がする。帰ってから堕落しちゃったな・・・。もっとしっかりしないと、ね。ということで今年のまとめの代わりに、衝撃を受けた作品たちを。
本ならE. L. Konigsberg の Slience To The Bone。これはすごかった。YA作家の大家であるカニグズバーグの作。70歳で、こんな話を書けるなんて。13歳の男の子と、義理の妹である生後数ヶ月の赤ちゃん、そしてベビーシッターが留守番をしていると、赤ちゃんが怪我をしてしまう。ベビーシッターは男の子の責任だ、というが少年は完全に沈黙に陥ってしまう。彼の親友が何とかしゃべらそうとするが・・・というミステリー仕立て。邦題は『13歳の沈黙』で今年でたよう。岩波書店から、小島希理さんの訳。岩波、カニグズバーグを全作品出すみたい!やるなあ・・・。
次点は、ジョン・アーヴィングの『ガープの世界』と、宮部みゆきの『模倣犯』かな。
音楽なら、Randy Newman の "She's a Real Emotional Girl"。ドラマの『アリーmyラブ』でアリーのお父さん役の人が歌っているのを、訳詞の字幕を見ながら聞いていたら、きゅぅぅぅぅとなってしまった。こういう歌だったんだな、と。ひどく不安定な女の子が、振り回される様子。
Every little thing you tell her
She'll believe
She really will
She even cries in her sleep
I've heard her
Many times before
....................
She met a boy
He broke her heart
And now she lives alone
And she's very, very careful
Yes she is
She's a real emotional girl
Lives down deep inside her heart
She turns on easy
It's like a hurricane..............
(quoted from "Real Emotional Girl" written by Randy Newman, 1983. From Trouble In Paradise)
あとは"Something So Right"。自分の壁に気づいて、ちょっと途方にくれつつ、年が暮れていく。12/28
年に5日くらい、本に埋もれる日がある。ひたすら満足するまで読む。耽読、というか。しあわせ。でも、こんな年末の忙しい時にやるなって?はい、すいません^^;。でも、半日くらいかな、読んでたのわ。読む本がなくなったからだけど・・・。
★『ささら さや』 加納朋子 (幻冬舎) 2001
あーー、おもしろかった。いい意味で少女マンガ的なおもしろさ。若くて気が弱い妻と生後数ヶ月の息子を残して交通事故で突然死んでしまい、成仏できなくて・・・というストーリー。加納さんの視点はとても優しい。実際小さい子を育てるのかな。最初はこの頼りない奥さんの、サヤさんがもどかしいんだけどね。
郵便配達員が、サヤのことを、なんて感じが良くてきれいな人なんだろう、と思う場面がある。その郵便屋さんは、感じが良くてきれいな人が好きだから。サヤは、彼の配達区域で、サヤは一番感じが良くてきれいだ、と。でも、「感じ良く」するのって、人を傷つけるのに臆病だから、やな人だと思われるのが怖いから、という面もあるよな、とふうっと考えてしまった。サヤさんが完全にそうだ、というわけじゃなくて・・・わたしが、そうだから。
加納朋子、やっぱり全部読もうっと。
★『マインド・スパイラル 2 More Minds ミッシングマインド―はじまりの記憶―』 キャロル・マタス&ペリー・ノーデルマン 金原瑞人&代田亜香子 訳 (あかね書房) 2001
マインド・スパイラル・シリーズ2作目。レノーラちゃん大活躍。このシリーズって、深く考えるとものすごく深いテーマなんじゃないか?でもそれをかるーく書いているのがまる。深く考えないようにしよ、頭痛くなるから。レノーラとコリンは、新しいカップル像だと思うし。作者が2人いるので、どうやってるのかな?と思ってたんだけど、カナダのウィニペグに住む児童文学作家のキャロル・マタスと大学で児童文学を教えているペリー・ノールデンマン、という組み合わせだそう。カナダの作家っていうのもいいよね。
★『あやし〜怪〜』 宮部みゆき (角川書店) 2000
まだ読んでない宮部みゆきがあった、ラッキー。時代物、ミステリの要素よりも、不思議の要素が多い。わたしはミステリが強い方が好きかな。中表紙の装丁がとても素敵。
★『ぼけナース』 小林光恵 (メディアワークス) 1998
佐々木倫子のマンガ『おたんこナース』の原案を小説化したもの。『おたんこナース』は1巻くらいしか読んだことないのだけれど。これを読むと、看護婦さんってよく知ってる仕事のような気になってたけど、実はほとんど分かってない、と気づかされる。「看護はサービス業」という章がとてもおもしろかった。ついつい病院とか看護婦さんとかお医者さんには文句ばっかり言っちゃうけど、やっぱり大変なんだよね。完璧にはできないよ。
歯医者さんの待合室にて読書。★『木曜組曲』 恩田陸 (徳間書店) 1999
一種の密室ミステリー、かな?亡くなった著名な女性作家の親類4人と編集者、女性5人が集まって、二泊三日で故人をしのびつつ食べて飲んで親睦を深める・・・会のはずが、女性作家の死因に話が及び・・・というストーリーで、しっかりしていて読ませる。しかし何と言っても、食べ物がおいしそうでねぇぇぇぇ・・・ほうれん草のキッシュ、ポトフ、パンケーキ、ワイン・・・(じゅるる)。冒頭の「ほうれん草のキッシュ」の描写で、子どものころに読んだ本を思い出した。グラタン皿についてる黄色いあひるが、お皿から逃げ出してポットとかにつく話・・・タイトルが思い出せない。気になる。
実家に帰ると、大抵図書館にいそいそと出掛けては、ごっそり本を借りてきてしまう。車出してもらえるし、貸し出し冊数に制限はないし(田舎の図書館ってすごい)、神戸では人気で中々棚に帰って来ない本も借りやすいし、そして何と言っても、本に埋もれていてもご飯が出てくるのでー(こらこら、手伝いなさいって)。しかし、今回は、欲望に任せて借りすぎた気もする・・・けどもっと怖いのは、わたし、これくらい軽く読んじゃうかもしれない、という予感。母とわたしは読書傾向がかなり似ていて、よく「これおもしろいよー」と言い合って、本を借りている。
★『マインド・スパイラル 1 Of Two Minds スクランブルマインド―時空の扉―』 キャロル・マタス&ペリー・ノーデルマン 金原瑞人&代田亜香子・訳 (あかね書房) 2001
でもって、母に勧められた本。YA(ヤング・アダルト)向けのファンタジー。原題は Of Two Minds。表紙の装丁はちょっとねえ、という感じだったんだけど、これがおもしろいったら。さすがあかね書房。想像を現実に出来るジュピス国のレノーラ姫と、人の心を読み想像の中に生きるアンディラ国のコリン王子を中心に、物語がスパイラル(螺旋)を織りなしていく。マインド・スパイラル、って訳者がつけたのかな?上手い。レノーラとコリン君の独白、というか心の中のつぶやきの描写が多いんだけど、軽くて読みやすい割に設定もしっかりしている。シリーズ物みたいなので、楽しみ^^。
★『中国行きのスロウ・ボート』 村上春樹 (中央公論社) 1983これも学校の図書館で見つけて。レポートの資料を探す時に、ついつい一緒に好きな小説も借りてしまうのは、やっぱし無意識のストレス解消なのかな^^;。しかし、大学の図書館って本の表紙を全部取っちゃうんだよね、それがちょっと気に入らないわっ。
村上春樹の短編集を読むと、いつも微妙な震度で心を揺らされたような気分になる。それで、ちょっと、哀しくなる。
今回一番印象に残ったのは、「午後の最後の芝生」。言い尽くされていることだけれど、彼の表現や比喩、言葉の使い方は、やっぱりパワーがあるし、使われるイメージが強烈。わたしの洋服タンスを開けてみたら、やっぱりわたしのイメージが作り出されるんだろうか。
★『チチンプイプイ』 宮部みゆき/室井滋 (文藝春秋) 2000対談。かるーく読めて面白い。学校の図書館にあったのでふらふらと借りてしまった。うーむ。
ほんとはレポートの資料の文献読まなきゃいけないんだけど。そう言えば、カバンに入れて持ち歩いて読もうと「努力」していたメディア論の本、どっかいっちゃったんだよな・・・。2300円くらいしたのに。あうーーー。教室に置いてきちゃったのか・・・でももう休みに入ったから鍵かかってるだろうな;;。今読んでるのは、Gender and American Politics 。本を読めば読むほど、自分が何についてレポート書きたいのか分かんなくなるわね。全く。
「世界には絶対的真実はない」と知りつつも、自分の信じるものを持てるほど強い人が、どのくらいいるんだろう?・・・それが混乱と不幸の始まり?
わたしにはわからないけど。
★『ライオンハート』 恩田陸 (新潮社) 2000SF歴史ラブロマンスかなあ(なんだそれは^^;)。今まで読んだ恩田陸とちょっと感じが違った。一つのテーゼにそった読みきり短篇集で、それぞれ絵画がモチーフになっている。絵が章毎にカラーで扉絵になっていてとてもきれい。手間とお金のかかってそうな企画だわ。
★『麦の海に沈む真実』 恩田陸 (講談社) 2000話題の恩田陸。学園物。恩田陸は、『球形の季節』と『光の帝国―常野物語』を読んだことがある。この人、学園物が結構好きなのね。
主人公の女の子がなかなか魅力的ではあるのだけれど。こうして人は気が付かず不幸になっていく、のかな。どうやら、この小説、『三月は深き紅の淵を』という短編集のうちの1つの続編のようなものみたいなので、こちらも読んでみようっと。
強くあろうとすることと、強がることは、どう違うんだろう。
今週は、ゼミの発表があるのに。返事しなきゃいけないメールも溜まってるのに。やることは一杯あるのに。・・・どーして土曜日に5時間かけて全部読んじゃうかな(おばか)。(だってぇー、大学の図書館で予約して、上巻はすぐ借りれたんだけど、下巻を待つこと1ヶ月半だったのーーすぐ読みたかったのーーっ)
★『模倣犯』(上・下) 宮部みゆき (小学館) 2001
下巻を一気に読破。(軽い頭痛がする^^;) ずっしりと、重い。本も分厚い(上下合わせて1400ページ)んだけど、内容も。でも、ほんとにおもしろかった。宮部みゆきの魅力はやっぱり人物描写。宮部さんは、地に足がついた作家だ。こういう視点を持てるようになりたいな、と思う。
しばらくは読み返せないと思うけど、5年くらいしたらまた再読しようかな。
ぼーーーーっと。してる場合じゃないけど。★『ガープの世界』(下) ジョン・アーヴィング 筒井正明・訳 (サンリオ) 1983 (原書は1978)
圧倒されちゃった。下巻からの展開、すごい。人生って不器用でグロテスクで、でも愛しい・・・としばし感慨にふけるわたくし(^^;)。このくらい長くてディテール細かいとたまらない。上巻を読んでいる時、オースティンの『自負と偏見』を読んでいた時の感覚が蘇ってきたんだけど・・・ストーリーが似てるんじゃなくて、読み進める感覚が似てる気がする。(怒られるかな)
★『ガープの世界』(上) ジョン・アーヴィング 筒井正明・訳 (サンリオ) 1983まだ上巻しか読んでないんだけど、おもしろーい!!どう面白いのか説明できないほど^^;。こういう、ディテールが面白い本が好みなんだろうな。早く下巻も借りてこようっと。授業関連の本も読み進めなきゃいけないんだけどね・・・。
人生は常に哀しみを伴う。多かれ少なかれ。その胸をえぐるような哀しみが、最も美しいとしたら?
所用で、大阪のアメリカ領事館に行く。やっぱり、セキュリティが異常に厳しい。まず、入ると空港みたいなゲートとカバンのX線チェック。大抵の人は、カバンも開けてチェックされる。携帯電話とか電気機器類はそこでおあずかり。食べ物は持ち込み禁止。(パンを持っていた人は、「今食べるか、処分してください」と言われてた^^;。)そこを通過すると、受付で写真入I.D. と Visitor カードを交換。そして、職員の人にエスコートされる・・・と。やれやれ。玄関口には、防護楯(何ていうのかな、機動隊が持ってる銀色のやつ;)を持った警備の人がずーっと立ってるし。お仕事ご苦労様です。しかし、夕方5時過ぎの梅田って、人ごみがすごくて、人に酔ってしまいそう。こういうのに慣れるときが来るのかしらん。慣れたくないなあ・・・。
何かもう色々わけわかで情緒不安定。統計学はわけわかんないし(それは関係ないし、眠くって授業中うつらうつらしちゃったからけど)。★『カンガルー日和』 村上春樹 (平凡社) 1983
短編集。再読なのだけれど、大学図書館で目に入ったので、統計学の本と一緒に借りてしまう。
「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」。7ページしかなくて、阪急電車の一駅分の移動で読めてしまう話なのだけれど、もう何か、精神状態と相まって、思わずため息をつく。最初に読んだ時もこれが好きだったのだけれど。世の中って、こんな風に、ボタンを掛け違ったように、人はすれ違って行くのかもしれない。
でも、一番、哀しいのは、ボタンを掛け違えたことにも、気がつかないことだと思う。わたしは一体いくつのボタンの掛け違えて、来たんだろう。
こんな気分の日には、Beach Boys を聞く。
所用で実家に帰ったので、図書館でたんまり本を借りてきてしまう。田舎の図書館って、大きめで、都市部の図書館だと人気で借りれない本もすぐあっていいなあ。でも、わたしったら、これだけ借りても全部は読めないってば、ということに気がつかなかったの^^;。★『ガラスの麒麟』 加納朋子 (講談社) 1997
『ななつのこ』の加納さんの作品。『ななつのこ』はデビュー作だったようで、この『ガラスの麒麟』の方がこなれていて、好き。構成もうまいし・・・ただ、『ななつのこ』に出てきた「あやめさん」的な女性がここにも出てくるのがちょっと気になるけど。でも、この人の作品、もっと読んでみようかな。
わたしは、物語の「リアリティ」が気になる。リアリティ、と言っても、現実に起こりそう・・・というより、物語世界がしっかりしていて、「この世界ではこういうこともあるよね・・・」と納得できるものが好き。
★『ロウソクのために一シリングを』 ジョセフィン・ティ (早川書房) 2001
『時の娘』のグラント警部シリーズの1作目。1936年初版。しっかりとした良質ミステリ。こう言うの読むとうれしくなっちゃう。あと、随所にイギリス人気質、が見えてにんまりしてしまう。しかし、1936年初版なのに、古っぽくないのはさすが。『時の娘』は、身震いするほど面白かったしなあ・・・あれは社会学的ミステリ。
★『妻への恋文』 アレクサンドル・ジャルダン (新潮社) 1993こういうテーマの本って、確かに中々ない。「倦怠期」の結婚生活を立て直そうとする(かなり個性的な)夫の努力の物語。あ、でも、「ときめきがほしいっ」って思っている人自体は多いのかも。(女性の方が多そうな印象はあるけれど)。しかし、わたしはこういう夫だったら、結構引いちゃうと思う^^;。面白かったけれど。
今日は学校の学園祭の2日目。一瞬だけしか行けなかったけど、ちゃっかり打ち上げには行く。(こらこら)
サークルも顔ぶれがかなり変わっていてちょっとさみしい。移動の合間にちょこちょこ読書。★『ななつのこ』 加納朋子 (創元推理文庫) 1992
なんだか不思議な短編集。構成が凝っている。内容的には、わたしはもうちょっとパンチが効いてて、リアリティがあるのが好みだけれど、でも、主人公の19歳の女の子の心理描写は上手いと思う。こういうこと考えたことあるよーーと思わずうなづいてしまった。作者の加納さん、まだ若い方みたいだけど、「本好き」ってのが、作品を読んでると分かる。『赤毛のアン』への言及が多くてにんまりしちゃった。絶対、この人も「本の虫」の女の子だったんだろう。他の作品も読んでみようかな。
あんまりこれといって予定がない土曜日、外が寒いと何か得した気分。★『日出る国の工場』 村上春樹/安西水丸 (新潮文庫) 1987
工場見学エッセイ。何と言っても、アデランスの回が面白い^^。カツラ作る前に心理的カウンセリングまでするんだ。でも、「カツラなんてなくても、あなたは素敵です」って言う風にはカウンセリングされないんだろうなあ、やっぱり。そのあたり、企業って大変、と思いつつ。
村上春樹さんのエッセイは、あんまり頭を使いたくない時に、ぼんやり読むのが好き。あと何冊残っていただろう。