指板とネック

指板の加工
 本来ならば,ボディーから作り始めるのが基本なのでしょうが,タイトボンドという接着剤を手に入れるのに時間がかかったので,指板とネックを先に作り始めました。

 まずは,厚さ5mmの黒檀(コクタン)の板を2ミリ程度まで薄くしていきます。かんなで板を削りましたが,黒檀=堅い木というイメージからすれば,思ったより削りやすかったのです。その後,オービタルサンダーで表面を平らにします。
 次にフレットを打つための深さ1.5mmくらいの溝を作ります。写真3のような直角が簡単出せるのこぎりを使おうとしたのですが刃の幅がありすぎてフレットワイヤーよりも広い引き溝となってしまいます。そこで,刃をグラインダーで薄くして使ったのですが,アサリ(のこぎりの刃1本1本が右左交互に振れていることをいう)がなくなってしまった分うまく切ることができません。結局こののこぎりで軽く溝を付けた後,写真4にも写っているゼットソー7寸目で深く溝を切りました。ゼットソー7寸目の引き溝の幅は,フレットワイヤーの幅ぴったりでした。
 フレットの間隔はDGBスタジオというページのフレット計算というページを利用すると簡単に1フレットから12フレットまでの長さが出せます。弦の長さは350mmにしましたので,その半分の175mmが0から12フレットまでの長さとなります。各フレットの間隔がこのページを使うと簡単出せます。もちろん計算式が分かっている人は電卓を使っても計算することはできます。この数値は割り切れない小数になりますが,ノギスでも小数第2位以下を測るのは難しいので小数第2位を四捨五入して出しました。下がその表です。
各フレット フレットの間隔 各フレット フレットの間隔 注意
弦の長さを350mmとしたときの計算です。
その計算法は
前のフレットまでの弦の長さ÷17.817
つまり1フレットなら
350÷17.817=約19.6
2フレットは1フレットまでの弦の長さを割るので
(350−19.6)÷17.817=約18.5
割り切れないので小数第2位を四捨五入しています。
1フレット 約19.6mm 7フレット 約13.9mm
2フレット 約18.5mm 8フレット 約13.1mm
3フレット 約17.5mm 9フレット 約12.4mm
4フレット 約16.5mm 10フレット 約11.7mm
5フレット 約15.6mm 11フレット 約11.0mm
6フレット 約14.7mm 12フレット 約10.4mm

 次に,ポジションマークを付ける直径3mmの穴を開けます。たいした数ではないので手工具(ピンバイス)を使ってあけます。そこに木工用瞬間接着剤を流し込んで,ポジションマークを埋め込みます。完全に乾いたら表面をヤスリがけして周りの指板と同じ高さにします。
 最後にフレットをプラスチックハンマーで打ち込んで端をニッパーで切ります。フレットの金属は柔らかいもので普通のニッパーで容易に切れますので専用工具は必要ありません。(柾目ウッドメーカーのフレットワイヤーはニッケル製となっていましたが,私の買ったフレットワイヤーは磁石に付かなかったのでニッケルではありません。グラインダーをかけても火花が散らないので炭素鋼のたぐいではありません)柔らかい金属なのでヤスリがけも簡単です。横から瞬間接着剤を流し込んで固定しました。
写真1
指板をかんなで切削
写真2
指板をオービタルサンダーで研磨

写真1
 黒檀の板をかんなで削ります。思ったより切削性は良好です。
写真2
 かんなで削った後,オービタルサンダーで研磨します。下に敷いているのはすべり止めマットです。

写真3
指板にフレットの溝を刻む
写真4
指板の加工に使った工具類

写真3
 プレシジョン・マイターソーという名前の45度〜90度の角度を付けた切断ができるノコギリ。フレットを打つための溝を平行に引くのには役に立ったが必須アイティムではありません。
写真4
 
指板を作るのに使った工具で下からプラスチックハンマー,ゼットソー,ピンバイスです。

写真5
途中までフレットを打った指板

写真5
 溝を付けた指板にフレットを打ち込んでいく途中の写真です。フレットワイヤーを打ち込みきれいに打ち込んだらニッパーを使ってワイヤーを切りました。下に見えるのはポジションマークの材料です。

ネックの加工
 
ネックはウォールナットの角材をネックの形に切り出します。ウォールナットは銃床などに使われる木として有名で,比較的硬い木です。まず,ジグソーを使ってだいたいの形に切り出します。切断が終わったらその状態で1週間くらいおいてみてくるいなどがでるかどうか見ます。後は,かんなやヤスリを使って自分の好みの形に削っていきます。最後の調整ではベルトサンダーが大変便利でした。

写真6
ネックをジグソーで切り出す
写真7
切り出したネック

写真6
 ネックの材料のウォールナットをジグソーで切り出します。堅い材質なのでゆっくり作業するといいでしょう。
写真7
 キット付属のネックと,切り出したネック材の比較です。

写真8
ヤスリで削りました
写真9
仕上がりはこんな感じです

写真8
 荒削りに使ったヤスリです。右のヤスリはヤスリの刃一つ一つがかんな刃のようになっていて荒削りには最適でした。左のものは,目が細かく仕上げ用です。
写真9
 ネック製作途中の写真がなかったのでしかたなく完成したときの写真を載せます。