ものづくり 番外編  BOOK型のパソコンの製作

 最近,パソコン関係の記事ばかりが目立ってきました。まだ,寒いので,換気をよくしてプラモデルを塗装したり,日曜大工に励むのはもう少し待ってください。
 今回紹介するのはAopen製のH300BというBOOK型のケースと,BIOSTAR製のM6T−SMというMicroATX規格のマザーボードを利用したパソコンです。二つの部品の活用により,ベアボーンキットを買うより安く,小型のPCを作ることができました。安定性も抜群で,現在全く問題なく稼働しています。

仕事場の卓上を整理するという崇高な目的(半分遊び)からスタート
 仕事場に置きっぱなしの3号機は安定動作を売りにした440BXを搭載したマザーで,何事もなく稼働しておりました。唯一の欠点はその大きさで,ATX規格のケースとしては小ぶりながら,机の上に置くにはちょっと大きすぎるケースであります。最近ベアボーン・キットで,かなり小型のパソコンも登場しており,仕事場の卓上も何とかしたいと思っていました。DIGIX WONDERつくば店にふと立ち寄ったところ,Intel815E搭載のMicroATX規格のマザーボードが安売りしているのが目に留まりました。価格は5,980円。BIOSTAR製のM6T−SMというボードでした。家に帰りインターネットで調べると,このボードはBIOSTARのホームページでは詳しい製品の紹介はすでに行われていないものの,マニュアルやBIOS等はダウンロードできる代物であることが分かりました。そして,最新の製品ではないので815EのB0ステップ対応とはいかないものの,ベアボーン・キットにも利用されているボードであることが分かりました。
 また,ケースも同じDIGIX WONDERつくば店にAopen製のBOOKタイプのケース(H300B)が5,280円で売られており,二つを合わせるとBOOKタイプのベアボーン・キットを購入するより安く上がってしまいます。このケースは同社のベアボーンキットにも利用されているケースのようです。ということで,小型PC(4号機)の製作計画は滑り出しました。

ケーブルの取り回しがポイント
 普段使っている大きなケースと違って,ブックタイプのケースは余裕というものがほとんどありません。マザーボードの電源コネクタの位置がCDドライブの真下に位置したため,この辺のコードの取り回しは大変窮屈になりました。ボードによっては違う位置に電源コネクタがくるものもあり,この辺はケースとの相性もありそうです。何とか押し込むことができました。
 ハードディスクは,CD−ROMドライブやFDドライブの下に取り付けます。マザーボードに付属しているフラットケーブルを使うと,取り回しが窮屈なので,ワイヤ型のケーブルを用いました。ところがこのケーブルが不良品で,ハードディスクをきちんと認識せず,購入先で交換してもらうという羽目になりました。ワイヤ型のケーブルは以前にもはずれのケーブルを購入したことがあり,あまりいい思い出はありません。しかし,取り回しを考えるとワイヤ型が小さなケースには適していると思います。CD−ROMドライブとマザーボードを結ぶフラットケーブルも,できるだけ短いものを買い求めました。
 

LANカードがうまくささらない
 最後にPCIバスにLANカードを差しました。LANカードはロープロファイル用のcoregaのFEther LPCI−TXを購入しました。しかし,ケースとカードの金具がうまく合わずに,真っ直ぐにささりませんでした。金具をグラインダーで削ったり,万力にはさんで曲げたりしながら,何とか左の写真のように納めることができました。
 OSはWindows2000をインストールしました。その後,マザーボードに付属のCD−ROMよりINFアップデイト・ユーティリティー,グラフィック・ドライバー,オーディオ・ドライバーとインストールしていきます。ソフトのインストールは問題なく進みました。その後Intel Ultra ATA Storageをインストールしました。ハードベンチで確認すると,確かにハードディスクへのアクセスは早くなっています。しかし,雑誌で読んだとおり,デバイスマネージャーで確認するとIDEのハードディスクをSCSIのハードディスクと誤認しています。とりあえずアンインストールしておきました。

ベンチマークの比較は
 ベンチマークの結果は表2の通りです。CPU関連では,余っていたpentiumⅢ 733MHzを用いたため,以前のマシン(celeron 850MHz搭載)に比べ若干劣る結果となりました。グラフィック関連の結果は,3号機に比べ見劣りするものとなりました。815E内蔵のグラフィック機能の力ではいたしかたない結果です。しかし,3次元描画に使うわけでもなく,実用上の支障は全くありません。チップセットが変わったおかげで,メモリー,ハードディスク関係の数値は向上の跡が伺えます。体感的には,ややWindows2000が立ち上がるのが遅いといったきらいはあるものの,アプリケーション・ソフトの利用には何ら問題はありません。この辺は,将来的にCPUの交換によってさらに向上すると思います。待望の省スペース型PCが,見事に動き出しました。

表1 パソコンの仕様の比較

4号機(今回製作) 3号機(以前紹介)
マザーボード Biostar M6T−SM DFI CB61
チップセット Intel 815E Intel 440BX
CPU pentiumⅢ 733MHz celeron 850MHz
メモリ SDRAM192MB(CL=3) SDRAM192MB(CL=3)
グラフィックボード オンボード 3dfx Voodoo3 3000
HDD 40GB(ATA/100) 15GB(ATA/66)

表2 HDBENCH(Ver3.22)による主な性能の比較

  4号機(今回製作) 3号機(以前紹介)
ALL 16880 17621
CPU整数演算 33389 38825
CPU浮動小数点演算 33269 38682
メモリーRead 12183 12124
メモリーWrite  12994 10391
メモリーReadWright 18211 17180
ビデオ矩形 17933 48741
ビデオテキスト 13377 33576
ビデオ円 4976 6958
ビデオBitBilt 88 508
ビデオDirectDraw 29 60
ハードディスクRead 26562 19485
ハードディスクWrite 25567 15491
ハードディスクCopy Drive 2388 2256