GREEN TEA TIME
イギリス万国樹木博覧会


ヨーロッパイチイ
(一位)

Common Yew(Taxus baccata)

ヨーロッパイチイは、イギリスの教会の庭には欠かせない木です。
その背景にはどうやら、ケルト民族の神官ドルイド僧らによる原始的森林信仰があるようです。
AD6世紀に大陸からキリスト教がアイルランドおよびブリテン島に伝播した際、
宣教師たちが、原住民が崇める神聖な場所に教会を建てたと言われているからです。

ドルイド僧たちは、イチイを「死とそれに続く復活の木」として、とりわけ崇めていました。
実際にイチイは、その可愛らしい赤い果肉を除いて全ての部分に毒があり(種も有毒)、
葉を食べた家畜や、種ごと実を食べた子どもが死に至ることもあります。
(ちなみに私は赤い果肉だけを何度か食べていますが、いまのところ平気です。
中の種は有毒なので注意!)

最近、イチイの持つ成分に抗がん作用があることがわかり、
製薬会社がこぞって製品化しています。とてつもないパワーを秘めた木なんですねぇ。
成長が大変おそい割に、千年単位で生きる長寿の木でもあります。

辻井達一氏によれば、日本のイチイ(Taxus cuspidata)は北海道では「オンコ」とよばれ、
ほかにも「アララギ」や「キャラボク」、「シャクノキ」などの呼び名があるそうです。
また、もともと神官が使う杓がこの木で出来ていたため、仁徳天皇がこの木に「正一位」の位を
授けたことから、「イチイ」とよばれるようになったといわれるそうです。

う〜ん、日本の昔の(神道の)神官も、ヨーロッパの森の僧も、
どういうわけか同じイチイを神聖視していたのですねぇ。なにやら因果関係を感じさせます。
ヨーロッパの原始信仰(paganism/druidism)では復活の扉の守護樹で、土のエレメントを表します。

(アフリカ、南西アジア、イギリスおよびヨーロッパ原産)



(99/08)

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