今回は、樹木園のなかを歩いていると、ふわりと、あのキャラメルのような香りがしたので、
「お!これは近くにカツラの木があるにちがいない!」と探しました。
すると、葉っぱがほとんど落ちてしまったカツラの木が一本立っていて、
木の周囲に甘い香りが漂っていました。地面に敷き詰められたように落ちている落葉した葉っぱから
香りが出ていたようです。
同樹木園にはいろいろなところにカツラの木が植わっていますが、
今黄葉まっさかりといった感じの、まだ葉がかなり残っているカツラの木の周囲にも
甘い香りがプンプンしていて、木の枝についている葉っぱに近づいて匂ってみても
鼻が麻痺してしまったのかあまり匂いを感じませんでした。
去年同樹木園でカツラの葉っぱの匂いをかいだ時は、たしか雨上がりでしたが、
今回は、午前中は曇空でしたが午後からは秋晴れになったので、空気の湿気とかが影響して
カツラの匂いがあたり一帯に強くただよっていたのかもしれませんねぇ。
去年の10月25日発行の大衆紙 The Expressの別冊日曜版に、日本のイロハモミジをフィーチャーした
同樹木園の秋の黄葉ウォークの特集記事が載りました。そのなかで、同樹木園キュレーターの
ヒュー・アンガス氏のお勧めの木ベスト5の筆頭にカツラが挙げられています。
「この木は黄葉も素晴らしいが、落葉した葉からデリシャスでスイートな香りを発する。
人によってはその香りをキャラメルの香りにたとえる人もいる。」と同氏は紹介しています。
カツラの匂いについて、「樹木医のたまご」ゆんさんが
「森林の広場(http://www.nw-mori.or.jp/Inter2/bbs/)」
で聞いてくれたところ、複数の方からの情報が寄せられています。詳しくは同サイトへどうぞ。
上記に中国名「連香樹」を、チャイナ・ブルーを意識した中国っぽいフォントで書いてみました。
イギリスでイロハモミジ、サクラとともに
イギリスでの樹木鑑賞では、セイヨウズオウ(Judas Tree (Cercis siliquastrum))とよく対比されます。
でも、なんといってもカツラのラブリ〜なところは、秋に黄葉してしわくちゃになって
写真はWestombirt女子校の庭で撮りましたが、イギリスの名園・公園・植物園に必ずあります。
(日本・中国原産。)
日本産の木のスーパースターの筆頭に挙げられるのがカツラの木です。
辻井達一氏の本によれば、アメリカで大変評価されたことにより、ヨーロッパにおける
カツラの地位の高さが確立したみたいです。
同氏によると、北海道で昔アイヌ民族が作った丸木舟によくカツラが使われたそうです。
分類学的にはモクレンよりも更に原始的な植物に分類されており、その特異性からも
ヨーロッパ諸国の注目を集めたのかもしれません。
カツラの学名の Cercidiphyllum は、「セイヨウズオウCercisの葉のような」という意味で、
一見すると二つの木はよく似ていますが、区別するキーは、
セイヨウズオウは葉の縁がまっすぐなのに対してカツラの葉は縁が丸く細かく縁取られている、
前者は枝に葉がたがいちがいにつきますが、カツラはおしなべて、2つの葉が同じ場所から生えます。
そして、セイヨウズオウは春にショッキングピンクの花が咲き、
そのあと赤茶のサヤエンドウのような実ができます。
おちそうな葉から甘いキャラメルの香りがすることです!
これが、Westombirt樹木園秋の紅葉ウォークの売りです。
ほんとうにキャラメルの香りがしたから嬉しくなってしまいました。(^v^)""
(99/08)
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