ニホンリスの展示舎
253平方メートルの建物の一部をなす檻でニホンリスと鳥たちが飼育展示されていて、放し飼い施設の中から檻の中のリスたちの様子を観察することができます。また、建物内のケージでシマリスが飼育展示されています。
(以下、放し飼いのニホンリス)
土を掘っている。おいしいものの隠し場所。
水を飲んでいる。
1998年10月に、井の頭自然文化園から6匹のニホンリスが送られて来て、そのニホンリスたちが、檻の中で飼育展示されています。出身の地域が違うと亜種が違うらしいということで、放し飼いにされている従前のニホンリス(許可を得て捕獲したもの)と交雑させることができないため、ケージ飼育となっているとのことです。
井の頭から来たニホンリスは、飼育下にあったせいか、サツマイモ、ニンジンも食べるとのことです。放し飼いのニホンリスにはサツマイモ、ニンジンは試行段階だそうです。
ケージ飼育のニホンリスの方は、スタッフの方のお話の通り、あまり人に馴れてはいないものの、放し飼いのニホンリスよりは馴れているようでした。午前中に、クルミを口にくわえて、ケージの柵の前でずっと左右に走っているリスがいました。午後に、子供たちが柵越しに手渡す木の枝や草を喜んで受け取っているリスがいました。クルミの殻にはやはり興味を示しませんでした。木の枝は、受け取ってすぐに齧っていました。受け取った干し草や木の葉をたくさん口にくわえて、巣材として巣箱に持って行きました。巣箱の入り口には、たくさんのクルミが貯めてあるのが見えました。
以前には、シマリスに餌を与えることのできる「ふれあいコーナー」があったのですが、今はもう無くなっていました(その場所にニホンリスと鳥の檻ができました)。以前は数百匹いたシマリスも、今は10匹だけだそうです。1つのケージで飼育展示されています。ケンカがちで、ケガが多いとのことです。繁殖はまったくしておらず、餌はニホンリスと同様のものを与えていて、冬眠は自由にさせているとのことです。
ヒマワリの種を食べている。
昨年秋に訪れたときは、放し飼いのニホンリスを1匹も見ることができませんでした。訪問時刻が遅かったこと、入場者数が多かったこと、リスが今より数も少なく人馴れもしてなかったであろうこと、こちらの観察不足が、理由として考えられます。今回は平日の朝から午後遅くまで滞在し、入場者は他にはほとんどいませんでした。
ここのニホンリスたちは、ドングリを食べるとのことですが、名古屋の野生のニホンリスがドングリをあまり食べない(選好順位の問題で)という話をしたところ、「ここのニホンリスは、ドングリ好きですよ。野生でも、食べるんじゃないかなぁ。」とのことでした。興味深いお話です。
放し飼いのニホンリスが木には巣を作らないのは、まだ園内の木の茂りが足りないことと木の背が低いことと巣材不足が原因?(鉄骨の隙間に巣を作るだけの巣材はあるようです)。
この施設は、動物を展示するだけではなく、また、餌をあげるなどスキンシップをするのとも違う(そういう施設はそれで、とてもうれしいです)、散策の中で日常では見ることの難しい動物を間近で観察することができ、自然観察の気分を味わうことができるというコンセプトが、素晴らしいと思いました。
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