本書は自然破壊が叫ばれる今、自然と一体になって生きる道を示す
フィンドホーン創設者の真実の物語です。
『天使の歌が聞こえる』
ドロシー・マクレーン(フィンドホーンの創設者)
山川紘矢・亜希子[訳]
日本教文社刊 定価1600円 四六版上製・264ページ ISBN4-531-08132-3 日本教文社で買う
苦しい家計のたしにと、ピーターは周囲の砂地を畑にして、野菜を作り始めました。そして、ある日、それまでは内なる神とコンタクトして、メッセージをもらっていたドロシーが、植物の精、それも、エンドウ豆の精と会話を始めました。それ以後、ピーターとドロシーは彼女がディーバと名づけた植物の精と協力して、みごとな畑を作りあげ、そこから、巨大なキャベツやブロッコリーが採れ始めました。それと同時に、ドロシーは彼女の生き方や考え方について、ディーバからたくさんの助言をもらって、人間的にも大きく成長してゆきました。
フィンドホーンがニューエイジの共同体として確立した1973年、彼女はフィンドホーンを霊的な教育センターに作りあげたアメリカ人、デイビッド・シュパングラーと共に、フィンドホーンを出て、アメリカに戻りました。それ以後も、自然とのコンタクトを続けて、人間が破壊し尽くそうとしている自然を守るために働いています。
本書はドロシーがディーバとのコンタクトを始めるまでのいきさつと、その後、彼女がどのようにディーバとの交流を深めていったか、ディーバからのメッセージを数多くとりあげながら、書き記したものです。知性的で真面目で誠実そのものの彼女の人間性が、言葉の隅々から伝わってくる一つの物語と言うことができましょう。
本書に描かれているディーバは、自然界のさまざまな存在たちの背後に控えていて、一つひとつの生き物たちの原型を保ち、その成長を導いている知的な存在と言われています。さらに、生き物だけでなく、鉱物にも、山にも、風景にも、水にも、そして、機械や、国や、団体でさえも、それぞれのディーバがいて、知性をもっているのだと、ドロシーのディーバたちは語っています。そして、その全てが、私たちを含めて、ひと連なりの生命体なのです。
知性を持っているのは私たち人間だけではなく、全てのありてあるものが命と意識を持って、それぞれの役割を果たしているのが、この世界の現実なのです。
そして、自然は、特に木を中心とした植物の世界は、私たちの人間の生活に深く結びついた大切な存在であることを、ドロシーは木や植物そのものからのメッセージとして、直接に私たちに伝えてくれています。人間の行為によって自然が壊されるとき、それは人間を同時に深く傷つけていることに私たちに気づいて欲しいと、自然は願っているのです。
彼女がこうしたメッセージを受け取ってからすでに30年以上たった今、私たちの周囲では自然破壊がますますひどくなっています。今こそ、ドロシーが伝える自然界のメッセージを多くの人々に知っていただきたいと思わずにはいられません。そして、私たちがすべてはひと連なりの生命であることを真に理解した時、誰もがドロシーと同じように、天使の歌を聞けるようになるのではないでしょうか。
最後に、日本教文社の渡辺浩充さんをはじめとしてこの本の制作に尽力してくださった沢山の方々に深く感謝したいと思います。       
(2001年8月・記)
訳者あとがき      山川紘矢・亜希子

本書、『天使の歌が聞こえる』は、ドロシー・マクレーンの著書、「To Hear the Angels Sing」の日本語訳です。この本は1980年にロリアンプレスから出版されましたが、1990年に、リンディスファーン社より再発行されました。
ドロシー・マクレーンについては『大地の天使たち』という美しいカラー写真入りの本が日本教文社より1997年に出版されていますが、日本ではまだそれほど知られていません。カナダ人で、イギリスのスコットランド北部にあるニューエイジの共同体、フィンドホーンコミュニティの創立者の一人です。
フィンドホーンコミュニティーはドロシーと彼女の友人、ピーターとアイリーンのキャディ夫妻の三人が1962年の秋にフィンドホーンの村はずれにあるトレーラーパークに住みつき、神や植物の天使のメッセージに従って生活してゆく内に、人々が自然に、彼らのまわりに集まり住むようになってできあがった共同体です。
ドロシーとピーターとアイリーンの三人はホテルのマネージャーの職を突然失ったあと、フィンドホーン村のトレーラーパークに、そこが一時的な避難場所だと思って、移り住みました。しかし、ドロシーもピーターも、不思議なことに新しい仕事を得ることができず、失業手当だけで、生活をしなければなりませんでした。


 【本書の目次】
 1章 はじめに
 2章 生い立ち
 3章 一人立ち
 4章 フィンドホーン、そして天使とのコンタクト
 5章 未知への冒険
 6章 天使の世界
 7章 生きている宇宙
 8章 天使と人間
 9章 巨木からのメッセージ
 10章 創造的な生き方
 11章 性格の矛盾
 12章 人間と天使の今
 付録 ディーバのメッセージ


大地の天使たち
ドロシー・マクレーン(フィンドホーン創設者)[著]
山川紘矢・山川亜希子[訳]
フィンドホーンの創設者ドロシーが自然の精霊から受けたメッセージ。花、木、山、湖、風景が伝える言葉を美しい写真とともに贈る。<全頁カラー>
ISBN4-531-08107-2 定価1500円 日本教文社で買う
『大地の天使たち』に収載の写真とメッセージ(その一部)

 私たちは生命をそのものの中にひそむ力として見ています。あなた方は、外側の形しか見ず、その中で起こっている絶えることのないプロセスを認めようとはしません。あなた方にも私たちと同じ視点を持っていただきたいのです。なぜならば、その方が私たちにとっても、あなた方にとっても、物ごとが容易になるからです。つまり、あなた方は真実により近づき、また、私たちをもっと良く理解できるようになるのです。

 ものの内にある力は、外側の形と同じように複雑です。そして、外側の形よりも、もっとちみつで、豊かな、形、色、質感などを持っています。植物を見るとき、その内側に、生命が脈打つもう一つの部分を持っていることを理解してください。あなたがその植物を、生命とともに輝き、動いているものとして考えるとき、実は、あなたはその生命にエネルギーを送っているのです。同時に、その植物は、あなたを生命の源に触れさせ、よりいっそうの力と生命をあなたのまわりに発生させるのです。(風景の天使)


 愛が流れるのを感じるまで、大自然に意識を合わせてください。その感覚は、あなたを天使の世界へと導いてゆく矢です。

 自然界は常にあなたの魂の状態に反応します。あなたが言うことや、あなたの行なうことにではなく、あなたが何者かということに、反応するのです。(ディーバたち)


写真 キャサリーン・トーモッド・カー
   http://www.kathleencarr.com/


 その後、フィンドホーンの書店で出会ったのが、この本の原書だった。天使とコンタクトし、フィンドホーンを創設した一人、ドロシーさんの本だ。さっそく買って、読んでみるとなかなか面白い本だ。帰国後、訳者の山川紘矢・亜希子ご夫妻のところ持っていくことにし、後日お伺いした。さっそく「渡辺君、いい本あった?」と聞かれたのでお見せすると、「その前にこの本はどう?」と言って、見せてくれたのがドロシーさんの写真集(邦訳名「大地の天使たち」)だった。とてもきれいな風景の写真に、天使たちのメッセージが書かれてある。「良いですね」ということで本書はその後に出すことにした。
 でも天使に会えるといいなあ、という希望はその後も持っていた。すると、なんと、本書の出版が決まると、寺山心一翁さんが出版記念にドロシーさんを日本に招いてくれるという。そして、各地で講演と、三日間の実習をしてくれるという。
 当然、実習に申し込み、天使にコンタクトしてみた。ついにメッセージを聞くことができたのだ。菊の天使、石の天使、日本の天使…、そして彼らはとても慈愛に満ちていた。決して、怒ったりはしない。むしろコンタクトしたことにお礼を言ってくれたのだった。

(2001年)

その存在は慈愛に満ちていた

            編集者

 一九九五年三月、イギリスにでかけた。もちろん、天使に会うためだった。前年に編集した本が、スコットランドにあるフィンドホーンの話を書いたものだった。妖精や天使に出会い、彼らに教えられ野菜や花を植え、本来なら出きるはずもない砂地にみごとなブロッコリーやキャベツを作ったことで知られる地だ。
 そんなこと信じられるものか! そう思っていたが編集するうちに本当かもしれない、と思い始めていた。そういうこともあって「フィンドホーンに行こう」と誘われた時、二つ返事でOKしてしまった。
 そこは、私のような未経験者が多いため体験学習をさせてくれる。一週間のプランだ。そのなか日に、天使界と人間界の境がハッキリしていない場所に行くことになっていた。前日は、妖精に会ったという女性の話を聞き、彼女の描いた絵まで見せられていたので、期待感で一杯だった。ただ、その頃にはフィンドホーンにきて数日たっていたので直感がさえてきていた。不意に言葉が浮かんできた。「純心でない人や会ったことをしゃべる人は会えないよ」
 会ったらしゃべらずにはいられないだろう。いやいや、絶対しゃべらないぞ。決意はしたけど、不純だと見破られたのか、ついに出会うことはできなかった。