病理検査結果(1998/3/17)
動物種:犬 年令:3 性別:♂ 品種:ゴールデンレトリバー
検査臓器名:胃、小腸、大腸、膵臓
病理組織診断名:悪性リンパ腫 mallgnant lymphoma
組織所見など:
送付材料中、十二指腸、空腸および直腸では、粘膜固有層に多数の中型からやや大型のリンパ芽球様細胞が浸潤、増殖していた。特に十二指腸、直腸ではそれらの細胞の浸潤が強く、一部では筋層にまで及ぶ浸潤が観察された。膵臓自体には強い変化は観察されなかったが、膵門リンパ節が腫大しており、その内部には多数の異型リンパ芽球が増殖し、組織は破壊、壊死に陥っていた。胃では強い変化は観察されなかったが、粘膜固有層に少数の異型リンパ球の浸潤が観察された。いずれの部位でも、リンパ管内には多数の異型細胞の浸潤が観察された。
リンパ芽球様の異型細胞が増殖している点から、悪性リンパ腫と診断する。
犬の悪性リンパ腫は、その発生部位により多中心型・胸腺型・消化管型・皮膚型に分けられる。本例では、体表部リンパ節や脾臓などの腫大が観察されていないことから、消化管型ではないかと思われた。消化管型では胃原発のものが多いといわれ、その他に小腸や大腸原発のものもある。本例では、抹消血中に腫瘍細胞が出現していたのではないかと思われた。
解剖をしたのが2月26日、結果の仮報告がFAXで届いたのが3月17日、随分長くかかりました。
3週間近く待ったものですから、死んだ子のは後回しになるのかしら等といらぬ心配もしました。
亡くした直後、取り乱さないように張りつめた状態で、どれぐらい時間がかかるのか等詳しい事を伺っていなかったものですから、友達も電話して聞いてみたらって、言ってくれるのですが。
結果が出ているのなら、必ず連絡をいただけると信じていましたから、待ちました。
とても意外な結果でした。
どうあがいても、救ってやれることのできない病気だった。
どんなに戦ってもかなう相手ではなかった。
死んでまで、解剖などという辛い選択をしたけれど、決して無駄ではなかった。
ひとつ、胸のつかえがおりたような気がしました。
それでも、色々な疑問が浮かびあがってきます。
- 痛くなかったんでしょうか?
- 気持ちは悪かったかもしれないけれど、痛みはなかったと思います。
- 何だって食べさせてやれたんじゃないんでしょうか?
- 食べさせれば調子が悪くなっていたのだから、何でも食べさせていれば、死期を早めることになっていたでしょう。
- 始めに生検をしていれば他にもっと治療方法があったのでは...。
- 他に治療法はあるけれども、大差はなかったと思います。
- 切り取った組織はどんな方法で、検査するのですか?
- 絵を描いて説明してくださいました。組織をロウのように時間をかけて固め、薄くスライスして検査するそうです。
検査の費用を負担していただき、結果まで丁寧に説明していただく時間を割いていただき、おかげさまでやっとひとつだけピリオドをうつことができました。
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