久の章−20『ローラの微笑み』
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「こんにちはリオくん」
森で一夜を明かしていたリオに明るく声をかけたのは
普段からリオを弟の様に可愛がっていたローラだった。
「え? ローラお姉ちゃん?」
「良かった、無事だったのね」
「…う、うん」
ローラはリオの返事に頷きながらゆっくりと近づいてきた。
「だ、駄目! ローラお姉ちゃんこないで!!」
「どうしたのリオくん? まさかアタシが怖いの?」
「違うんだお姉ちゃん、ボクの近くにくると危ないんだよ」
「?」
ローラは不思議そうな顔をして立ち止まったが笑みは絶やさなかった。
「なあに? まさか罠なんてしかけてるの?」
クスクスと笑いながら話しつづけるローラ。
「う、うん、そうなんだ。だから…」
説明もしたくなかった。だからリオはそう答えた。
「そう、それじゃあ弾が勿体無いけどしょうがないわよね」
そういってローラはポケットから拳銃を取り出した。
「え? お姉ちゃんなに?」
ローラの突然の行動に何が起こっているのか理解できないリオに彼女はこう答えた。
「さようならリオくん♪」
森に再び銃声が響いた。