とある秋の1日
後篇
亜里亜の家の近くに麻薬常習犯達の住みかがある……!
透夜と晃一郎の個人的な知り合いである本川警部によってもたらされたそれは透夜達に衝撃を与えることもたやすいことだった。
知り合いの危険を黙ってみてる真似はできないと警察の後方支援を買って出ることになった。
「つーこって、俺達は本川警部の手伝いをすることになった。」
「のはいいんですが、私達にできることなんてあるんですか?」
「何?アーサー、自信無いの?」
「そう言うわけではなく……」
「じゃ、いいっしょ?」
その笑顔でさすがのアーサーもうなだれてOKを出すしかなくなる。
「だけど、やり方は?」
「ここに四葉が警察の皆さんから『チェキ』した地図がある。」
その透夜の言葉に晃一郎が「その『チェキ』にゃあ『強奪』の意味があるんじゃないの?」と言いたそうな表情になるが、透夜に無視しろと言いたげな表情で返す。
「この地図からすると、この住処の入り口は正面門に二つ、裏門に一つある。だから部隊は補給組みを合わせて四つに分けようと思う。」
「正攻法……だな。」
「うん。本川警部一緒に片方の正面門から攻撃するのは杏とシィウチェン、それにメリッサに頼もうと思う。」
「分かった。シィウチェンさん、メリッサさん、よろしく頼みます。」
透夜の言葉に杏はシィウチェンとメリッサに会釈をする。
「もう片方の部隊は俺が指揮を取る。メンバーは俺とフェイン、クロビス、セリカ。それとリン、お前もだ。」
「え、わ、私?」
「つーよかメカ鈴凛をプラスして……かな?」
「あ、地図をメカ鈴凛に覚えさせるってワケか。」
「そういう事。四葉、地図を。」
透夜の指示で四葉はメカ鈴凛に地図を渡す。
「石田警部と一緒に裏口から行くのはアーサーとカスミ、アイ、そして晃一郎だ。残りはこっちで後方支援に徹してくれ。」
「分かったわ。……貴方が指揮官……と言うよりお兄ちゃんが出来る理由が分ったわ……杏君にも言えることだけどね。」
「何よそれ。」
「え?う、ううん!なんでもない!」
思わず呟いた言葉を透夜に聞かれ、ユミールは思わず戸惑いの声を上げてしまう。
「ふぅん……まぁ、いっか。」
「透夜君、彼女の言葉はしっかり聞くものよ。」
「うっせえ!能天気刑事!」
「何ですってぇ!」
「まぁまぁ、どっちも抑えてください!」
作戦前にケンカする本田刑事とトウヤを石田刑事がいつもながら抑え役になる。
「そースね。んじゃ、パパパーっと終わらせましょっか。」
「そっねぇ〜」
「ふぅ……ん……麻薬常習犯や麻薬密売人達の住処ってだけあってけっこー人数いるもんだね。」
本田刑事と一緒にいた刑事から借りた銃を構えつつ、物陰から見える様子を探る。
犯罪者達は透夜達とは反対にある場所の二つのドアを守っているようである。
「とーやさん。中心部に行くには正面右のドアの方が近いようです。」
「うーん……こーいう時に限って近いほうに兵力を集めてるんだよね……」
メカ鈴凛の報告で毎度ながら腕を組んで考え事を始めてしまう透夜。フェインから言わせれば、これはじれったい行動である。
「透夜。あの人数ならこのまま入ってもいいんじゃ……」
「いや、ここは少し揺さぶりをかけよう。」
フェインの提案に透夜の右腕には何時の間にか銃ではなく、爆弾が持たれていた。
「……お前、それでも正義の味方かよ。」
「おあいにくさまですね、フェイン・ジン・バリオン君。俺の正義とお前の正義にはびみょーなズレという物がございますのよ。おほほほほほほほ。」
所々意味不明な言動をした直後、透夜は手に持っている爆弾を問答無用に投げた。
直後、死人が出てもおかしくないほどの爆発音が鳴り響いた。
「メカ鈴凛、死んだ奴は?」
「体温確認……死者はいない模様。」
「と、ととととととととととと、透夜!貴方、今何投げたの?」
「何って……千影&鈴凛特性の煙幕弾だけど。」
上ずったセリカの声に、透夜の声は笑っていた。
「さて、これで誰も殺さずに先に進む事が出来る。みんな、行くぞ!」
「りょ、りょーかい。」
透夜の言葉にようやく声をあげることができたのはクロビスだけであった。
「だだだ、助けてくれぇ〜〜!」
本川刑事が指揮する方では、先ほどの爆発で殺されるとでも思ったのか、犯罪者達は助かりたい一身で警察に投降していた。
「透夜の奴、アレを使ったな……?」
「アレ?アレとはなんだ?」
「時限爆弾。」
杏の言葉にシィウチェンとメリッサは一瞬にして石化する。
「ウソ。冗談。デカい爆発音と煙をだすだけの道具。姿が某パイナップルに似てるから爆弾って呼んでいるだけ。」
「そ、そう。」
「どっちにしても突撃ね。あ、石田君!投降してきたバカ連中の整理、任せたわよ〜!」
「りょーかい。」
本川の言葉に石田はもう慣れたといわんばかりにため息をついた。
「ここがボスの部屋だな。照合頼む。」
最も奥にある部屋の前で、透夜は後ろにいるであろうメカ凛鈴に声をかける。
「りょーかい。照合開始。ここはボスさんの部屋です。」
(……ボスの部屋って書いてあるんだし、ここはボスの部屋なんだろ?)
二人(?)の会話にフェインが心の中でツッこむ。アガルディア人なうえに、フォルゼンみたいに何ヶ国語もペラペラな学者じゃないフェインがどこでどうやったら日本語を読めるんだというツッコミは無しだったりします。
「よし。行くぞ!」
叫ぶや否や、透家は目の前のドアを蹴破る。
「よ、よ、よ、よ、よく来たな。俺がボスだ。」
「んなことは分かってる。」
一番奥の玉座らしき椅子に座っている男が透夜達を確認すると、上ずった声で歓迎の言葉を言う。
「す、すみません。用件は分かってるんです。だから警察に引き渡してください。」
「……どうする?」
「どうするもこうするも、引き渡してやったらどうだ?」
透夜の一言にフェインも呆れたような言葉をかける。
「……だな。」
フェインの言葉で透夜はやれやれと言った感じで電話を取る。
「刑事。ボスを捕獲したんで、引取りにきてください。」
この事件によって、当然の如く、彼らは次々と麻薬密売人やら犯罪人やらが結構捕まったと言う。
ついでに言うと、メカフェチであるセリカと凛鈴の間に友情が生まれたとか生まれなかったとか。
終わり
後書き
あー、何かフェインがいい人やりまくってますねぇ……。
ちゅーか、シスタープリンセスのキャラクターたちってこんな感じでいいんだろうか?何度もそう思いつつこれでジ・エンドです。
当初は3部作の予定だったんですが、私のやる気が無くなってしまい、申し訳ありませんが……
後編になる予定の部分は後ほどやる気が出てきたらということでご勘弁願います。
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