赤のレジェンド4


 

――アークエンジェルブリッジ

 

「ドムトルーパーより回線来ています」

「繋げて」

「了解」

 アークエンジェルのモニタにヒルダの姿が映し出される。

「マリュー艦長、久しぶりだ。こちらドムトルーパーパイロット、ヒルダ・ハーケンその他2名だ」

「おいおい」

その他扱いされたヘルベルト、マーズが苦笑する。

「ええ、お久しぶりだわ。でもどうして?」

「今は話し込む時じゃないだろう? 状況は解っているから作戦を継続しな。レジェンドmk2はこちらが引き受けよう」

「ありがたい申し出だけど、じきにザフトモビルスーツ部隊が到着するわ、いくら貴方達でも・・・」

「それも問題ない。作戦を続けろ、以上だ」

一方的に通信が切られる。

(問題ない? 何か作戦があるの?)

「アカツキ、ネオディスティニーに向かいました」

「そう、あっちでは話はついたみたいね、それじゃ作戦を継続して」

マリューはこの絶望的な戦いに勝機が見えてきていた。

 

 

――第3防衛ライン前線

 

 正面、ヒルダ機のジャイアントバズーカをかわした直後、後方からヘルベルト機、左上空からマーズ機の

ジャイアントバズーカが火を噴く!!

 後方の実弾を避けつつビームシールドを展開し左からのビーム攻撃を受け止め、正面のヒルダ機へ迫るが

目標は既に右手側に機体を移動していた。

「ちぃッ」

 ターゲットであるレジェンドmk2を中心に3方向に散ったドムトルーパーが見事な連携攻撃を見せ付ける。

「何故オーブに手を貸す?」

 接触してきてからずっと通信を求めていたドムトルーパーに回線を開いたアスランは最初にそう質問した。

「なんだい? やっと回線を開いてくれたと思ったら挨拶もなしかい?」

ヒルダ機が応答する。

「なんの挨拶もよこさずに姿を消した君達にそれをいう資格はあるのか?」

「クク、違いない」

「ヘルベルト! あんたは黙ってな」

「手を貸す理由はなんだ? ラクスの差し金か?」

「・・・!!」

3人が息を飲む。

「今更出てきてまた戦場を混乱させる気か?」

「その言い方癇に障るね・・・ラクス様を馬鹿にする気かい?」

「馬鹿にする? それはこっちのセリフなんだが・・・また自由(フリーダム)の名の元に戦場を混乱させ

 事態を悪化させるつもりなら迷惑だから大人しくしていろと伝えてくれないか」

「ラクス様の崇高なお考えやお気持ちをそんな捉え方で侮蔑する気かキサマ!!」

「隊長落ち着け!」

「黙りな! ジェットストリームアタックをしかけるよ!!」

「しかしそれじゃ・・・俺たちの目的はアスラン・ザラを止める事だ、殺す事が目的じゃない」

「そーなっちまったらもう無理だろ、いくぞヘルベルト」

 ドムトルーパー3機が一列に並ぶ。

「一つ言っておくよ、これはラクス様の命令じゃない、だけどラクス様ならこの戦いを止めるはずだ」

「・・・そうか、黒幕はキラか」

「!!・・・これ以上のおしゃべりは無しだ! いくよマーズ、ハルベルト!!」

『『了解』』

 戦闘のヒルダ機がG14X31Z スクリーニングニンバスを展開させ、オレンジ色の粒子が3機のドムトルーパー

を包み込む。

 

『ジェットストリームアタック!!』

 

 3機のドムトルーパーが一列に並びアスラン駆るレジェンドmk2に迫る!

 

・・・そう一列に、ドラグーンユニットを装備したレジェンドmk2に。

 

「俺は警告はしたぞ」

 ドラグーンユニットを起動させ、GDU-X5突撃ビーム機動砲8機が宙に舞い、ドムトルーパーに

360度からのビームの雨を降らせた。

「甘いよ!!」

 散布された防御フィールドがビームを弾く。怯む事なくレジェンドmk2に突き進むドムトルーパー!

「うおおおおおおッ!!」

 両手にビームサーベルを持ったレジェンドmk2が迫るドムトルーパーに飛び込む。

「なめるなァッ!!」

 先頭、ヒルダ機のジャイアントバズーカが火を噴く!

それさえもかわし、レジェンドmk2はヒルダ機の頭を踏み潰した。

「私を踏み台にした!?」

 レジェンドmk2がヒルダ機の後ろ、ハルベルト機に左右から挟み込むようにビームサーベルを振り下ろす!

「(上か下か?・・・上だッ) 当たるかよォ!!」

 推力を考え、上方へかわそうと飛び上がるハルベルト機のドムトルーパー。

「ぎあッ!!」

 最悪でも足を持っていかれるだけだと思っていたハルベルトは上下から2機のGDU-X7突撃ビーム機動砲から

伸びたビームスパイクに串刺しにされた。

上に逃げようが下に逃げようが結果など最初から決まっていた。

360度からの同時攻撃可能なプロビデンス機の後継機であるレジェンドmk2に対し、いかに防御力を上げようとも

はなから前後の逃げ道を塞ぐ無謀なフォーメーションであるジェットストリームアタックなど自殺行為であった。

「そして俺はキラとは違う」

 ドムトルーパーを真っ二つにした後、GDU-X7突撃ビーム機動砲がレジェンドmk2に接続した。

「キサマああああああッ!!」

一瞬呆然としていたマーズが眼前のレジェンドmk2にジャイアントバズーカを向ける。この至近距離では自身の機体も

無事ではすまないであろうが今のマーズにはそんな事はどうでも良かった。

「遅い」

「なにィ!?」

既にマーズ機を囲んでいたGDU-X5突撃ビーム機動砲から8本のビームがドムトルーパーを串刺しにした。

「ガッ・・・あ、ああ・・・隊長ッ!!」

四散するマーズ機。

「マーズ、ハルベルトッ!!!」

ヒルダの悲痛な叫びに答える者はもはやいなかった。

 

 

アスラン・ザラ  ドムトルーパー2機破壊。

 

 

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