東京新聞 7/30 朝刊 野呂法夫 |
江戸期からの庶民のいきな遊びとして知られ る江戸前の風物詩、ハゼの船釣りシーズンが やってきた。冬から春にかけてふ化したマハゼ の子はこの季節、体長10-5cmにまで成育。 河口域や護岸寄りの浅瀬にすみ、食欲おう盛で 成長し続けている。 ハゼ釣りが待ちきれない太公望たちは炎天下、 護岸や岸辺からサオを差し出す「陸(おか)っぱ り」から始める。 |
その夏ハゼ釣りも、お盆すぎから船釣りが本格化する。週末ごとに、ハゼが生息する浅場に 船がどっと繰り出し、ハゼが深場に落ちる11月まで続く。 近年、最も人気の高いハゼ釣り場が、「最後の江戸前ハゼの楽園」とされる東京港の有明旧 貯木場(通称・十六万坪〉。 都はこの海域の大半を臨海副都心開発の関連で埋め立てる予定だが、都民の反対運動が起こ り、都講会でも「推進」と「凍結・中止」がほぼ真っ二つに分かれたままだ。 埋め立てをめぐっては、推進派の自民党都議がハゼ釣りを侮べつした「(十六万坪は)ハゼの 処刑場」発言が今もなお尾を引いている。 船釣りの最盛期には1日数百人がハゼ釣りを楽しみ、多くのハゼが釣り上げられることをや ゆしたつもりだが、「都議は釣りをしたり、魚を食べたりはしないのか」と釣り人たちの怒り は収まっていない。 『資源の元本確保を』埋め立て論争に一石 その”場外戦”を収束させる考え方が、20日都内で開かれた東京湾シンポ「どうしたら江戸 前の海が復元できるか」 (主催・よこはま水辺環境研究会など165団体)で披露された。 「ハゼ資源の利息論」を展開した江戸前研究者によると、天然資源には使えばなくなって しまう石油や石炭の資源と、太陽や風力エネルギーのような更新できる資源に大別され、 ハゼなどの漁業資源は後者にあたる。ハゼの釣果とは銀行の利息を受け取るのと同じで、 生息環境が十分守られ、利息の範囲内なら持続的な利用は可能という。 「むしろ元本を食いつぶす埋め立てや、元本を損う開発こそがが問題なのす。」と研究者は 指摘した。 さらに、別の講師は「十六万坪は江戸前の面影が残された最後の場所。ひと網入れたら 1500匹のスズキの稚魚が捕れた。スズキは捕食性の上位の魚。その底辺を支える多くの魚が いるあかし。これこそ江戸前の海」と言葉をつないだ。 市民団体「江戸前の海十六万坪を守る会」(安田 進会長)と 遊漁船関係者は、8月8日、 そうした中、地元江東区(東京15区)選出の国会議員が動き始めた。先の衆議院選挙は無駄 |
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