丸帆亭 萬釣報 #51 2000.7/25 更新                    
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つり人9月号より p.3
 

絶滅危異種が東京湾には豊富に生息?
 一方、運輸省は認可の手続きを行う立場に
あることから、困惑気味であることに変りは
ない。しかし環境庁同様、「都に対し調査を
やり直せと言える立場でもない」と消極的だ。
ただし、「納得する説明がないと認可はでき
ない」とも語っており、自然保護団体の期待
感は運輸省に集中しつつある。ところがこれ
は、東京都が運輸省を納得させる材料を提示
すれば「認可もやむなし」となる可能性が高
いと示唆するものでもあり、
 都合のよいデータしか提示しない都の姿勢こそ問題視しなければならないだろう。
そしてその懸念はすでに現実のものになりつつある。
都は運輸省に対し、エドハゼは他の地域にもたくさん生息しているとのデータを出しているというのだ。
エドハゼの存在がクローズアップされる以前、東京都港湾局はほとんどエドハゼについて語ろうとはしな
かった。ところが十六万坪においてエドハゼが発見されるやいなや、東京都版レッドリストに指定されて
いる(最も絶滅が危倶されるA種に指定)にもかかわらず、掌を返すがごとく東京湾では珍しい存在ではない
かのような発言を始めたのである。
 こうした姿勢に港湾局の横暴さが見え隠れする。そして先に述べた10月調査。最もマハゼが釣れる時期
に1尾もいないと.公表していることからも、まさに「運輸省だまし」といって過言ではない。これが現在
の東京都港湾局の実態なのである。

 事業推進が落選につながる?次の都議会選に注目!

 6月25日の衆議院選挙は、実に興味深い結果をもたらすことになった。公共事業の問題がひとつの争点
になり、予算のバラマキを続けてきた与党が大幅に議席を減らしたからだ。
 一方、公共事業コントロール法案の提出を模索するなど、景気対策としての公共事業より財政構造改革
を優先する民主党が議席を伸ばした。特に東京などの首都圏では、自公保の候補者は惨塘たる結果となった。
これは開発一辺倒の政策を、もはや首都圏の人々は望んでいないという証でもある。また、公共事業は
すでに景気対策としての効果が薄れており、それは一向に景気がよくならない現在の状況を見ても明らか
である。そのことにすでに都民は気づき始めており、次の都議会選挙でも、福祉など生活に密着した政策
を打ち出さず公共事業を優先するようでは、これまでのように有権者の支持を得られるとはかぎらないの
ではないか。
 さらにつけ加えるなら、有明北地区埋立事業はムダな公共事業の典型であるということだ。
もちろんすべての公共事業を否定することはできないが、臨海部に広がる広大な空き地を見ればそれは
一目瞭然である。百歩譲って住宅が必要だとしても、建設するのは民間企業であり、埋立後は軟弱地盤
のため地盤改良が不可欠とされ、それにかかる費用は都ではなく民間企業が負担することになる。
 よってその分が住宅価格に上乗せされ、庶民には無縁の高価なマンションしか建設は.不可能なのだ。
もちろん、本当に住宅が建設されるかどうかも不透明であり、新たな空き地を創出するだけに終わる可
能性も否定できないはず。これをムダといわずして、何というか。もうこれ以上、税金の浪費は控えて
ほしいというのが都民の声なのだ。
 衆院選に話を戻そう。都民は自公保連立への不支持、その意思表示を行なったと言い替えることもでき
注目すべきは現在の都議会もまさに自公政権であるということだ。それはまるで国政の縮図であり、埋め
立てを推進する側の議員としても「気が気ではない」というのが本音だろう。議員生命が問われることに
もつながるからだ。
 十六万坪の地元、江東区(東京15区)での衆院選に注目してみると、次の都議会の行方を想像すること
ができるかもしれない。埋め立てに賛成してきた自民党の木村勉候補が落選し、埋め立て反対を主張して
きた無所属の柿沢弘治候補が当選したのである。
 選挙開票後、柿沢議員は有明北地区埋立事業について次のように語っている。「十六万坪の埋め立ては
原則として反対です。ここは後世に残すべきなんです。石原さんが言えば十六万坪は保存の方向でできる
はずなんですがね」と、石原都知事の政策に疑問を投げかける一方、ビオトープとしての可能性にも触れ
ている。「十六万坪に関してはハゼの産卵場ということとあわせて、ビオトープ的自然環境を生かしてい
こうというのが私の主張です。水辺における生命の誕生というのは魚はもちろん、さまざまな鳥たちがあ
そこで憩う。そういう点ではこの周辺を堤防で区切るのではなく、1mでも2mでもいいから、満ち潮の時
は水面下に、干潮になったら水面に出る、有明海の諌早湾のようにね。
 埋め立てるのではなく、そういうビオトープを作ったらどうかと思いますね」と、このように語り、
地元の問題だけに理解は深いようだ。人と水辺環境との関わり、その関係を絶つ護岸整備などに以前から
疑問を呈してきた柿沢議員。今後の活動に期待したい。
 最後に補足しておくが、東京15区では自民党の木村勉候補以外、民主、共産、自由、無所属など、すべ
ての候補が基本的には十六万坪の埋め立てに反対していたことを記しておきたい。
また自由党の東祥三候補も比例区で当選しており、反対派議員のみが地元江東区から当選したことになる。
今後の両名の活動に期待するとともに、次の都議会選挙を視野に入れ、各都議会議員が有明北地区埋立
事業をどう捉えるのか、注目していきたい。

隅田川のカミソリ護岸を作ったのは私、その反省として、
みんなが水辺て憩うことができるテラスを作ったのも私。
でも、それだけでは満足していません。
干潟やアシ原を作り、生物を生み育む本物のビオトープを
作りたい。
私の夢は、家のベランダからサオをだしてハゼ釣りを
楽しめるような江東区にすることなんです」
 と、地図を指さし"を目を輝かせる柿沢議員。
2000.7/26 校了