丸帆亭 萬釣報 #40 2000.4/25 更新                   
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やっぱり十六万坪はハゼの聖域だ!。
都環境影響評価のウソと詭弁)
ー 江戸前の海を守る会 勉強会  レポート ー
  "つり人”6月号 より
 都の環境影響調査を根拠に、行政側が、現地十六万坪は特別なハゼ等の聖域などではなく
むしろ少ない場所であるなどと、埋立推進の論拠にしている事は、既にお伝えした通りです。
 曰く、「ハゼの生息孔は多摩川河口の1/50しかないから、ハゼは少ない。」
 曰く、「産卵は十六万坪以外の深場に移動して行われるから、埋立ても影響は少ない。」
 これらはみんな、
大ウソ です!!。

 ”江戸前の海十六万坪を守る会”のメンバーの、情報開示請求の弛まない努力で、先日、
公式に関連書類(水域環境調査の全報告書、親水空間検討委員会報告書、等)の入手が叶い、
やっと表立っての検証と反論ができる下地が整いました
。世話人の中野さん、本当にご苦労様でした。
(信じられない事に、普通の請求では、今どき、墨塗り文書や、ページ抜けのコピーが平気で出てくるそうです。
それが今の都政だそうです。驚きますね。)

 そこで学術的専門家の先生の力をお借りして、この水域環境調査のハゼに関わる部分の
学術検証をお願いしたところ、やはり、埋立推進の論拠になるようなものではなく、
むしろ、いかに現地十六万坪が、ハゼの聖域であるか、他と比較しても、完璧な生活環
(ライフサイクル)が成り立っているかを、証明するもの
であると断言できるものでした。

 4/24 この検証を一刻も早くと、”江戸前の海十六万坪を守る会”が主催で、江東区
産業会館の一室をお借りして、勉強会がありましたので、その内容の報告かたがた、
以下レポートいたします。

 豪雨の中での勉強会で、少人数かと思いきや、30人以上お集まり頂き、主催者も、この
運動の地道な盛り上がりに驚いた次第ですが、やはり決して埋立させじ!と言う強い合意を
感じるもので、心強い思いでありました。
ご都合主義の数字のピックアップには呆れるばかりです。怒れ!!
まず、専門学術の先生が、環境影響調査書の検証をレポートにまとめて下さいまして、
その講義と質問となった訳ですが、順を追うと長くなりますので、私の理解の範囲で
簡単に書きます。


 ・前提として、調査方法に問題があり、調査区域の選定もメッシュ法によらないもので、
  学術的に信頼しうる調査ではない。現地十六万坪でハゼの生息密度の調査が平成10年
  10月以降、急に調査を停止した理由がわからない。すべてを統一した学術的調査法で
  すべての地域の調査をやりなおすべきである。

   と前置きしておき、そのいい加減な調査資料の中で読み取れる範囲でも

 ・すべてのデータが現地十六万坪で、ハゼの完璧なライフサイクルが成立している事を
  示している。産卵生息孔があり、中に卵があり、仔魚がいて、稚魚がいて、成魚も
  沢山いて、しかもそれは、他の湾奥の水域の比ではないほど多い。

 ・問題は産卵時期の違いであり、現地十六万坪では12月と早い時期が産卵の中心だから
  港湾局の発表は他の水域の産卵の中心である2-3月の数字のみをピックアップした
  ご都合主義のものである。この時期だけのしかも産卵生息孔(都は生息孔と略す)だけ
  の比較で、はじめて1/50などと言うバカげた発言が成立するが、ひどい詐証である。

・同資料には”有明北と周辺海域におけるマハゼの生息密度(個体数/10F)があり
有明十六万坪 周辺海域
H.9 12 0.27 0.03
2 0.02 0.04
3 0.03 0.03
H.10 9 1.89 0.39
12月や9月の調査では、ハゼの成魚は周辺水域の
5〜9倍もの生息が確認されているが、まったくの
無視をしている。不利な数字を隠した環境調査と
言わざるをえないものだ。しかも、他水域では、
続けている調査を十六万坪に限り、H10.10月以降
何故か停止している。


 ・その産卵時期の幅広さこそが、マハゼが東京湾奥で生き延びてきた所以であり、
  特に現地十六万坪の産卵期の早さこそが湾奥の生態系の大きな部分を担っている可能性
   は非常高いものと考えられる。

 ・いくつかの添付書類にみられる有明問題の検討委員会(専門分野)報告書の文面には、
  産卵生息孔の形状や産卵時期、生殖腺成熟時期などの調査から、港湾局の「埋立による
  影響は少なし」を裏付けようとの意図か、現地十六万坪での産卵数の少なさを論じようと
  謀るものもあるが、矛盾点が多く、検証すれば産卵数の多さを証明するものになってい
  る。
 ・以上は、一専門家の私見にとどまらず、どの学術専門家に検証して頂いても同じ
  答えの得られるものであります。

 と、まぁ、こんな調子です。これ以上書くと、港湾局長と同じに、コチラ側に都合の良い
数字ばかり並べそうですので、
検証レポートの全文を、別途にPDF書類にてUPいたしました。ご覧下さい。

 その後、先生と参加者との質疑応答で、やはりハゼと魚の話題、例えばマコガレイの稚魚
の話しや、朝汐運河のハゼ釣りなど、船長の皆さんの参加も多いせいか、盛り上がりと共にすっかり時間が足りなくなりまして、勉強会とは別のもう一つの本題に移りました。


長文ごめんなさい、<m(__)m>  次のページへ⇒