5月9日、12団体が連名で有明北地区(十六万坪)の埋立工事の凍結を求める申入書を石原都知事に提出しました。
申入れには中村信一秘書(副参事)が応対し、「知事に伝え、関係局とも検討して回答します」と申入書を受け取りました。
=以下、全文を紹介しますー
東京都知事 石原慎太郎様
有明埋立事業について贈収賄事件の真相が解明するまで埋立工事の凍結を求める申入書
2001年5月9日
江戸前の海十六万坪(有明)を守る会 安田 進
臨海部開発問題を考える都民連絡会 中野幸則
東京湾・十六万坪の自然を守る会 田巻 誠
東京勤労者つり団体連合会 加藤恵司
東京湾の浅瀬干潟に親しむ会 楠山忠之
東京圏の水環境を守る会 久慈 力
海川の埋立に反対する会 日下博史
江戸前と活きる会 三浦時子
三番瀬を守る会 田久保晴孝
千葉の干潟を守る会 大浜 清
三番瀬を守る署名ネットワーク 大浜 清
野鳥の会三番瀬グループ 遠藤源太
2001年3月13日、東京地方検察庁へ有明北埋立事業について、贈収賄の疑いが極めて濃厚な事件についての告発がなされた。贈賄側の被告発人は、江戸川区、江東区、台東区の建設会社であり、東京湾臨海副都心開発事業である有明北地区埋立事業を早期に推進することを目的として、1998年と1999年に、収賄側の被告発人、江戸川区選出の都議会議員に対して政治献金を供与し、議員は臨海副都心開発と有明北地区埋立事業推進のために議会でたびたび質問を繰り返した。2000年8月に有明北地区埋立時事業は認可され、上記三社はそれぞれが埋立工事を落札した。これは公務員の職務に関する贈賄の収受、収賄を禁止している刑法第197条及び198条に違反し、明白な贈収賄罪にあたるというものである。
本贈収賄事件が発覚した有明北地区の埋立事業は、臨海副都心開発計画の一環として位置づけられ、2000年8月17日、運輸省は都の認可申請を認め、埋立免許を取得している。しかし、すでにこの約半年前の時点で、工事請負契約書が締結され、前払い金が支払われ、工事が着手されていた事実が明らかになっている。これは明白な違法工事であり、東京地方裁判所に工事の差し止めなどを求めて、裁判に発展している。
臨海副都心の埋立地が利用されずに余っているにもかかわらず、石原都政は、埋立地開発をやめようとしない。有明北地区の埋立計画はその一つであり、住民団体、自然保護団体、釣り愛好家などから強力な反対の声が上がるのは当然である。
東京都は有明北地区の住宅開発の必要性を必死でアピールしているが、まったく説得力に欠けている。この埋立事業は、海洋土木の工事を請け負う建設業者、港湾局の仕事やポストを守ろうとする役人、港湾事業の利権を守ろうとする政治家のための事業にすぎないのではないか。都民にとって、住民にとって、この埋立事業を推進すべき理由はまったくない。
有明北地区は、東京湾に残された数少ない浅瀬で、海洋生物、野鳥などの成育場所として重要なのである。有明北地区はまさに「生き物のゆりかご」なのである。また、ハゼの生息密度をみても、周辺水域の5倍から10倍も高い。周辺地域から集まってくるのだ。大振りのハゼが大量に釣れるのはここしかない。まさに「ハゼの楽園」なのである。だからこそ、東京湾の各地から釣りの名所として釣り船が結集するのである。このため有明北の埋立に反対する地元住民団体、自然保護団体、釣り愛好家、船宿関係者、港湾関係労働組合、文化人などが活発な運動を展開してきた。
すでに埋立の影響で、ハゼが有明北の海域からほとんど姿を消してしまい、この海域で釣り船や屋形船を出して、生計を立てていた漁民や船宿経営者は、生活権、財産権を侵害され、大きなダメージを受けている。
被告発人の都議会議員は、95年から都議会臨海副都心開発特別委員会の委員及び理事を続け、97年5月19日の臨海副都心開発特別委員会で、臨海副都心については「社会経済状況の変化に機動的に対応するとともに、開発の長期的目標や財政の健全性を確保しながら、積極的に開発を進めること」などと積極推進の発言をしている。
また、2000年の3月14日の予算特別委員会で、同議員は「有明埋立事業は、職住近接を実現し、今後の臨海地域の重要な発展のかぎを握る広域幹線道路や、『ゆりかもめ』の延伸を実現する。きわめて意義の高い事業です」と積極的推進の発言をしている。また。「有明北は本当にハゼの楽園と言えるのでしょうか」とか『東京湾ではオコゼも釣れる』とか「それこそハゼの最後の楽園が、ハゼの最後の処刑場みたいな感じで……」という発言をし、最後に「我が東京の再生をかけた大事な大事な開発です。ぜひ今後とも勇気をもって頑張っていただきと思います」と結んでいる。
これらの発言は認可を速める効果、埋立反対運動に水を差すことを狙ったもので、当然、議会での質問は職務行為にあたり、政治資金は贈賄にあたる。これはあきらかに上記三社に便宜をはかった明白な犯罪行為である。KSD(中小企業経営者福祉事業団)が、小山孝雄参議院議員へ「国会でKSDに有利な質問をする謝礼」として資金提供してのと同じ構造である。
同議員の政治団体の1998年分の収支報告書をみれば、江戸川区の建設会社から15万円、江東区の建設会社から12万円の政治献金があったことが記載されている。
また、1999年分の政治団体の収支報告書をみれば、同じく江戸川区の建設会社から10万円、台東区の建設会社から12万円の政治献金があったことが記載されている。
上記の三社は、97年までは同議員に対して、政治献金を繰り返し行ってきた形跡はなく、また、臨海副都心関連での仕事もほとんどなかった。この有明北埋立事業の推進と落札に向けて違法に献金した疑いが強い。これはこれまでの判例を検討してみても、明白な贈賄行為である。
参考資料として、告発状を添付する。
東京都民の反対の意向が強い有明北埋立事業について、このような重大な贈収賄事件が発覚したことは看過できないことであり、事件の真相が解明されるまで、埋立事業を一時凍結すべきである。以上、強く申し入れる。
この申入書については、5月31日までに、下記の連絡責任者まで、文書でご回答ください。
連絡責任者
東京都江東区辰巳1−8−42−205
TEL/FAX 03 3521 6872
中野幸則
埼玉県さいたま市本町東5−18−14
TEL/FAX 048 840 5560
久慈 力
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