[江戸前の海十六万坪(有明)を守る会]
情報、其之参   2000.6/9
エドハゼ発見の記者会見朝日新聞、6/7 関連記事より。
意味のない公開質問状への都港湾局長、公式回答

色絶滅危惧種
「エドハゼ」
有明貯木場で確認!
 有明貯木掲の埋め立てに反対している市民団体「江戸前の海十六万坪(有明)を守る会」
(安田進会長)は十六日、絶滅のおそれがあり、環境庁がレッドリストに載せているハゼの
一種「エドハゼ」=写真、江戸前の海十六万坪(有明)を守る会提供、を貯木場で見つけた
と発表した。
 都の調査では、お台場海浜公園など3カ所で生息が報告されているが、同会は有明貯木場
での確認例は初めてとして都に調査を求める。
 発見したのは「守る会」会長で、屋形船・釣り船業を営む安田さん。5月21日、貯木場に
屋形船を出しているときに、スクリューの渦で浮いてきた魚の中からエドハゼをみつけた。
体長3.8cmの成魚で、横須賀市自然・人文博物館の林公義副館長がエドハゼと確認した。
 環境庁は昨年2月、汽水-淡水魚類の新しいレッド.リストを作成。そのなかでエドハゼを
「近い将来、野生での絶滅の危険性が高い"絶滅危倶IB類」に指定した。都環境保全局(現環
境局)の1996年から99年までの調査では、お台場海浜公園のほか、城南大橋、葛西人工渚
でそれぞれエドハゼを確認しているが、有明貯木暢は調査地点になっていない。都港湾局が
96.97年に貯木場で実施した環境アセスの調査でもエドハゼは確認されていなかった。
 臨海副都心開発に伴って都は貯木場を埋め立てる方針だが'「守る会」は「貯木場でエド
ハゼが生息している可能性は高い」として、保全を求めている。

5/30. 公開質問状への局長、公式回答文
     江戸前の海十六万坪(有明)を守る会  会長 安田 進 様

12港開技第10号 平成12年5月30日

東京都港湾局
局長 浪 越 勝 海

   (公印省略)

有明貯木場埋立に関する公開質問状への回答について



拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、過日ご請求のありました「有明貯木場埋立に関する浪越港湾局長に対する
公開質問状」について、別添のとおり回答いたします。
今後とも有明地区埋立事業への理解を賜りますようお願い申し上げます。
担当
港湾局 開発部 開発技術課
埋立計画係長 嶋 村
Tel O3−5320−5572


質問1
 35ha埋め立てを含めた土地利用計画は、主に住宅用地となっていますが、この計
画がたてられた10年前では考えられなかった状況があります。すでにこの周辺では
1996年以後建設されたり、建設中、計画中の集合住宅だけで16,000戸を超えており、
さらに増加することが予定されています。海辺環境を破壊してまで住宅用地をつくる
必要があるのか、再検討すペきだと思いますが貴職のお考えを明らかにしていただき
たい。


回答1
現在の土地利用計画は、社会経済状況の変化を受け、当初の計画を大幅に見直して
平成9年3月に策定した「臨界副都心まちづくり推進計画」に基づくものです。
 都心部などの定住人口減少は、高齢者に偏った人口構成、地域コミュニティの衰退
、安全性の低下などを招くほか、住宅地の外延的拡大よる長時間通勤など社会的
エネルギーの損失を生み出しています
このため、居住機能を回復し、職住近接による豊かな都市生活の実現を図る必要があり、
東京都では都心や副都心と有機的、一体的に都市生活を繰り広げることができるような
時間的、空間的近接性を有する地域具体的には有明北地区を含む、環状七号線と都市高
速道路湾岸線に囲まれた区域を「都心居住推進区域」として定め、都心居住の推進を
図っています。
 居住ニ−ズに着目しても、都市基盤整備公団の都民意識調査(99年)によれば、子
育て世代では6割近くの人が、また高齢者の7割にのぽる人が都心居住に賛成してお
り、都心居住や職住近接に対するニーズは今後とも高く、良質な賃貸住宅やゆとりあ
る分譲マンションへの需要が続くと考えられます。
 例えば、都心4区とほぼ同面積のニューヨークのマンハッタン地区では、はるかに
都心居住が進んでおり、就業者の約6割の150万人が住んでいるのに対し、東京では
平成7年に、都心4区の就業人口約330万人に対し、夜間人口は16パーセントの約52
万人となっております.
 こうしたことから、都心から5キロメートル圏にあり、ウォーターフロントの魅力
を持つ有明北地区に住宅を整備し、都心居住を推進することは極めて意義の大きいこ
とであると考えます。


質問2
埋め立てをしないと、橋梁2本で200億円以上、護岸整備に約250億円、補償
・調査に100億円以上、合計600億円を税金で賄うことが必要になるといってい
ますが、その積算根拠を示していただきたい.


回答2
 埋立をしない場合の基盤整備について
@道路を橋梁に変更した場合の整備費については、近隣の類似した橋梁整備費の単
位m当りの整備費から試算しました.
A35haの埋立を行わないで護岸整備をする場合は、民有地の護岸の前面に防潮護
岸を整備することになり、その必要最小限の工事として、しゅんせつ、地盤改良、
護岸建設費等についての概算工事費を算出しました。
B補償費、調査費については、埋立を行わず防潮護岸を整備した場合においても、
埋立をした場合と同程度が必要となります。


質問3
 開発によって、生産誘発効果として18兆円、雇用創出効果75万人が期待されて
いるというが、その算出根拠を示していただきたい。


回答3
 臨海副都心開発のこれまでの投資額と「臨海副都心まちづくり推進計画」に基づく
今後の建設投資額や民間の建設投資額を含めた投資額は、約6兆5,000億円と
推計しており、これを基に一次的な生産誘発効果を推計すると約13兆4,300億円、
二次・三次効果までを含めた生産誘発効果全体では、約18兆2,200億円と推計し
ています。
 また、一次的な生産誘発効果から開発期間中に新たに創出される雇用は、述べ
約75万人と推計しています。
 なお、詳細は「臨海副都心開発に伴う経済波及効果分析調査報告書」
(平成10年)のとおりです。


質問4
アセスでは有明北はハゼの生息が少ないとしているが、ハゼのシーズンである
10月調査の内容を示して欲しい。


回答4
 環境影響評価数の策定にあたって実施した魚類調査結果は下記のとおりであり、
10月の内容は太枠に示したとおりです。

 出典*臨海副都心有明北地区埋立事業環境影響調査評価書(平成11年3月)
  注) ・現地調査による
   ・優占種は、出現種のうち個体数の多いもの3種とした
   ・運河部とは東雲運河及びその周辺水域
   ・貯木場部とは有明北地区内の水域

魚類調査結果

水域 時 期

項 目
冬季 春季 夏季 秋季
(平成8年12月19,20日) (平成9年3月17,18日) (平成9年7月29,30日) (平成9年10月6,7日)
運河部 種類数  範囲 3〜4 1〜5 0〜6 3〜4
平均 3.3 3.3 3.3 3.3
個体数  範囲 7〜27 7〜13 0〜81 15〜226
平均 15,0 10.7 38.7 85.7
湿重量
(g)
範囲 178.4〜767.4 118.6〜293.2 0〜1,524.0 220.0〜946.7
平均 395.8 222.3 739,3 484.9
優占種 マハゼ
40%

チチュウカイミドリガニ
20%

イッカククモガニ
18%
マハゼ
50,0%

チチュウカイミドリガニ
15.6%

イッカタクモガニ
12.5%
サツパ
60%

スズキ
24%

チチュウカイミドリガニ
イッカククモガニ
4%
チチュウカイミドリガニ
74%

スズキ
24%

サッパ、マハゼ、
カタクチイワシ
0.7%
貯木場部 種類数  範囲 3〜4 1〜2 1 5〜6
平均 3.5 1.5 1 5.5
個体数  範囲 21〜37 3〜5 1〜4 17〜24
平均 29 4 2.5 20.5
湿重量(g) 範囲 446.6〜888.4 38.2〜127.1 60.0〜2,100.0 181.0〜200.2
平均 667.5 82.7 1080 190.6
優占ウラナ種 マハゼ
74%

サッパ
19%

スズキ
3%
マハゼ
87.5%

イツカククモガニ
12.5%
サツパ
80%

ボラ
20%
カタクチイワシ
46%

サッパ
27%

コノシロ
12%


質問5
都議会では知事は「ハゼはどこかへ行くでしょう」と言い、局長は「ハゼの釣り場
は他にもある」と答えているが、港湾局として有明貯木場なみの釣り場がどこにある
と考えているのか明らかにしていただきたい。


回答5
有明北地区の水面は昭和31年から貯木場として利用しており、いわゆる漁場では
ありません.
マハゼは東京港内に広く分布する魚であり、釣りシーズンには新聞や雑誌などで大
井ふ頭中央海浜公園、お台場海浜公園の他、荒川や多摩川河口付近、護岸際等、東京
港内の様々な場所が釣り場として紹介されております。


質問6
現在、有明貯木場の水域には陸側から近づけません。埋め立てをすれば都民が立ち
入ることができると言っているが、レイアウト次第では埋め立てをしなくても水辺に
立ち入ることができる。なぜ、埋め立てなければ立ち入りができないと断定するのか
明らかにしていただきたい.


回答6
 現在、有明北地区の水際線のほとんどは民有地ですので、一般の都民が水際に立ち
入ることはできません。
 しかも、水際線の現状は木工団地としての利用であることから地盤高が低く、高潮
による浸水を防ぐためには防潮護岸の整備が必要です.
 東京都の計画は、これらの現状を勘案し、この地域について水と緑の豊かな潤いあ
る住・商・業の多様な職能を備えた活力あふれるまちづくりをすすめると共に、水際
線には高潮に対し安全で、都民が水と緑に親しめる水辺空間を創出するため、防潮護
岸を取り込んだ親水公園を整備するものです.
 また、カニ等の水生生物のすみかとなる近自然型ブロックを備えた護岸や、干潟機
能を有する護岸、汐入りを設置することにより、海の生物にやさしい環境を創出しま
す。
 このように、当方の主張は、「埋め立てなければ立ち入りができない」ということ
ではなく、「埋め立てによって、住・商・業の多様な機能を備えた活力あふれるまち
づくりと、安全で都民が水と緑に親しめる水辺空間を創出できる」というものです。


質問7
局長は「ハゼは釣られ、テンプラにして食ペられるからハぜの楽園とは言えない」
と言うが、魚介類に対する考えが間違って(いると〕思うが、どう考えているのか明
らかにされたい.


回答7
 この発言の真意は、有明北地区の水域が、東京港におけるハゼの唯一の生息地では
ないということを申し上げたものです。


質問8
新しい埋立地は軟弱地盤があり、すぐには利用できないと思うが、開発年度の時期
を明確に示していただきたい.なお、早急に利用するとすれば、地盤改良が必要と思
うがその費用はどうするのか明らかにしていただきたい。


回答8
 環状2号線等の広域交通基盤については、平成17年度を目途に整備していきます。
また、埋立地が竣工した後に、埋立地を安定させ区画道路等の都市基盤の整備をし、
平成20年度から埋立地の処分を予定しています。
 なお、地盤改良が必要な場合の費用については、土地を利用する者が対応Lていく
こととなります。


質問9
「臨界広域幹線道路計画」による幹線道路建設によって大気汚染など環境破壊がさらに
ひどくなることが考えられるが、その対策をどのように考えているのか明らかにしていた
だきたい。


回答9
臨海副都心及びその周辺においては、広域幹線道路の整備により、道路のネットワークが
形成され交通分散や渋滞の緩和が図られること、さらに、排気ガス規制等の環境対策に進展
により、大気の状況は現在よりも改善されるものと考えられます。
 また、道路では緑化を進め、緩衝帯として十分な歩道を確保していくこととしています。
 このほか、渋滞の緩和や環境への負荷を軽減するためには、道路のネットワーク化とともに
自動車交通利用から公共交通機関への転換なども重要であり、現在、臨海新交通「ゆりかもめ」
延伸部(有明〜豊洲)、臨海副都心線二期区間(東京テレポート〜大崎)の早期開業に向けて
整備を進めています。