「ちょびボーグ80」


ついに登場!「ちょびボーグ」スケールアップ版

 いろいろ遊べて楽しい,口径60mmのミニ望遠鏡「ちょびボーグ」。
 その大口径版の完成です。
 「ちょびボーグ」のRFTとしての軽快さに,80mmの集光力をプラスしたら,一体,どんな望遠鏡になるのか?
 注目の(?)デビューです。


口径80mmをミニマムサイズに…

 まずは,完成品をご覧ください。
 60mmの初代「ちょびボーグ」と大差無い?……そこが狙い目なんです。

 対物レンズはミザールのジャンクで,直径82mm(有効径80mm),焦点距離310mmのもの。「ちょびボーグ」とほぼ同じF値です。鏡筒は地上プリズム仕様を前提に,ぎりぎりまで切り詰め,後端にはM57ネジを出しています。これで,M57ネジより後ろ側は,「ちょびボーグ」と完全に互換性があります。
 ……つまり,「対物部交換式」とも言えるわけです。ミニマムな出費とミニマムな労力でミニマムな80mmRFTを作ろうと言うのが,「ちょびボーグ80」の基本コンセプト。



 地上仕様(ミニドローチューブ+直進ヘリコイドS+45°正立プリズム+アイピース)です。接眼部を付け替えれば,天体仕様でも2インチアイピースでも,自由自在です。「ちょびボーグ」と異なる点は,カメラ三脚取り付けネジを鏡筒に直接装備していることぐらいです。



 本体のアップ。鏡筒はVU75ジョイントを2個つなげています。
 この部分の重量は750g。口径80mmの望遠鏡の鏡筒としては,小さく軽く出来ていると思います。




 対物部。塩ビ管の輪切りや塩ビ薄板を組み合わせてセルを作っています。鏡筒内部は植毛紙を貼っています。
 対物レンズはモノコートの貼り合わせアクロマートレンズ。双眼鏡のパーツのようです。




 接眼部側。塩ビ板や塩ビ管を内側に貼って内径を縮め,M57/60延長筒を押し込んでいます。この辺りの作りは,「ちょびボーグ」と同じ。




 「ちょびボーグ」(下)と並べて,大きさの比較をしてみました。
 接眼部をつけていないと,異様ですね(笑)。
 80mmのほうは,大きさと言い,タテヨコのバランスと言い,なんか,大き目の缶詰のようです。
 鏡筒に桃の絵でもつけてみると楽しいかな?(笑)


口径80mmの実力は?

 いくらかっこ良くても形が面白くても,使って楽しくないものではNGです。
 さてさて,その光学性能の実力は………

……結論から言えば,80mm双眼鏡の実力そのまんまです。

高倍率にすれば思い切り青系統の色収差が見えます。
20倍を越えた辺りから,いろいろと光学系のアラが目立ってきます。
Fが小さいので,光軸もデリケートですが,それ以前の問題として,ジフラクションリングなど,望むべくもないような状態ですので,光軸のアラが気にならない程度の低倍率での運用を考えたほうが良さそうです。

 その一方,集光力には捨てがたいものも感じます。60mmより圧倒的に明るく見えます。
 60mmに比べると,かなり重く感じます。それでも,60mm級フィールドスコープ並の重さではあるのですが……。

 しばらくは倍率12〜20倍ぐらいで運用し,もう少し実力を見極めつつ,使い勝手を良くしてゆきたいと思います。


この望遠鏡の目的って?

 この望遠鏡,確かに,市販品にないコンセプトを秘めた,面白い仕上がりになったと思います。
 しかし,もう少し見え味が楽しくないと,面白味をスポイルしてしまいそうです。
 80mm双眼鏡を2分割して単眼鏡にしたものと,使い道も使い勝手も同じでは,ちょっと悲しい。がんばって作った意味が……。
 しかも,我が家には11×80双眼鏡もある(しかも,この対物レンズはミザール製!)。

 何か,この光学系を生かして楽しく遊ぶ方法と,それを実現させるためのパーツを考えなくては……。

 大口径の魅力を考えて,意気込んで作った割には,意外と平凡だったと言うことですね。

 しばらくはRFTとして運用したり,野鳥観察に連れ出したりして,様子を見てゆこうと思います。


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