かんたん!星座写真


 特別な機材無しに,いちばん簡単に撮影できる天体写真は,星座のスナップ撮影です。「お気楽天体写真工房」では,いちばんお手軽な,「固定撮影」による星座写真に挑戦します。これを読めば,すぐにでも星座の写真が撮れますよ。


撮影準備

・銀塩カメラの場合
 天体撮影に適したカメラについては,「お気楽天体写真に適した機材とは?」を参照してください。
 フィルムはISO400〜1600ぐらいのものを用意しましょう。
 レンズは,標準レンズでかなりの星座が撮影できます。標準レンズで,北斗七星やオリオン座などが,ちょうど画角に収まってくれます。もっと大きい星座の場合,広角レンズが欲しくなりますが,これは持っている人のお楽しみとしましょう。また,小さな星座だと,軽い望遠を使ったほうが(35mm判カメラで85〜135mmぐらい)迫力があります。あまり長いレンズはいりません。「固定撮影」の場合,星が日周運動で動いてしまうので,短いレンズのほうが,日周運動が目立たないと言うメリットもあります。
 このほかに,しっかりした三脚とレリーズまたはリモコンケーブルを用意しましょう。

・デジタルカメラの場合
 基本的には銀塩カメラと同じで,カメラ,三脚,レリーズ(リモコン)があればOKです。リモコンがない場合,セルフタイマーを使う手もあります。フィルムは当然,不要です。電池の消耗が激しいので,予備電池や外部電源などを用意してください。内蔵している記憶装置(メモリカードなど)も,容量の大きいのに替えておくと安心です。
 デジカメは,撮影機能設定が豊富です。シャープネス,コントラスト,カラーバランス,感度など,いくつか設定しておく必要があります。とりあえずカラーバランスはカメラに任せるとして,感度は高いほうに設定(但し,電池は食います)。コントラストやシャープネスなどは,撮影結果を見ながら調整してゆくといいでしょう。

撮影してみる

・撮影の手順
 銀塩カメラの場合,シャッター速度はB(バルブ),レンズの絞りは開放〜1段絞ったくらいにします。ピンとは無限大。いずれもマニュアルで設定してください。次に,構図を決めてシャッターを切るわけですが,ある程度星座の形がわかっていないと,どこにどんな星座があるのか,わかりませんね(^_^;)。ま,わからない人は,とりあえず,自分のわかる星座を探して,狙ってみましょう。あとはレリーズなどを用いて,静かにシャッターを開け閉めしてやればOK。バルブの場合,シャッターを押している間だけ,シャッターが開いていますから,長時間の露出をする場合,レリーズにストッパーがついているほうが便利かもしれません。
 このような「固定撮影」の場合,星がどんどん動いてしまいますから,星を点像に写したいときは,ある程度露出時間を切り詰める必要があります。標準レンズの場合,20〜30秒ぐらいまでの露出時間なら,星の形はほぼ点に写ります。望遠レンズだと,より短い時間で星が線状になり,広角レンズだと,もうちょっと長時間の露出でも点像に写ってくれます。
 もっと長時間,シャッターを開けていれば,星の日周運動で動いた軌跡を写すことができます。この場合,バックグラウンドの夜空の光も,かなり写り込みますから,さらに2,3段,レンズの絞りを絞り込むようにしてみます。

 デジタルカメラの場合,長時間の露出では,CCDのノイズを大量に拾ってしまいます。そのため,多くのデジカメでは,露出時間は数秒までしか設定できません。長いものでも60秒ぐらいです。星座を撮影するなら,せめて15秒ぐらい欲しいところです。
 撮影の手順は,ほぼ銀塩写真に準じます。デジカメは無限遠のピント位置が出しにくいものが多いので,少しずつピント位置を変えながら,何枚か試写してみると良いでしょう。カシオのデジカメでは,「無限大」の設定があるのですが,これに設定すると,「無限大」付近でAF機構が働いて,機械がピント位置を探っているので,意外と正確に星にピントが合ってくれません。マニュアル設定したほうが好結果を生みます。

・撮影時に困ること
 実は,撮影したい星座がファインダーで見えないことが,しばしばあります。特に液晶モニターの場合。
 銀塩カメラの場合,明るいファインダースクリーンに交換できるものもありますので,それが可能なら利用しましょう。そうでない場合でも,ファインダーには2〜3等星ぐらいまでなら見えていますから,明るい星を手掛かりに構図を決めます。
 問題はデジカメです。
 光学ファインダーのついている機種なら,扱いは銀塩カメラに準じます。液晶モニタの場合,モニタを明るくする手もありますが,電池を食うばかりで,絶大な効果は期待できません。撮影結果のほうが良く見えますので,何枚も撮影しなが構図を詰めてゆく手もあります。
 銀塩,デジタルに共通して便利なのは,「スポーツファインダー」です。照準つきのフレームのようなもので,純正品はあまり出ていませんが,自作も簡単ですから,工夫してみてください。

作例
 デジカメで撮影した作例を紹介しましょう。

オリオン座。QV-8000で32秒露出。トリミングしています。
まん中の「三ツ星」が2等星ですから,けっこう暗い星まで写っていると思います。
肉眼で4等星ぐらいまで見える夜空でしたが,写真にすると,それよりも暗い星まで写ります。


こちらはカシオペヤ座。
撮影方法はオリオン座と同じ。但し,露出時間は16秒です。
M字型に星が並んでいるのがわかりますか?
星座の形を確認する程度なら,こんな「お気楽撮影」で,じゅうぶんに使えることがわかるでしょう。


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