木星の撮影記録
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2006.05.03〜04
2006年の木星の「衝」は5月5日。連休中の晴れ間を狙って撮影です。
BORG76ED+LV12mm+QV-2900でコリメート撮影。
23:16-23:24,露出1/15秒,30枚コンポジット,シャープネス高,彩度高,コントラスト高,WB蛍光灯,150%拡大。
久し振りの惑星撮影で,撮影時の細かい配慮や画像処理の腕もちょっと落ちたか?……気流の問題もあるので,何とも言えませんが……。このところ,木星の模様が単調だと言う話もありましたが,最近,大赤斑の色が再び濃くなってきたとか,大赤斑ジュニアが現われたとか,表面の状況についての新しいニュースがいくつか。
この画像を見ても,単純な横一直線の縞模様ではないことがうかがえます。眼視で生の像を見ると,これよりもコントラストは淡いのですが,もう少し微細なところまで見えています。
さて,ひととおりの撮影を終え,大赤斑はいつ頃見えるのか,チェックしてみたら,午前1時台にはこちら側の正面に回ってくるようです。その前後1,2時間の範囲が,大赤斑を見るチャンス……と言うことは,あと1時間も粘れば,見えるんじゃないか。
……そんなわけで,望遠鏡を撤収せず,しばらく待機して,大赤斑を狙いに行きます。
日付が変わって,5月4日。
BORG76ED+LV12mm+QV-2900でコリメート撮影。
00:29-00:36,露出1/15秒,23枚コンポジット,シャープネス高,彩度高,コントラスト高,WB蛍光灯,150%拡大。
右のほうに大赤斑が顔を出してきました。
画像は倒立像なので,大赤斑は右から左へと回って行きます。
00:55-01:05,露出1/15秒,23枚コンポジット。その他撮影条件は上と同じ。
上の写真の30分後の撮影。あっという間に大赤斑が回ってきます。木星は自転が早いですね。
大赤斑もやっと「赤」に見えるようになってきました。一時は白く抜けた「穴」のようになっていたのですが,このぐらいなら,小形望遠鏡でも十分に確認できます。木星の表面の様子も,長い目で見ると,結構変化しています。写真にとって比較してみると,その違いが良く分かります。このサイトの過去の写真と比べるだけでも,変化が見えてきますので,お試しください。
2006.06.07
BORG76ED+LV12mm+QV-2900でコリメート撮影。
21:19-21:28,露出1/15秒,29枚コンポジット,シャープネス高,彩度高,コントラスト高,WB蛍光灯,150%拡大。
まずまず気流の安定した夜。月も出ていましたが,月がちょっと黄色味の強い夜空……つまり,やや霞んだ状態の空です。木星の模様も,まずまず,と言う感じの写りです。この時期は天候が悪くて撮影チャンスが少ないのですが,比較的気流の安定した日に巡り会うチャンスも多いので,晴れたら要チェックです。空の透明度が悪くても,月や惑星なら,じゅうぶんに観測できますからね。
2007.06.11
BORG76ED+LV15mm+C-750でコリメート撮影。
23:19-23:28,1/15s,ISO200,シャープネス+3,彩度+3,コントラスト+5,WB蛍光灯n3,27枚コンポジット。
久し振りに気流の安定した空に巡り会いました。
今シーズンの木星は,小望遠鏡では縞が1本しか見えない,と言う話がありましたが,なるほど,北赤道縞(NEB)……中央よりやや下の太い縞……だけが,やたらと目立ちます。南赤道縞(SEB)は2本に分かれたように見え,NEBに比べると,かなり薄くなっています。
NEBから赤道に向かって斜めの線が見えていますが,これはフェストーンを捉えているようです。
撮影条件が良いと,76mmでも結構写りますね。
撮影方法は相変わらず,コンパクトデジカメでバシャバシャ撮って,ありきたりのお安い画像処理ソフトでコンポジットしています。コンポジットも,この枚数なら手作業で済みます。
いまどきのフォトコン入選作は,動画撮影してPCに取り込んで自動でコンポジット作業したものばかりで,あまり工夫の余地が無いというか,機材にある程度の初期投資をして,ピントがぴったり決まって,機械や画像処理ソフトの操作法に習熟してしまえば,誰でも一定水準の作品が手に入る時代なんですね。そんな時代に,どこにでもあるコンパクトデジカメと,いまどきの機材としてはミニマムに近いスペックの望遠鏡で,じっくり星と向き合い,さらに,じっくりとPCに向き合って作業するのは,非効率的ですが,特別な道具を何も使わない気楽さと,ある種の「手作り感」みたいなものがあって,これはこれで趣味的に楽しいものだと思います。観望の片手間で撮影する程度の私には,このぐらいがちょうど良いのかも知れません。
それにしても,惑星の画像処理は,夜更かしの元ですね……(自業自得とも言う)。