99年2月16日(火曜日)


 例えば、もしあのとき、破防法が適用されていたらを考える前に、自分が役人の立場であることを想定した上で、自分が破防法を悪用する可能性を考えてみて下さい。あるいは破防法を悪用したあと、自分に転がり込んでくる利益でそのあと何をしようと思うか想像してみて下さい。
 私は役人ではないし、それに権力を掌握した人間の気持ちなんて分かりません。
 権力を掌握すること、計り知れない富を得ること、それらの先に、あなたのビジョンは見えてきますか?
 自分以外のあらゆる人間を、親も、兄弟も、気のいい友達も誰も彼もを跪かせて(ひざまずかせて)、たったひとりぼっちになってしまったあなたに、あなたのビジョンは見えてきますか?


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 フリーソフト

ジャンル:フリートーク
危険度:小

 現状ではもっとも安全な選択肢といえるかも知れない。
 だって、大金はたいて買った2本のソフトが自分の環境でシステムをうまく共有できなかったら、それって自分にとってものすごい損害ですからね。でもあるフリーソフトが原因でほかのフリーソフトが動かない、と言うことなら、原因になったソフトを諦めればいいことで、同じジャンルのほかのソフトを見つけてくればいい。お金がかからないから、もっとも安定して便利な選択肢をいくらでも模索することが出来る。
 ネットワークにつないで作業する環境になれてしまえば、フリーソフトのインストール作業だって全然難しいものではないからね。大抵のソフトは市販ソフトと同じようにsetup.exeを実行するか、適当なフォルダーに解凍して実行ファイルを実行するだけ。分からないことは友達にメールで聞いてみればいい。
 だから、「安全を購入する」という目的で市販ソフトをお金を出して買うのは絶対やめた方がいい。ソフトウェア同士のシステムの競合による不具合の場合、原因を絞り込むことはたやすくないからどこのメーカーの責任なのかをはっきりさせられない、結果として十分なサポートを受けられない、と言うのが現状なのです。
 電話口で訴えたって、結局はたらい回しにされるのがオチなのですから。

 とはいえ、市販ソフトでなければ、フリーソフトではまかないきれない作業というのも当然あります。
 例えば、FEP(かな漢字変換ソフトのこと。MS-IME98やATOK12など)やワープロ・表計算ソフトなんかはフリーではまず存在しないでしょう。こういったオフィスワークを目的とするソフトはフリーで作られないのは必然です。なぜならフリーソフトとは、制作者が必要に迫られて、あるいは自らの要求をまかなうために作られるものだからです。
 だから、HTMLを制作するソフトに、完全にGUIを採用したものがフリーソフトの中に存在しないのもこのためです。もっともこの場合、MS FrontPage Expressという例外はありますが、正規のソフトウェアメーカーが、市場の活性化を目的として配布している無料ソフトはここでの話の中には含まれません。
 何故GUIを採用したHTML作成支援ソフトがフリーで存在しないのか、理由はだいたい分かりますよね。そう、そのソフトを作った当の本人が、GUIのような間際らしいものは自分にとっては必要ないと考えるからです。

 しかし、中には「こういうソフトがただで存在したら便利だろうに」と考えてソフトを作る人も、存在するかも知れません。

 もし、市販されているソフトと同じように高性能で、しかも安全で使いやすくてインストール作業も手間がかからないフリーソフトが出回っていたら、それでも消費者は市販ソフトを買い続けるのでしょうか?
 CDをポンと入れれば勝手にインストールされる。たったそれだけのメリットのために。

 現に、市販ソフトでSMFの再生専用ソフト単品、と言うパッケージは存在しません。Windowsのメディアプレーヤーは相変わらずたった1ポートのMIDIデバイスしか扱えないと言うのに。2ポート以上のデバイスに対応した再生専用ソフトが1つぐらいは市販されていてもいいのではないだろうか。
 なーんて、考える人は、少なくともネットワーク上には一人もいないでしょう。
 なぜなら、98・DOS/VのDOSの時代にはMINPI、うんずではHEplay/pure、そして今のWindowsではTMIDI Playerが存在するからです(MacやX68などではよく知りませんが、やはり代わりになるソフトはいくらでも存在するのでしょう)。
 もっと分かりやすい例で言えば、IEのおかげでネスケのNetscapeNavigaterは無料配布へと踏み切ったわけです。
 そう考えると、高性能で利便性の高いフリーソフトの存在は、消費者には確かにありがたいものでありながら、ソフトウェア業界にとっては非常に驚異的な存在である、ということが言えます。

 ところで、UNIXでは今やもっとも一般的なANSI Cコンパイラーとも言えるgcc。もし、こういったソフトが、Windowsに存在したら。Cのコードをそのコンパイラーに通すだけで、Win32API対応のアプリケーションが作れたら。
 そうしたら私はきっと、この役立たずのVC++は箱ごと粗大ゴミにでも出してしまうことでしょう。そして新しいシンプルなコンパイラを駆使して、自分だけのGUIライブラリーと、たくさんのフリーソフトを作るかも知れません。


 匿名希望

ジャンル:フリートーク
危険度:中

 「100%真実の告発」99年2月11日号より

■( 匿名の方からの匿名メールでの御意見です。)
星野哲郎も盗作していると主張しているが、星野哲郎は、「 著作権法
啓蒙活動のために、2月13日 午後5時から 大阪市天王寺区の大阪
国際センターで講演をする」そうだ。
真実の告発なら、行って直談判しろ!!!!!
ネットでいつまでもネチネチするな!!!!!

 匿名希望に、そんなこと言われても、ねぇ。


 アバンギャルド

ジャンル:フィクション
危険度:小

 外はまぶしいぐらいに晴れ上がってはいたが、寒いので窓を開ける気などは到底しなかった。
 昼食前のオナニーを済ませたら今度は空腹感に勝る欲求が性欲から睡眠欲に変わっただけだった。
 部屋の真ん中で固いフランスベッドが申し訳なさそうに設置され、その上には丸まった毛布と布団と、確か一昨日まではいていた薄汚い下着と靴下、それから普段はいているジーパンが、ごしゃごしゃになって散乱している。俺はそのさらに上から倒れ込むように寝っころがった。

 虚しい、、、

 本来なら勉強用具が広げられているはずの机には、学校から持ち帰った使用済みのプリント(中質紙、もしくはわら半紙)で埋もれ、手が着けられない状態になっている。その端っこの方に500ml入りの飲みかけのペットボトルがあり、それに目を惹かれる。
 ペットボトルの中身の水面に、何かがフヨフヨ浮いているのが、ここからでもしっかり確認できた。
 俺はその、浮いているものを、最初は何となく、しかし気になってきてしっかり目を凝らして観察した。しかし何のことはない、単なるカビのようなものだった。
 どうしようもなくつまらなくなって、首の力を抜き、天井をぼんやりと見つめた。目が疲れるのでわざとどこにも焦点を合わせないようにしていると、だんだん頭が微睡んできて、俺は夢の世界に堕ちていった。

 鼻を突く甘ったらしいような酸っぱいような匂いで目が覚めた。
 起きあがると周囲は一面の水だった。そう、水。まるで自分が大海原のど真ん中を漂っているようだが、しかしこれが海ではないということははっきりと頭の中では理解がなされていた。そして、この匂いが辺り一面の水によるものであるらしいことも分かってきた。
 もっとしっかり状況を把握したいので立ち上がろうとしたが、膝を立てようとした瞬間、今自分がいる地面がものすごくヤワで不安定なものであることを理解した。足が地面にめり込み、そして地面そのものがぐらぐらと揺れるのである。
 仕方なく、立ち上がるのを諦めた。
 やがて地面が、というかこの島が、だんだん広さを増し始めてきた。それでもってついでに、地面から地面と同じ色の綿糸が、だんだん俺の体にのびてまとわりついてきた。
 ここまで来てやっとこの地面が、カビの島であることを理解した。カビは俺の体から養分をすって、ものすごいスピードでその広さを増していった。こうして俺がスケルトン・ミイラになる頃には、ここには広大なカビの大陸が出来上がるのだろう。

 もっとも、それの完成を見るまでもなく、このすてきな夢から覚めてしまったのが残念だが。
 オナニーをしてすぐに寝入ったからだろう、あるいは奇妙な夢の余興か、のどがひどく渇いて口の中が粘ついていた。まず飲みかけのペットボトルに目がいったが、やはりフヨフヨ浮いているカビがあまりにもすてきでそれに手をつける気にはなれなかった。見ればステレオのデジタル時計はすでに「16:00」を表示している。そういえば極度に腹が減っているような気もする。でもそれは晩飯にするまで我慢できそうな気もした。
 そんなことよりもとにかく、俺は今見た夢の続きを、キャンパスに描きたくて仕方がなかった。
 くだらない俺なんかのからだから、単純な欲望も、ひとかけらの希望も、なけなしの根性も、無駄な贅肉さえも吸い取って、世界を覆い尽くし、新たな世界を築き上げるほどの、とてつもなく広い大陸を創り上げるカビの光景。人っ子一人の、すべての可能性の縮図。その雄大さを表現できたら……!
 俺は大急ぎでデッサンに取りかかった。もしかしたらこれは、俺にとってのアバンギャルドになるかも知れないと、そのとき思ったからだ。