99年1月19日(火曜日)


 レポート提出期限前日になってレポート課題の存在に気づき、いざそのレポートをやってしまおうかと思ったら今度は教科書を買っていなかったことに気づき、男はあきらめが肝心、などと思いつつこの文章を書いているところです。みなさーん、要領よく生きていますか?(笑)
 しっかしおいらってば本っ当、ダメ学生っぷり発揮しまくりだし(^_^;)

 ところで最近いろんな企業から往復はがきが届くのですが、何でなんでしょう? 僕ってそんなに注目される存在だったんですか?

 え? 何? 就職活動? それって食えるの?


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 満月

ジャンル:SF
危険度:大

「そ、それじゃあ、僕はこの辺で」
 そういって僕は、逃げるようにその場を走り去った。クラブ仲間のゆみ子ちゃんが一瞬、走り去っていく僕に気がついて「あ、……」とまで言いかけていたのは分かったけど、僕はそれどころじゃなかった。
 今の時間は午後6時。冬だから空はもう真っ暗だ。「変態」まであと1時間。そう、今夜は満月の夜。だからぼやぼやしている場合じゃないのだ。

 自転車で家に着いたのが6時40分。僕は腕時計を確かめて、安心してため息をついた。そして落ち着き払ってお父さんに、いつも通り檻の鍵を閉めてもらった。僕は裸で檻の中に、静かにその時がくるのを待つ。
 僕の傍らには、今日はコリー犬がちょこんと行儀よく座っている。僕はそいつに優しい目を見せながら、優しい声で「大丈夫だよ。あっという間に終わるからね」と囁いた。名前のないそのコリー犬はきょとんとした顔のまま、訳も分からず、ただ、しっぽを左右に振っていた。

 インテリア時計が午後7時を告げる鐘を鳴らした。この時計は、だいたいちょうどにあっていたと思う。まもなくテレビもアニメの軽快な主題歌を流し始めた。
 だいたいいつも2、3分、長いときで10分ぐらい「変態」が起こり始める時間に誤差がある。僕はいよいよ差し迫ってくるその時に、鼓動を高め、緊張する。

 やがて、その鼓動が極度に早まり、激しい嗚咽感を催し始める。
「お、お父さん、……来たっ!」
 僕はうめきつつそう呟くと、お父さんはそれまでノートパソコンのキーボードを打っていた手を休め、傍らに置いていたビデオカメラを片手に取り、僕の方を撮影し始めた。
 手の指先をじっと見つめる。始め普通の人間の手だったものが、だんだん大きくなり、鋭く堅い爪が伸び、第2間接に角のようなものがだんだん生えてきて、手の甲の体毛が白くふさふさと異常成長を始める。
 いつ見ても、あんまりうれしくない光景。
 きっともう、頭の毛はすべて抜け落ちて、2本の角が生え、体中に白いふさふさの体毛が生え、全体的に巨大化して、しっぽなんかも生えて、目は蒼くぎらぎら光って、そして横幅30cmもある口からは、大きな犬歯ばかりの歯が覗いているんだろう。だってほら、傍らでおとなしく座っていたコリー犬が、恐怖で激しく吠えたてているもん。
 それにしてもこいつ、かわいい奴だなぁ。こんなに恐ろしそうな顔しちゃって。涙目で口に泡つくって必死で吠えてるよ。ふふふ。涎が出て来ちゃった。おいしそうだなぁ。へへへ。
 思考能力が、だんだん、低下していくのが、自分でもよく分かるひととき。
 本能が、我慢できなくなって。
 僕の大きな手が、素早い動きで、コリー犬の胴体をつかむ。えっと、胴体をつかんだのが左手だ。で、たった今、右手がコリー犬の、頭をつかんで、引きちぎった。
 激しく、血飛沫。
 そのまま、本能?の赴くまま、要領よく、そしていつものように、その死体の、皮や、肉や、内蔵や、脳味噌をはぎ取り、こそぎ落として。
 骨を、……かじり始めた。

 毎回、その一部始終の記憶は、はっきり残っている。
 その間中、お父さんが興奮しながらビデオを回し、しかももう片方の手で自分のイチモツをしごいていることも知っている。
 それだけに、「変態」している間の、自分の、思考能力が明らかに低下していると言うことが、ものすごく恐ろしく感じる。

 僕は、お父さんの研究の、実験台なのだ。
 小遣いと引き替えに、あの日飲んだ薬。それ以来、「変態」は、定期的に訪れる。
 僕は「変態」すると、無性に「骨」を喰いたくなるのだ。
 そして、思考が低下して行くにつれ、すべての生き物が、「骨」にしか見えなくなる。
 「骨」はどんな大きさの動物でもその1匹分。それでとりあえず僕の本能?は満足し、「変態」は収まって行く。そして、あとには傍らにいた動物の、骨以外のパーツと、生々しい、記憶だけが残る。
 動物はどんな大きさでもよくて、実はネズミ1匹でもいいんだけど、それでは僕が変態するまでに逃げてしまう可能性も大きくなるし、何よりお父さんがそれでは満足できないらしい。

 僕が薬を飲んで、最初に骨を喰われた動物は、僕のお母さんだった。
 お父さんは、「変態」が訪れる周期のことも、「変態」すればどうなるかと言うことも、ある程度予測できていた。
「あくまである程度だ。これは不測の事故だったんだよ」
 そう弁明するお父さんの表情からは、かすかに笑みすら感じ取ることができた。
 そして、次の「変態」の時からは、あらかじめ用意されていたはずの、この檻を使うようになった。
 そんな恐ろしいお父さんなのに、僕は何故か、決して彼のことが嫌いではない。むしろこうなってしまった自分を気に入ってくれて、嬉しいとすら感じているような気がする。
 なぜならこの実験が始まって最初の数回は、あとに残る記憶が恐くて翌日はベッドを降りるのもイヤになってしまっていたのに、やがてこの感覚もすっかりなれてしまって、今や僕でさえ、その記憶に快感を求めているくらいだ。

 それでも、「またいつか、人間で試してみたいな」と、毎回のように言うお父さんのセリフを聞くたびに、ぞっとして、頭が真っ白になってしまう。

 すべてを終えて、僕はシャワーをあび、2階に上がって部屋に閉じこもる。
 後かたづけはメイド、いや、助手の仕事だ。あの人も大変だ。「変態」が来るたびに、動物を調達して、檻を用意して、食い残しを処理して、お父さんの精液をふき取って、檻を掃除して、そしてまたお父さんの相手をして……。
 こんなこと、いつまで続くんだろう。
 永遠、かな。
 体中の遺伝子を書き換える薬だ、って言っていたからな。
 そんなことを、考えながら。
 ふと、屋根裏の窓から覗く満月に、目をやる。
 不思議だ。
 何て不思議なんだろう。
 夕方頃見た満月は、憎たらしくて、吐き気すら感じていたのに。

 今、眺めている満月は、僕を、とても安らかな気持ちに、させてくれる。


 連立政権

ジャンル:愚痴
危険度:小

 議席数だけは第一党、という政党が、与党になるために、ぎりぎり過半数を超える最小限の議席数を持った政党に内閣のポストという餌をちらつかせて骨抜きにしてしまえっという永田町の恐ろしくもたくましい自然の摂理。
 生存競争はあくまで議会の中でのみ行われる。到底彼らは机上の論理か金でしか動けない人間なのだ。

 しっかしそんなになりたいかね、与党に。
 自分たちのイメージを悪くしてまで与党にこだわるメリットなんてあるのかね。
 国会議員やっているだけでも遊んで暮らせるというのに。
 自分たちのことしか考えていないわりには、頭悪いんだよね。
 それともこれだけバカみたいなことばかり続けていても相対的には大してイメージ悪くなっていないから平気なのかしら(笑)。っていうかこれ以上政治家のイメージなんて落ちようもないだろうし(^_^;)

 どっかのニュース番組だかなんだかで、「新・連立政権で行政が変わる!?」なんて報道していたけど、省庁減らして人首斬って経費だけいくらか省いたって、行政は変わらないのよ。多分。十中八九。


(お詫びのお知らせ)

 前回収録した「児童ポルノ特別号」において、紹介した作品の中で『「センチメンタルの季節」(榎本ナリ子/小学館)』と書いてしまっていましたが、カンペキに間違っていました。

 正確には、「センチメントの季節」(榎本ナリコ/小学館)です。

 作品名のみならず、作者の名前まで間違えてしまって、どうお詫びしたらよいものか(;_;)/。本当に大好きな作品なだけに自分でも悔しい限りです。
 榎本ナリコ先生、及びファンのみなさま。本当に申し訳ありませんでした。<m(_ _)m>
 単行本を買って懺悔いたします(;_;)/