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明日の神話

TAT600&PC-ApoDistagon25

ツァイス神話はその150年余りの歴史に支えられているといえるでしょう。
しかし、それもアッベの時代から脈々と続く研究開発に裏付けられているわけです。
そこで現在カールツァイスが写真用レンズとして研究しているいくつかのレンズをもって明日の神話が見えてくるかもしれません。ここでは二つのレンズを取り上げてみます。

TAT600/4 - 技術的フラッグシップ

ここ東京では2000年を記念するコンタックスフェアで公開された重量は11.3Kgもある「モンスター」がTele Apotessar T* 600/F4です。資料によればTAT300とは異なりMMマウントのようです。
これは1994年のフオトキナで発表されたもので市販品ではなく技術試験用の評価機といえます。
また機能性にもすぐれ顕微鏡のノウハウを投入した特別なフォーカシングシステムや3.7mという近接能力も持っています。これは1:4のマクロ撮影を可能にする。また試験機と言ってもある程度市場投入を意識したものなのでレンズフードロックのような実用性のある機構ももっているようです。
もちろん長焦点レンズとして必要な二次スペクトルを除去するアポクロマティック補正のために最高の硝子が使用されていますが、これに使用されているレンズはとてつもなく大きなものです。硝子材だけで約6Kgもあるといいます。そこで新しい試みとして液体接合工法というものが使用されているのです。これは熱膨張率の違う大型レンズを接合するのに有効といいます。
さらにこのレンズの工作には半導体産業並みの精度をもって組み上げられそれは通常の50倍の精度にも及ぶとのことです。また、これにはツァイスが映画産業に投入しているノウハウも含まれている。
このレンズにはムターII、IIIも使用できるが専用に設計された1.4倍のテレコンもある。つまりF4という大口径の故、テレコンをつけてもCONTAX AXでAFの使用が可能だそうである。

まさに実用化も踏まえた新技術の試金石といえよう。

PC ApoDistagon T* 25/2.8 - 広角レンズの方向性

超望遠とは対照的ながらもうひとつツァイスが研究している方向性のひとつに広角レンズにおけるアポクロマティック技術の応用がある。これはもともと長焦点レンズのためのアポクロマティック補正技術を超広角のレンズに生かそうというものです。
これはビオゴンのような前後対称レンズの場合、倍率色収差といったものも自然と打ち消される(ので対称形は一般に周辺までシャープらしい)がレトロフォーカスの場合それが完全にできない。そこで望遠のように異常分散ガラスを用いることで色消ししよう、というもののようだ。

これは1992年発売のDistagon 21/2.8に初めて採用された考え方で、京セラ発行の「ONLY ZEISSII」にはそれゆえD21にはApoDistagonという命名が検討されたというエピソードが残っています。


しかし、ApoDistagonと実際に命名されているレンズがあります。それはPC-ApoDistagon25/2.8です。これは研究中ということしかわかっていません。(PCとはパースペクティブ・コレクションのことでシフトやティルトなどのアオリのことである)
少し調べてみて、ひとつこれについてわかったことは下のUS特許と関係あるらしいということくらいです。


アポクロマティック広角レンズ」 Carl-Zeiss-Stiftung US05742439, Apr/98


上の特許自体はD21の研究結果を元に作成されたものと思われますが同様な方向性を目指しているのはあきらかで光学性能もD21クラスであると思われます。

ほかに同様な方向性がありそうな研究用レンズとしてD18/2.8とかD25/1.4なども存在するようですが確認はしていません。現行のこれらのレンズ(D18,D25)はヤシコン創生よりある古い画角なので作り直しが考えられていても不思議ではないような気がします。

 

 


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*ここでの情報は広報誌やカタログ、公開資料などで公表されているものを元にしています。
またここで取り上げているものは量産化を前提とするものよりも純粋に研究目的のものと考えられます。TAT600はやや実用的な面も有りそうですが。

さらにカールツァイスにとって写真用レンズというのはほんの一部の事業分野でしかないということを念頭に入れておくとよいでしょう。

 

 

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TAT600の情報はツァイスの広報誌INNOVATION(1998)に記載されている評価記事をもとにしています。それには上記AXでのAF使用も含まれています。
これは野生動物の撮影に基づく記事で、掲載の画像はTAT600での実写です。

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またTAT600/4とPCAD25/2.8の画像は以下のサイトにあります。

IlProde氏のホームページ
TAT600
PCAD25

 

 

*参考図書
写真レンズの基礎と発展

 

 

 

 

 

 

 

 


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