ハッセルユーザーはシャッターを切ったらすぐチャージするというようなハッセルのルールを知らなければならないように、強い個性をもつホロゴンにもユーザーが知るべきルールがある。
こうした約束はユーザー固有の秘め事にも似て楽しいものでもある。
まず通常のレンズのように鏡胴がなく、レンズの先端がほとんどカメラの前面にあるため指の写りこみに注意することが第一のルールである。
特に右手のホールドに注意していると左手がわの指にすきが出来るので注意が必要だ。この辺のテクニックで各人各様の個性が発揮される。

これを防ぐために市販グリップの使用などもあるが、コンタックスG1専用のアクセサリーとしてホロゴン専用のケースと言うのがある。
これはホロゴンとファインダーを装着したままケースに入れることが出来るものであるが、もう一つの特徴としては右側に指をからませるグリップ・ストラップがついていてこれを握ってホールドすると指の写り込みを効果的に防ぐことが出来る。
携帯性は抜群で厚みがほとんどG1と同じため、バッグにもするっと入る。
fig.6
次に後玉がフィルム面に極端に接近しているためのこのレンズ固有の事象を知っておいた方が良い。ちなみにホロゴンウルトラワイドではわずか4.5mmであったという。
このためホロゴンを装着したときはG1は自動的に外部測光に切り替わる。これで通常のTTL測光ができないホロゴンでさえAEの使用を可能にしている。これもGシリーズならではの有利な点だ。
しかし他のレンズのTTL測光の場合に比べて、この測光値がややオーバーにふれる傾向があるようだ。これはG2でホロゴンを使用したときも同様の傾向らしく意図的なもののようである。
理由としては露出がオーバー気味にはいると周辺減光が目立たなくなると言うのもある。また一般にホロゴンのような後玉がフィルム面に近接しているレンズではボディ内のフレアの影響を受けにくいため、コントラストが強くなりシャドー部が急に落ちる傾向にある。それを救う意味もあるのかもしれない。
また、後玉がフィルム面に近いためネガティブサイズ(露光サイズ)が135フォーマットの基準である24x36よりもやや広がる傾向もある。
fig.7
これは通常のレンズよりもレンズ後端からフィルムに光が届くときの角度が広くなることから来ているらしい。ウルトラワイドでは24.5x37.4とデータにあるが、ほぼコマ間がなくなる現象も起きるともいう。
フォーカスは目測のマニュアルフォーカスだが30cmまで可能である。これはホロゴンの撮影を広げてくれる。こうしたときでもフォーカスエイドとしてAFを使用できるのがG1らしい。AFが距離を表示してくれるのである。
ピントリングの移動はスムーズで気持ちが良い。これだけの超広角だとパンフォーカスでも60cmから無限まで合うが近接させるとそれなりに被写界深度が出てくる。ファインダーはクリアで見やすい。
レンズの目盛りでは1.5mにセットするとパンフォーカスができるようになっているけれども、以前私が計算したときには2.0mが過焦点距離だったのでこのスケールだとやや甘いかもしれない。
また記録的に撮りたいときなどのように周辺減光がどうしても気になるときには付属のグラディエーションフィルターを使うことになるが露出倍数が2段あるので手持ちのときはかなりつらくなる。
fig.8
しかしこれは絞り固定のホロゴンでシャッター速度をコントロールしたいときの手段の一つにもなる。
そして実写におけるホロゴンは真にすばらしい写りを見せる。基本的にはGレンズの線に沿った写りだが、構成枚数の少なさからか発色の濃さと透明感は発色のよいレンズばかりのGレンズの中でさえトップと言える。また対称型の特性としてシャープネスもまた高いレベルにある。ただし上述の通りコントラストはやや強めになる。
これほどの超広角にしては意外にもゴーストにも強く画面内に太陽をいれてもゴーストは出ない。しかし、画面外のある角度に光源をおくと簡単に発生するようになるのでこれも慣れておいたほうが良い。
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