複数バージョンの対応は、低位バージョンが基本

Excelにはいろいろなバージョンがあり、動作は同一ではありません。
Excel2016で作成したマクロが以前のバージョンで動かない。   このような問題に当たることはよくあることです。作成したマクロを含む仕組みを他の環境に配布する場合は、配布先の環境(特にバージョン)に配慮する必要があります。
Excelのバージョンだけでなく、Windowsのバージョンやインストール環境の違いでも問題が起きることがあります。



何が問題なのでしょう!?
新しいバージョンのExcelで作成したマクロが古いバージョンのExcelで動かないというのはあり得ることです。 基本的には「上位互換」が保たれているので、古いバージョンのExcelで作成したマクロが新しいバージョンのExcelで動かないということはあまりありません。



ファイル形式が変わったExcel2003以前とExcel2007以降では、Excel2003にあった「FileSearchオブジェクト」がExcel2007以降では廃止されたということがありましたが、他ではあまり見かけません。



記述の方法によっては、Excel2010以前とExcel2013以降では、ユーザーインタフェースが「MDI」と「SDI」の違いがあり、例えば複数のワークブックを開いた時にユーザーフォームを手前に表示させた状態で後ろのExcelブックの前後のウィンドウを入れ替えようとすると実行時エラーになるなどはあります。



計算式では新しいバージョンの方で関数の追加が行なわれています。 例えばExcel2013以降では、「IFS関数」「SUMIFS関数」「COUNTIFS関数」などが追加されました。 使えるものと思い込んで実装させて、これより古いバージョンの利用者がそのブックを開くとエラーになります。



近年では64ビット版Officeも出回り始めたため、APIを利用するマクロでは32ビット版、64ビット版での共用利用」を意識する必要があります。

機能の違いはどうしたら分かるのでしょうか。
昔は「ヘルプの新機能を見て下さい」と言っていたのですが、 近年のバージョンではヘルプを見てもバージョンごとの違いの説明は探しても見つからないようです。
むしろGoogleなどのWeb検索で「Excel マクロ 互換性」などで検索した方が情報は見つかりやすいようです。

バージョン互換での動作確認の作業は?
単純に考えるとそれぞれのバージョンのOfficeがインストールされたPCを用意しておくことになります。



実際の動作確認は、原則として配布する可能性がある一番低いバージョンでの動作を実際に行なって確認することです。
このためには、そのバージョンで実際にマクロを動かす必要がありますが、開発する側でも各バージョンの環境を全て用意することができるわけではありません。
ただ、動作確認のために最下位バージョンのインストールはぜひ行なっておきたいもので、通常この最下位バージョンを使うのでなければ、複数バージョンの共存インストールをお勧めします。これで実際に最下位バージョンで動作確認ができますから、動くことを確認した上で配布することができるわけです。動くかどうかが判らずに配布してしまうことが最も問題なわけですから、これが最良の方法でしょう。



設置場所などの問題であれば、Windowsの仮想環境を用意して、それぞれに別のバージョンのOfficeをインストールするという方法もあります。 この方法なら64ビット版Officeの環境の用意もできるでしょう。