共存インストール

「共存インストール」とは、複数バージョンのExcelを切り替えて利用できるようにすることです。
これは複数バージョンが混在する利用環境では必要なことでした。   現在では直接的に「共存インストール」が必要というわけではありません。



例えば社内や利用ユーザー先に複数の世代のPCが混在する環境で、そこにVBAを含むようなある程度の仕組みをExcelで作成して配布するとなると、 各世代やそれぞれのバージョンでの動作確認が必要になります。
Windows自体のバージョンやOfficeのバージョン、また、Officeについては32ビット版と64ビット版といった違いがあるので、それぞれの環境を用意することを考えなければなりません。



実際に運用されている現場のPCを一時的に借りる方法も考えられますが、機能拡張などの計画があるのであれば度々迷惑は掛けられません。 かと言って、それぞれの環境のPCを別々に用意するのは費用や場所から考えて現実的ではありません。



こういった場合にかつて採られていた方法の一つが「共存インストール」だったのです。



「共存インストール」の環境は....
現在では「昔話」になってしまいますが、「共存インストール」を行なった環境はこんな感じです。
Excelの共存状態
これは後ろがExcel2010、手前がExcel2013となっており、両方を同じデスクトップ上で開いています。
当時はExcel2010までは「MDI」、Excel2013以降は「SDI」というインターフェイスの違いがあったため、ウィンドウ切り替えを含むマクロの動作などで動作確認を要するということがありました。
現在では「MDI」のExcelのバージョンは終息していると見て良いと思いますのでこの件での複数バージョン環境の用意は不要になりました。



ですが、今度はOffice自体で32ビット版と64ビット版の流通が始まっており、 動作確認の必要性については単なるバージョンの違いによる問題よりこの「ビット数」の問題の方が重要になってきています。 しかし、この32ビット版Office64ビット版Officeは同一のWindows上には「共存インストール」は行なえません。
また、それ以外でも「クイック実行版(C2R方式)」と「Windowsインストーラ版(MSI方式)」の違いや、ビルド時点の製品でも違いがあって共存できない場合があるようです。

「共存インストール」に代わる手段・方法は....
「同一Windows上に複数バージョンのOfficeを共存インストールする」という方法では「必要な仕組みの動作確認」の要件を満たさないということになりました。 しかし「動作確認」という要件で複数のPCは用意したくないとなれば、「仮想Windows環境」を用意して切り分けるということになると思います。
昔から同一PCでディスク上パーティションを分けて複数のWindowsをインストールし、起動時にブートメニューで選択して希望するWindowsを立ち上げるという方法があり当時は利用していましたが、Windowsインストール済みのメーカーPCでは再インストールなどの作業の問題が発生する上、メーカーのサポート範囲外になってしまいます。



一方、「仮想Windows環境」は、既にインストール済みWindows環境の上に仮想環境としてインストールするものなので、 PC上の制限(BIOSやメモリサイズ等)がクリアできれば比較的少ない作業で環境構築できるものです。



VirtualBox

この画像はかなり縮小しており数年前のものですが、4Kディスプレイ(3840×2160ピクセル)なのでスクリーンは余裕です。 その中の左寄りの黄色のウィンドウがWindows8.1のデスクトップ(1280×1024ピクセル)で、 中央の青色のウィンドウがWindows7のデスクトップ(1280×1024ピクセル)です。



このように異なるバージョンのWindows環境で利用することもできますが、同一バージョンのWindowsの環境をそれぞれに構築させて それぞれに異なるバージョンのOfficeをインストールさせることもできるわけです。 この場合は一方が32ビット版Office、他方が64ビット版Officeでも問題ありません。
さらに、ブートメニューでのOS切替えではないので再起動も不要であり同時並行で作業できるので、動作確認といった業務にはとても向いていると思います。