落語はろー・落語速記編

『一日公方』解説


 今では演る人の無い噺(多分)。『一日公方』の速記は、他に、講談社刊『昭和戦前傑作落語全集・第5巻』に三代目三遊亭金馬の口演したものとして掲載されている。“講談倶楽部・昭和十二年十一月号”としてあり、戦前には確実にこの噺は演じられていたようだ。騒人社版と講談社版とで筋立ては大体同じだが、サゲは全く違ったものになっている。
 『麻布市兵衛町』は実在した町で、現在の港区六本木の東南部。『麻布細見』HP中に旧・麻生市兵衛町の詳しい説明がある。公方様から言い付かったかどうかは分からぬが、地主の名が“市兵衛”だったので“市兵衛町”になったというのは本当らしい。検索してみると、現在でも麻布市兵衛町ホームズなんという名の賃貸マンションがある…(^^;)
 なお公方(くぼう)とは将軍のこと

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サゲについて
 サゲの「こいつァ麻布で気が知れねえ…」が良く分からない。青蛙房刊『落語事典』によると、これは昔の通言(慣用句)で、『気』と『黄』または『木』を掛けているとのことだか、これには諸説がある。
(1)麻布領内に目黒、白金、赤坂、青山があるのに『黄』が知れぬ
(2)六本木という名木があるのに、所在がわからぬ
などなど諸説あり、結局のところ私にも良く分かりません…。


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