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新しい日本語入力を考える

― デジタル時代に待ち望まれる「打ち言葉」―

 


今、日本語入力をしている人の、おそらく99%以上は、
日常的に会話で使われるのと同じ、話し言葉の音(読み)に基づいて、
かな漢字変換で日本語を入力していることと思います。
(※読みに依存しない直接入力というものもありますが、
  そういう人は、おそらく1‰にも満たないと思いますので 言及しません)


日本語入力において 特徴的なことは、大きく分けて、
(1)漢字を使うこと
(2)動詞などの活用
(3)助詞
の3つになるのではないかと思いますが、
これらは、即、日本語入力における大きな問題でもあります。

このため、いわゆる「変換ソフト」の苦労のしどころも、
いかに これらを きちんと“理解(分別)”して
変換し分けるかというところに あるといえます。

このための技法として、いわゆる最長一致法や、
構文解析、AI変換など、様々なテクニックが用いられています。

しかし、これらが完全でないことは、
それらのソフト紹介記事を読んでみるまでもないでしょうし、
また、誤打鍵に対してほとんど対応できないということから考えても、
明白です。

ところで、かつて日本には、歴史的仮名遣いというものが ありました。
これを よくよく調べてみると、大和言葉は 別として、
漢字の音に関していえば、これは 決して昔風の訛りではなく、
中国での古い音の影響を正しく受け継いだ結果であるということが わかります。

いつの頃からか、
日本語は 今のように表記するのが 当たり前になってしまいました。
これにより便利になったことも ありますが、
これは いわば お役所の都合で決められたものであって、
使う側の知恵や工夫の結果 生まれてきたものでは ないんですね。

それどころか、漢字の本来の音(読み)からすると、
それらを無視した“暴挙”とさえ言っていいものです。
例えば、「蝶」は「てふ(=てぷ)」であって、
決して「ちょう」では ないんですね。
(※表記に関してのみの話です)

ただし、ここで誤解しないでいただきたいのですが、
私が言いたいのは、決して、単なる懐古趣味などではなく、
まして 現代表記を否定しようとするものでも ありません。

むしろ、漢字に漢音と呉音・唐音などがあるように、
同じ文字に複数の読み方が許され、かつ、
そのような大規模な改変があったにも かかわらず、
それらを使いこなしている日本人というのは、
相当にすごい人種に違いないと思うのです。
(※皮肉ではありません)

また、これを逆に言うなら、
現代表記という名の下に、いくつかの異なる読みが
同じ種類のものに簡略化されてよいものならば、
その反対に、その結果として同音異義語となってしまったものに対し、
新たな読みを割り当て直すこともまた、決して おかしなことではない、
咎め立てされるべきものではない、ということです。

にもかかわらず、我々は、お役所の決めた表記に振り回され、
IMの開発に無駄な労力をつぎ込み、それに対価を支払い、
誤変換を嘆きながらも、話し言葉に基づいた
効率の悪い日本語入力をずっとやり続けているわけです。

またこれは、同音異義語の問題だけにとどまらず、
動詞の活用語尾や助詞などに関しても同様ですし、
このことは、本質的に、かな入力であれ ローマ字入力であれ、
事情は同じです。

日本語入力の本質とは、詮じ詰めれば、
「何かの文字(読み=キー)を打ち込むことによって
 変換ソフトの辞書に登録されている文字列を引き出しているだけ」
に過ぎないのです。

であるならば、それを なるべく少ない手間でやったほうが 賢いとは
思わないでしょうか?

そこで私は、近年の研究の結果、
日本語の根本は変えずに、打鍵数を減らしながら、
効率良く日本語入力を行なうことのできる方法を考案しました。
(まだまだ 開発途上では ありますが)

それが『MadDic』という名で総称される一連の入力法則群です。
簡単にいえば、
1.英字を用いた短縮入力(3文字以上の漢字列やカタカナ語に有効)
2.簡略拗音と濁点省略等を用いた省力化(2字熟語や倭語のカタカナ表記に有効)
3.日本語入力用に最適化した 文字配列(『JISかな改』『Km式』)
4.同音異義語や日本語特有の問題を解決する変則読み
5.打ちやすさ(=疲労度の低減)と 打鍵効率の追求。誤打鍵にも対応
です。
(#オマケとして、英字綴りのローマ字読みをそのままカタカナ語に変換する試みも含むことにします)

これらは、その一つ一つが莫大な論文群を成すものであり、
簡単に一言で説明することはできませんが、
以下 順番に、概要を説明していこうと思います。

なお、これらは、まだ研究開発の途上であり、
多々問題点を残していることと思います。
できれば、志ある方々のご意見を賜れれば、
これ以上ない幸いであります。



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