「バ計画」 (ばら寿司作戦)決行 (2011.10.08)  -2011.10.23Up

【序】

 今年4月の基本構想から約半年、10月8日(土)に「バ計画」こと「ばら寿司作戦part2」を決行した(「Part2」と入っているが、参加者全員全くの初めてばら寿司に臨みました)。この間、ばら寿司に関連する研究、例えば、寿司飯のための配合酢の調査やテスト、調理手順の図式化、牛蒡や人参の煮汁の確認、干瓢や高野豆腐の戻し方と煮汁の確認等々、各自がそれぞれ調査・研究・試行をしながら、「秋のばら寿司」に挑戦しました。

 そのきっかけについての詳細は記載済み、この雑雑雑記の前の記事「バ計画」その1を読んでもらいたい。

【先ずは完成の姿から】

メンバー5名(あらい、ミニョンヌ、さくらんぼ、のれそれ、オダチュー)の渾身の「ばら寿司」

 この写真は、参加メンバー5名それぞれが作成した「ばら寿司」を一枚にまとめてみた完成形である。

 一つの器にまとめて作られた方や、最初から複数の器に盛られた方など様々です。中央の寿司桶は三升用の寿司桶で、これに二升の「朝日米」を炊いて寿司飯にして、混ぜ込みの具を入れたところです。
 この後、良く混ぜ込んでから5等分、各々4合分、混ぜ込んだ寿司飯に分けました。その後は、各自それぞれが上飾り用の食材をのせて完成です。

 混ぜ込み直前の2升の寿司飯を中心にして、左にサワラ、右にサッパ(ままかり)を配置して、皆さんが作られた「ばら寿司」を周囲に配置してみました。

【構想から決行まで:経過】

 発端からの経過概要は以下のようだ。具体案を詰めだしてから起こった危機に作戦中止の可能性もあったが、最後は見事なチームワークで完遂できた。

  • 4月16日(土)、市場で4,4キロのサワラを共同購入。さくらんぼ家にて早朝のお魚パーティーが開かれた。
  • 4月17日、その後のメール交換の中、ミニョンヌさんのメール文面をきっかけにして事が起こる。
  • 4月下旬、その後、ばら寿司の調査研究開始。ネット検索でレシピ探索と同時に、岡山の備前ばらずし (岡山文庫 (160)) (窪田清一著、岡山市の福寿司店主)を購入し、多角的な視点でばら寿司を眺めてみる。
  • 4月末、基本構想完成
  • 5月以降〜、この間、各自が合わせ酢の配合を変えた寿司飯の調理や我が家で握り寿司、時に寿司屋のばら寿司のチェック等々、それぞれがそれなりにお寿司の実践を行ってきた。「寿司ブーム」になってしまった。
  • 7月初め、メンバー2名で公共施設のキッチンスタジオの抽選申込をする。
  • 7月初旬、申込から一週間後、私が当選。
  • 9月初め、専用掲示板で具体案を練りだすが、基本構想に関する意見交換から始まる。
  • 10月初め、訳あって計画変更、「作戦part2」と名づけて使う食材の調整から再開する。
  • 10月4日、サッパ(ママカリ)が倉敷より到着
  • 10月5日、食材案が決まり()、調理分担案の素案(穴だらけ)を提示。
  • 10月6日、ヒラが倉敷より到着、また深夜に調理分担が決定(※)。
  • 10月8日、朝4時起きで作戦行動開始。午後21時頃に会場での暫定終了後、各自自宅や友人宅等でそれぞれの「ばら寿司」を完成させて、作戦完了しました。。
  •  遅くとも9月末までには使う食材と調理分担まで決めたかったのだが、食材が決まったのが3日前、その調理分担が決まったのが2日前の深夜だった。つまり、中一日で作戦開始という怒涛の作戦内容の決定でした。正直、私は自分の分担内容、つまり担当食材の調理スキームや個々の配合など整理する間もなく作戦開始を迎えざるを得ませんでした。

【ボクらのばら寿司:目標】

 ばら寿司の原点は、江戸時代に備前岡山の藩主が倹約令にて「一汁一菜」を発令したことによるらしい。ならば、一つの料理の中に様々な食材を盛り込んで豪華に作ってしまおう、ということから始まったとのことだ。こういうの好きなんです!私。体制権力のわけ分からん命令を逆手に取って楽しむ、いいですね〜。このようなシチュエーションでは生半可なことはしない。必ずや、これでもか!という程こだわった人々が居たに違いない。だからこそ現代にまで継がれてきたのだと考察した。

 現在のばら寿司は、それぞれのご家庭で、そのご家庭なりのレシピで作られていると聞く。あり合わせのものを上手く使って、ご家庭なりの「ばら寿司」に仕上げる。また、一部のお寿司屋さんでは、伝統にならったばら寿司をその店なりに作られて客に提供もされている。

 しかし、我々は『原点の気持ち』に立ち返ってみて、できる限りの食材を盛り込んだ自分たちのばら寿司を作ろうと思った。「ばら寿司」は、約30品目もの食材を盛り込んだ「ちらし寿司」で、例えば、「備前ばら寿司」とか「祭り寿司」とか言ったりもするらしい。30品目の食材を集め、それぞれ別々に調理して寿司飯に合わせる。「ばら寿司」の特徴のひとつは、具の混ぜ込みと、更に具を上乗せして飾ることにある。

 食材30品目集めるだけでも大変、それを別々に調理して寿司飯に混ぜ込み、更に上乗せする。これは、とても一人ではできません。昔はご近所で集まって協働作業で行ったりしたのでしょう。現代では失われた(つつある?)地域社会の連携があればこそできることです。その中には、こだわりのグループが発生して周囲の皆をあっと言わせる「ばら寿司」もできたことでしょう。そして、それは瞬く間に地域伝播して、やがては後世に語り継がれるものになったと、私はそんな風に考察しました。

 私たちは、そんな「ばら寿司」、つまり遥か昔の原点に立ち返った現代のばら寿司に挑戦してみようと思いました。

【決行の様子】

 参加者は、ミニョンヌさん、さくらんぼさん、のれそれん、オダチューさんとボクの5名、お魚仲間の皆さんでもあり、また、過去X計画シリーズに参加したことのあるメンバーでもある。皆の共同開催ではあったが、ボクとしては、一応今回の作戦も「X計画シリーズ」の番外編として「バ計画」として名づけてもいた。

 当日までの準備:

  • お米は「朝日米」に決定、岡山から10キロ取り寄せることができた。
  • お酢は「白菊」、多くの寿司店が使う業務用のお酢です。
  • お醤油は、我が家愛用の「高麗郷丸大豆醤油」
  • 味醂は、のれそれさん保有の「三河味醂」
  • お塩は、いわゆる「荒塩」に加えて、ボク愛用のモンゴル岩塩も用意
  • お魚「ヒラ」とママカリにする「サッパ」は、絶大な協力を頂いたHeさんのお陰で、倉敷から鮮魚で到着、下処理。

 と、準備万端だ。

 さて当日、大まかな流れを記載すると、

  1. 早朝、築地市場(当然場内)と最寄の市場に分かれて、連絡を取り合いつつ食材調達。全部で33品目になった。
  2. 9時までにキッチンスタジオに集合
  3. 9時〜調理開始、とはいっても実際の調理開始は9時半だった。
  4. 14時〜朝日米2升を、4台の5合炊電気釜でスイッチオン。
  5. 17時、煮炊きする調理終了して和室へ移動。
  6. 18時〜個々の混ぜ込み具材の味を確認しつつ14種の具材を混ぜ込む
  7. 19時過ぎ、Saさんの飾り付け完成をみて、感動!
  8. 他の皆は、混ぜ込んだ寿司飯と飾り付け用具材を分けて、帰宅後に実施することにする。
  9. 余った食材などは分けっこして、20時45分に和室を出て解散。

 という訳で、5名で一日、朝から調理開始しても、ばら寿司完成は夜中に個々の自宅でとなった。調理中は全く余裕がありませんでした。お昼御飯で30分ほど休んだだけで、とにかくキッチンスタジオを借りている時間内に済ませることに専念、実は15分ほど時間オーバーしてしまいました(係員が連絡前にチェックに来てしまった。。)。

 和室では試食会を予定していましたが、とてもゆっくり試食する時間はなくて、個々の具材を摘んで、単品で味の確認をする程度でした。
 でも皆さん、帰宅してから完成。その美味しさに感動!深夜直ちに専用掲示板やメールで速報が続きました。

【秋のばら寿司:食材リスト】

 食材計画からの当日変更点は、ハモ→ズワイガニ(蟹棒)、絹さや→インゲンの2点だけだ。左側が魚貝類で合計15品目、お魚大好きの一端が現れているような!?(^^)

 これが無いと話にならない「サワラ」は、3キロの長崎五島産を最寄市場で発見。
 これも是非欲しい「サルボウ」は、築地市場で予想通りのお店で発見、ということで、主要な役者はそろい踏みしました。

 自然の恵みはままならいもの、幸運に恵まれないと欲しいからと言って手に入るものではありません。しかし今回、天も味方をしてくれた様子です。食材調達からは、まるで仕組まれていたかのようにものごとがトントンと進み、欲張った大作戦もなんとか無事に作戦完了できました。

【ボク等みんなの秋のばら寿司:完成】

 秋のばら寿司 大成功!!
 冒頭の写真の如く、「バ計画」(ばら寿司作戦part2)完了しました。

 いま皆さん、その余韻に浸っているところです!

【補足や感想など】

 今、今回のレシピを整理しているところです。また食材や調理中の写真なども。。後に、レシピアップするか、ここに写真追加して改定するかは未定です。

 さて、お味はどうだったかのか?!

 美味しいに決まっています(^^).。
 多くの食材が渾然一体となった味を呈し、表現しきれない美味しさがありました。そして、口に入ってきた、混ぜ込んだ具や飾りの具によって、また味わいの変化が楽します。例えば、レンコンの食感を感じたり、高野豆腐が含んだ煮汁が広がったり、木の芽の香りがふわっと口のなかに広がったりと、多種多様なテイストの連続でした。

 そして、なんといっても充実した達成感!構想・計画段階からの思いが込み上げ、直面した危機への対応、当日の時間との戦いの中での一心不乱の調理、皆さん、そうした思いが沸々と込み上げてきたのでした。

 メンバー以外に関わってくださった皆さんの協力と努力、天も味方してくれたようです!
 ありがとうございます!

 

以上、2011.10.10 原稿案ver0.8記載(by あらい)
2011.10.23 ver1.00としてアップロード


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