2003年版 南福島狛犬探訪
(追記:「神の鑿」利平・寅吉・和平ワールド発掘がまだまだ難航していた時期です。このときはまだ寅吉や利平の存在も分かっていませんでした。ここでは当時の記録をそのまま残しています。)
1999年12月に訪ねた古殿八幡神社の狛犬が忘れがたく、天才石工・小林和平の狛犬は他にないのだろうかと、古殿町周辺を探索する旅を計画しました。
長いこと狛犬を見てきましたが、大正から昭和初期にかけて、狛犬文化は技術的にも美術的にもピークを迎えるのではないかという気がしてきました。
もちろん、江戸期の逸品もそれなりに風格があり、味わい深いのですが、技術やアート性では、やはり明治以降、狛犬のデザインが一時的に開放された大正から昭和初期にかけて、天才的な石工が何人か現れ、傑作を残しています。
西船橋の春日神社にいる「クッキーモンスター狛犬」などはその好例でしょう。表情の豊かさは抜群で、まるで生きているようです。
しかし、古殿八幡神社の狛犬は図抜けています。
技術面もさることながら、ユニークな顔立ち、自由奔放な構図、大きさ、細部にまで手を抜かない彫りの細かさなど、他の石工の追随を許さない感があります。
時間が経つにつれ、小林和平という石工に興味がわいてきました。
地元の石工であることは台座の銘からはっきりしています。WEBで検索したところ、小林和平の記録は見つかりませんでした。
そもそも、古殿町のある石川郡というのは、福島県の南端にある山間部で、交通の便は最悪。車で行くにしても、いわき側、白河側、どちらからも遠い!
地図で見ても、周りにそれほど多くの神社はありませんし、小林和平の狛犬が他にいるのかどうか、非常に心細くなります。
そこで、石川郡の神社をWEBで検索し、地図に漏れている神社もチェックしてみました。
すると、石川町の役場裏にある石都都古別(いわつつこわけ)神社というのが有名らしいのですね。
石都々古和気神社とも書くようです。一の宮に数えているサイトもありました。
しかし、この神社を紹介している複数のサイトを見ても、狛犬の写真は見つかりませんし、狛犬のこの字も出てきません。
巨岩がゴロゴロしている山にある神社で、興味は引かれましたが、狛犬はいないものと思っていました。
前回は棚倉側から入っていったので、今回は逆にいわき側から目指すことにしました。
石川郡でろくな狛犬が見つからない可能性が高いため、いわき市内の神社もある程度見て回るという計画です。
江名諏訪神社
沼之内弁財天(賢沼寺)の安永年間狛犬も、もう一度見たかったので、出発点は太平洋側です。
江名港のそばにある江名諏訪神社には3対の狛犬がいました。
角張っていて、あまりうまくないですね。
諏訪神社(四倉町)で、やはり角張った狛犬を見た記憶があります。
これは参道入り口にいたんですが、本殿前にはブロンズ製のりっぱなやつがいました。これです
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ブロンズ狛犬は珍しくないものの、これは細かな線が刻まれている点がユニーク。光線を受けて、縞模様が浮き上がります。