1999年私的 文庫 Best10

1999年に読んだ文庫のBest10だ。文庫以外の本ももちろん読むぞ。んでもここも文庫に限ったのだ。電車で立って読むには文庫が一番楽だからな。

10
リンゼイ・デイヴィス「青銅の翳」
光文社文庫
密偵ファルコ・シリーズの2。帝政ローマ時代が舞台という2000年前の話。それだけで面白い。時代設定に慣れるとただの普通の探偵物でしかない、という声もあるが、まだまだ(今んとこ3まで出てる)いける。ヒロインが素敵。

9
グレン・ミード「ブランデンブルクの誓約」
二見文庫
同じようなナチ再生陰謀話のグレッグ・アイルズ「甦る帝国」(講談社文庫)よりはこっちの方が面白かった(一般には逆の評価らしいが)。ただしグレン・ミードには何年か前に出た「雪の狼」(二見文庫)という超大傑作があるのでそれに比べちゃうとはなはだ粗雑。

8
アンディ・マクナブ「リモート・コントロール」
(角川文庫) 
作者は元SAS兵士。しょせん体育会系筋肉労働人間の書いたもの、とバカにしてはいけない。本物なので特殊な極限状況(誰が敵なのかわからないとか何故攻撃されるのかわからないとか)の設定や描写に「現場」の匂いがプンプン。よく出来てる。

7
アンドリュー・クラヴァン「真夜中の死線」
(創元推理文庫)
死刑執行当日、死刑囚の無罪を確信した記者は彼をを救えるのか? つー話。クラヴァンはキース・ピーターソンでもある。ピーターソン名義で書かれた記者ウェルズ・シリーズのファンなので期待して読んだら、ほとんど傑作と言っていい作品だった。ただ、一日で全部すませなきゃいけない物語なのでちょっと強引。あと、主人公(の新聞記者)がダメ人間なのだが、そのダメぶりに理解しづらい面があるな。正月公開映画「トゥルー・クライム」の原作。だとか。主演がクリント・イーストウッド? そりゃ違うだろー。(めんどくさかったので文章は「読み捨て」から流用しました)

6
ドン・ウィンズロウ「高く孤独な道を行け」
(創元推理文庫)
ほんとにほんとに大好きなニール・ケアリー・シリーズの三巻目。にしてはちょっと評価は落ちるけど、シリーズの前二作がともに傑作だったからしかたがない。今回は西部劇。あいかわらずセンシティブでニールの「へらずぐち」も健在。でもちょっと大人になっちゃって残念。

5
カール・ハイアセン「虚しき楽園」
(扶桑社ミステリー)
意外ですか? まあでも、きっと誰も読んでないだろなあ。マイアミ専門変人作家(作家が変人なのではなく登場人物がみんな変人)ハイアセンの作品はけっこうよく読む。読んでいつも首かしげて「アメリカ人ならこれ読んで面白いのかな」と思ってしまう。どれも今まで特に面白いとは思わなかったのだが、これだけは飛び抜けて変ですごい。笑うというより唖然とするくらい変ですごい。

4
ジェイムズ・リー・バーク「シマロン・ローズ」
(講談社文庫)
ロビショー・シリーズって知ってる? 「ネオン・レイン」とか。あの作者。人物造形が絶妙。淡々と文学度75。続きを早く読みたい。

3
ドン・ウィンズロウ「ボビーZの気怠く優雅な人生」
(角川文庫)
この作者のニール・ケアリー・シリーズの大ファンなのだ、とは既に言ったな。これはニール物以外で初の邦訳になるが、そもそもウィンズロウの語り口の上手さからしてハズレはないだろうと読み始めた。ちょっと驚いたことにニール物とは全然別種のモノだった(と言うとそもそも「ニール物」がどんなモノか説明しなきゃならないが、めんどくさいのでしない)。主人公がいい。あんまり友達にはなりたくないが、キャラが立ってる。物語(でたらめ度70)のスピード感も素晴しい。そんでやっぱりウィンズロウならではの「あたたかさ」がある。絶賛だー。

2と1
スティーブン・ハンター「極大射程」
(新潮文庫)「狩りのとき」(扶桑社ミステリー文庫)
2作を1セットにしてダントツの1位2位。まとめた。どっちが1というのはないな。どこの書評でも言ってるけど、まだ読んでない人は幸せ。日本では刊行順がでたらめだったから。これで全部揃ったので「極大射程」「ダーティホワイトボーイズ」「ブラックライト」「狩りのとき」というシリーズの順番通りに読める。銃器がひとつの主役となる話なので荒っぽい話が嫌いな人にはむかない。でも、主人公ボブ・リー・スワガーはメチャメチャかっこいい。男なら読め。

ほんとの1位
ロバート・マキャモン「少年時代」
文春文庫
文庫になってから読んだのではずした(最初の邦訳は95年刊行)。でもほんとは1位。泣く。

入らなかったけど大好きなシリーズ
デイナ・スタベノワのケイト・シュガックもの
ハーラン・コーベンのマイロン・ボライターもの
カレン・キエフスキーのキャット・コロラドもの
ジャネット・イヴァノビッチのステファニー・プラムもの

たまたま入らなかったけど日本の作家のも読むぞ。でも日本人作家だといきなり文庫、ってことはないからな。


さいですか。
ふりだしにもどる。