ザ・ベストミステリーズ2011




 

               2015-04-25



(作品は、ザ・ベストミステリーズ2011    講談社による。)

         

 本書 
2011年(平成23年)7月刊行。
 主な登場人物:

<満願> 著者 米澤穂信

鵜川妙子
夫 重治

矢場殺しで懲役8年、一審判決で確定。家宝の掛け軸を大切にしている。
・夫の重治 先代から畳屋営むも評判良くない。派手な遊興で矢場から金を借り、返済を迫られている。

藤井(私) 藤井弁護士事務所立ち上げ。学生時代鵜川家の2階に下宿。
矢場英司 小平で貸金業。
<芹葉大学の夢と
殺人>
著者 辻村深月
羽根木雄大 芹葉大学工学部デザイン科の学生。将来の人生の夢を持ち理想に向かって進むも・・。
二木美玖(私) 芹葉大学工学部デザイン科の学生。イラストレーターを目指し雑誌社に応募したりするも・・。雄大と付き合っていたが、教員になり故郷に戻る。
<橘の寺> 著者 道尾秀介

日暮(僕)
華沙々木
(カササギ)

「リサイクルショップ・カササギ」を共同経営。
住職に南見家からタダ同然で手に入れたオーディオセットを売りつける。住職から蜜柑狩りのお誘いがある。

南見菜美
(みなみなみ)
暇が有れば店に入り込んでいる。

黄豊寺住職
小僧 立花宗珍

20年も前に美人の妻を亡くし、結婚記念日に買った貯金箱を大切にしている。
・宗珍を養護施設から引き取っている。

<アポロンの
ナイフ>
著者 有栖川有栖
有栖川有栖 作家、火村の助手。
火村英生 英都大学准教授、犯罪社会学者。
関係者

・尾木紫苑(しおん) 八尾市女子高生殺害事件被害者、16歳。
・座間剣介 紫苑の殺された近くで喉を刺されて死亡の高校生、18歳。
・坂亦清音
(サカマタキヨネ) 東京都下の通り魔殺人の容疑者。アポロンのように美しい顔立ち。
・安納守之
(あのう) 座間剣介の遺体の通報者。
・大阪府警捜査一課 船曳
(ふなびき)警部、鮫山警部補、森下刑事。

<義憤>
S署の刑事。結城麗子とコンビ組んで半年、被害者担当。
結城麗子 S署の刑事。まあまあ美人の範疇に入るも、四六時中眉間にしわを寄せ、ムスッと押し黙っている。世の中の人間すべてを嫌っている。
堀田知恵 大事な一粒種の晋太郎(5歳)を殺され、自分も顔には一生の傷を負わされる。以前にも二件焼印を額に押されている。
田丸亮介 有力容疑者。フリーター、20歳。

物語の概要:

 2010年究極の短編ミステリ12編。日本推理作家協会賞短編部門受賞作、深水黎一郎「人間の尊厳と八〇〇メートル」を含む、全ての第64回候補作品を一挙掲載。推理小説関係受賞リストなども付いた推理年鑑。

読後感 

 過去1年間に発表された短編ミステリの中から、特に優秀だと判断された作品を収録したものと日本推理作家協会長東野圭吾氏が序で述べているとおり結構楽しめる作品で、読む本が見あたらなくて困ったときには絶対にお徳かも。
 さすがに12人の作家の作品と言うことで順番に読むのは抵抗があり、知った作家の作品をとりあえず読み始める。

<米澤穂信 満願> 
「満願」は最近話題の3大ミスマガ第1位と言うことで是非読みたかったが生憎図書館の予約はとても手が出ない位の予約。諦めて“満願”が収録されているこの本を読んだ。
 鵜川妙子の矢場英司殺しの動機が“だるま”と“家宝の掛け軸”がキーとなった展開に洞察力が鍵。弁護士となった私の初めての殺人事件に悔いが残る。“満願”とは果たして成就されたのか?さて誰の“満願”だったのか。

<辻村深月 芹葉大学の夢と殺人>
 工学部デザイン科の学生である私(二木美玖)と羽根木雄大は坂下研究室の仲間で付き合っていたが今は別れた。私の夢はイラストレーター、雄大の夢は医者になるべく途中変学を試みようと。
 殺人まで行ってしまう夢は果たしてどういう結末に。著者の鋭い感性がどうにもならない心境を巧みに伝えて読者を引き込んでいく。

<道尾秀介 橘の寺>
 寺で起こった泥棒?を巡り繰り広げられるミステリーであり、人情を巡る暖かでほっこりとするお話。

<有栖川有栖 アポロンとナイフ>
 東京都下の通り魔事件の容疑者が逃走中、大阪八尾市で起きた女子高生と男子学生の刺殺事件。果たして通り魔事件の容疑者の仕業か?火村の推察が冴える。
 少年犯罪に対する顔、氏名の公表が焦点。

<曽根圭介 義憤>
 僕の相棒の結城麗子のキャラは被害者にも強烈な言葉を放つも、その実気を遣っている面も。被害者堀田知恵と結城麗子の言動が強烈な意味合いを持って得体の知れない怪物となる。

 他にも気になった作品に<相沢沙呼 原始人ランナウェイ>が印象深い。最初は何のことかなと思っていると実は学園に潜む重たいテーマが背後に潜んでいた。
 
余談:

 序のところで「どの作家のファンでしたか」の問に東野圭吾が述べていること。よりバラエティに富んだ読書を求めて作家を特定しない方がいいとの考えと。
 一人の作家に生み出せる世界には限度がある。たまたま手にした本が自分の好みにぴったり合った、なんていう幸運は、そう簡単にはないと。
 そこでお勧めするのがアンソロジー。複数の作家の作品をまとめた本。
 なるほど。と同感して好き勝手に順不同で読み始めた。

背景画は、本作品の「満願」の章に関連するダルマのフォトを利用。

                    

                          

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