読後感:
感受性が豊かなだけに素のままに世の中を生きることの難しさを味わい、恋にも自然体で生きることで人を傷つけ自分も傷つく。 普通に暮らすことを願うために、会社の期待も受け入れず、周囲に波乱を巻き起こさせ、右往左往させてしまう。
やがて弱い者が次第に道を逸れたり、死を選ばせてしまう。
結果自分自身の変化をもたらされ、会社の希望する方向に向かうことに。
人間の幸福とはどんなところにあるのか、こんなシンデレラ的な人間に生まれた人間の運命は果たして幸せと言えるのか?
作品中に有名タレントの名前も挙げられて芸能界の女性のことも語られているが、まあそんな芸能界に魅力を感じない身としてはそれも人生と気楽に言えることに幸せを感じることも。
印象に残る場面:
◇ 黒川と後宮の会話:
(黒川)
「・・・・ あなたは彼女の存在によって、もうなんの夢も持てなくなってしまったということを気づかされたのに、気づかないふりをしたがっている」
・・・
(後宮)
「さっき夢なんて持ったことは一度もないっていったけど、いつか、いつかは持ちたいと思っているの。自分の仕事をとことんやった時に、はじめてつかめるものだと信じているのよ。もし夢が持てなければ、ぽかんと空を眺めて死ぬしかないじゃない!」
後宮は立ちあがって挑むように黒川を見つめかえした。「夢って最後につかむ幻よ。自分が死ぬってわかったとき、抱きしめたくなる、幻よ」
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