山本一力著 『だいこん』


                
2008-01-25



               (作品は、光文社 山本一力だいこんによる。)

                   

 小説宝石 2002年(平成14年)7月から2004年4月連載。
 2005年1月刊行

 山本一力(やまもといちりき):
 1948年高知県生まれ。旅行代理店、広告制作会社、コピーライター、航空会社関連の商社勤務などを経験し、97年「蒼龍」で第77回オール読み物新人賞受賞。2002年「あかね空」で第126回直木賞受賞。



主な登場人物:

安治 腕の確かな大工。酒を飲むとだらしなくなり、賭け事に負け、利息返済に追われる毎日となる。
みのぶ 妻。その日の生活を支えるため、そば屋に手伝いを頼まれる。料理の腕と客扱いにたける。
つばき

長女。小さい時からご飯を炊くと誰もが褒める腕前の持ち主。9歳の時、火の見番小屋の賄いを頼まれて足かけ9年、その時の才能をみのぶが見出し、大きくなったら飯屋を開かせたいと思う。

つばきは母親のみのぶと妹たちを手伝わせ昼と夜、ご飯を食べさせる店「だいこん」を始める。
さくら、かえで
伸助
(後、弐蔵と名乗る)
渡世人。賭場に安治を引き込み、借金の利息返済に苦しめる。つばきは両手の小指が欠けた嫌なヤツと毛嫌い。その実伸助はつばきの性格を可愛がり、何かと安治のことを気にかけている。深川を預かる焔魔堂の弐蔵と名乗る。



物語の大筋:

 一膳飯屋だいこんを切りもりするつばきの繁盛記。両親と妹たちは自分が面倒を見てきたという自負、商売の気配り、工夫、気性のさっぱりさ、人の目利き、まかせっぷりに秀でた才能を持つつばき。色々な苦難を乗り越えて「だいこん」を繁盛させていく。

読後感:

「あかね空」の感動的印象が強くて、なかなかそれを越える作品にあたらないと思うのはどうか? この「だいこん」という小説、結構面白いのだが、盛りあがりの所でもうひとつ物足りない感じがする。とはいえさすが火の見番小屋のくだりの話とか、賭場でのやりとり、鳶職の職人気質といったところは手慣れていて、安心して読めるのはさすがである。江戸気質というか、気っぷの良さが伝わってきてスッキリとする。


   


背景画は、岩手県の火の見櫓のフォト(インターネット)より。

                               

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