歌野晶午著
              『葉桜の季節に君を想うということ』


 
                
2015-06-25


 (作品は、歌野晶午著 『葉桜の季節に君を想うということ』 文春文庫による。)

              


 初出  2003年3月 単行本(文芸春秋刊)
 本書 2007年(平成19年)5月刊行。

歌野晶午(うたの・しょうご): (本書より)
 

 
1961年、千葉県生まれ。東京農工大学農学部卒業。1988年、「長い家の殺人」でデビュー。2003年に発表した本書「葉桜の季節に君を想うということ」で、第57回日本推理作家協会賞、第4回本格ミステリ大賞を受賞。おもなさくひんに、「死体を買う男」「世界の終わり、あるいは始まり」「女王様と私」「密室殺人ゲーム王手飛車取り」「ハッピーエンドにさようならを」「絶望ノート」「密室殺人ゲーム2.0」などがある。 

<主な登場人物>
 

成瀬将虎
(まさとら)
(俺)
妹 綾乃

なんでもやってやろう屋。ガードマン。探偵事務所に2年ほど勤めていたことあり。
・綾乃 2つ違いの妹。今は無職で同居している。

芹澤清 7歳年下の同僚。

久高愛子(くだか)
父親 隆一郎

清が好いている彼女。綾乃と同い年。
父親は殺された、“蓬莱倶楽部”を内偵して欲しいと将虎に。
・父親は有名企業の元役員。羽田倉庫管理の社員?ひき逃げで殺された?
“蓬莱倶楽部”から高額商品を買っていた。

古屋節子 “蓬莱倶楽部”の被害者。その場の雰囲気で何でも買ってしまう性格、60代半ば。借金のため蓬莱倶楽部の指示通りの役を。
麻宮さくら 地下鉄日比谷線の広尾駅でフラっとホームから落ちたところを成瀬に助けられる。その後将虎と付き合うように。
蓬莱倶楽部の人間

健康食品とか羽根布団とかを高額で売っている会社。
・呉田社長。
・村越社員。
・赤田社員。
・堀場香織。

戸島会

新橋の烏森口方面一帯を仕切るヤクザ組織。
探偵事務所時代、スパイとして将虎潜り込み指令受け。
・松永力 兄貴
・世羅元輝
 (世羅の娼婦 江幡京(みやこ)年上。)
・田辺賢太 俺と同い年。

安さん 俺がパソコン教室の講師をしていた時の生徒、72歳。飲み仲間。55歳の時フィリピンパブで知り合い結婚した妻との間に一人娘(千絵、17歳)が居るが、会いに行けない事情。

<物語の概要>(図書館の紹介記事より)

 ひょんなことから霊感商法事件に巻き込まれた“何でもやってやろう屋”探偵・成瀬将虎。恋愛あり、活劇ありの物語の行方は…。新本格第一世代の雄が騙しの極致に挑んだ、最後まで目が離せない長篇。


<読後感>

 あれっと思ってしまうラスト。だまされたとしか言いようがない。でもどうしてそう思いこんでしまっていたのか。本作品を見せてもらったときの断りが、最後は絶対にみないでと。
 何の予備知識もなく読み進んでいく内に読者がかってに想像を働かせて物語の状況を空想している。
 まさに小説とはそういうものであることを逆手にとられて、最後の方に来て、おやっと思ってしまう。ちょっと時代が違うんじゃないかと。いつのまにそんなことになってしまっていたのかと。
 
 原稿を書くため覚え書きを記していたので振り返ってみてもそのような記述が出てこない。どうもしっくりこないなあと、また読み返すことに。
 ここで何がおかしいか記すことは作品の興味を損ねてしまうので止めておくことに。
 しかしやられたという気持ちが後々残ってしまった。

   
余談:
 この題名は何だと想う。著者の名前も知らなかったのでなおさら。

             背景画は本書にも話題の霊感商法に関連?して健康食品がらみをイメージして。             

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