冲方丁 『十二人の死にたい子供たち』



              2020-04-25


(作品は、冲方丁著 『十二人の死にたい子供たち』      文春文庫による。)
                  
          

 本書 2018年(平成30年)10月刊行。

 冲方丁
(うぶかた・とう)(本書による)  

 1977年、岐阜県生まれ。96年、「黒い季節」で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビューする。2003年「マルドゥック・スクランブル」で日本SF大賞、10年「天地明察」で吉川英治文学新人賞、本屋大賞、舟橋聖一文学賞、北東文芸賞を受賞し、第143回直木賞候補となった。12年、「光圀伝」で山田風太郎賞を受賞。16年、「十二人の死にたい子供たち」で第156回直木賞候補。他の著作に「ばいばい、アース」「微睡みのセフィロト」「オイレンシュピーゲル」「もらい泣き」「はなとゆめ」「破蕾」などがある。漫画の原作、小説以外の分野でも才能を発揮している。

主な登場人物:

[集いに登場の12人の子供]たち
1番 サトシ 14歳の少年。サイトの管理者。1番用のベッドには別の人物がベッドに横たえられていた。ゼロ番の少年とする。
2番 ケンイチ スーツ姿の少年。
3番 ミツエ ピンク色の派手派手しいゴシック衣装の少女。
4番 リョウコ 飾りっ気のないジーンズ姿。帽子とマスクをしている。
5番 シンジロウ ハンチング帽の17歳。毛髪が一本もない、失われた感じ。
6番 メイコ ピンク色の髪留めの少女。
7番 アンリ 黒いジャケットにタイトスカート、長い黒髪の黒服の少女。
8番 タカヒロ 愚鈍を絵に描いたような顔つきの少年。どもり気味。
9番 ノブオ 眼鏡の少年で丸坊主。
10番 セイゴ 派手なTシャツの上にボタン付きシャツ。ごつい体躯。たばこを吸う。
11番 マイ 病気の少女。金髪に日焼け肌。
12番 ユキ 小柄な少女。間延びした調子で挨拶。黙しがち。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)

 かつて病院だった建物に集う、少年少女たち。彼らの目的は安楽死をすること。だがそこにはすでに、ひとりの少年が横たわっていた…。俊英・冲方丁がデビュー20年目にしてはじめて書く、現代長編ミステリー。

読後感:

 サトシという14歳の少年が自殺を呼びかけた集いで病院の廃墟で起こる、出来事から12人の少年、少女の間で巻き起こる様々なやり取りが繰り広げられる。
 各自色んな思いで集まっていたが、12名の筈なのに、先行して一人の少年がベッドに横たわっている。死んでいる?様子。薬の箱が転がり、裸足の状態である。

 皆は誰が導き入れたのか、さらに次々と不思議な現象が語られ、次第に12人の少年、少女の性格や人となりがあぶり出されていく。
 推理小説のような展開には、登場人物が12人と大勢であること、時間系列の煩雑さ、事象の複雑さで良く理解できずに、ひたすら読み進むしか。
 この場を仕切るシンジロウ、アンリの存在と発言に、他の人間がとりとめない発言やら、勝手な発言で時間が経っていくばかり。集いの管理人役のサトシは平静に受け止め、中立的立場。

 推理は色んな人間の発言を整理したり、発言をヒントにシンジロウが推理を組み立て、ようやくゼロ番の少年の存在を明らかにしていく。
 そんな中、各自が語るどうしてこの集いに参加することにしたかの理由を話すところでようやくおのおのの苦悩が分かりだし、推理の結末が分かり、その後この集いをどうするかがラストに展開する。

 果たしてこの小説の狙い所はどこにあったのか。自殺志願の子供が後を絶たないこの世の中に考えさせられる課題が投げかけられている。


余談:

 ・たまたま本作品を読んでいる途中で、1月31日(土)テレビで本作品の映画をやっていた。やはり読み終わってから見ることにして録画をした。
  ドラマは原作に沿ってほぼ忠実に描かれているが、まあミステリーを主眼に描かれているようだが、果たして映画を見る観客にとってすんなり理解できるのかなあと。
 お金を払ってみたいとも思えないのは自分だけだろうか。じんとくるものがなかった。
 ・第156回直木賞候補と言うことで論評を見たら、あまり好ましくないことばかり。やっぱりなあの感。
 

背景画は、自然いっぱいの素材集がErrorとなって消失してしまったので、背景素材無料のものからに。

           
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