読後感:
睦ツ代村という小さな村に潜むおそろしさが背筋をそっとなでていくような戦慄を感じさせる。織場由貴美という村を出て東京でモデルや女優、歌手として大成とまでは行かないまでも自分の限界を見たが周囲はさらに上を望み、失敗して母の死に疑問を抱き、村に戻ってきてなしたことは・・。
涌谷広海という8つも年下の高校生に近づいてきたのは何故か? 村への復讐というその真意はどこにあるのか。広海と由貴美の交わりの真意はどうか?広海の気持ちの高ぶりは読者にすんなりと伝わってくる。そして広海とは母親同士の、許嫁を考えている織場門音との関係は、白馬達哉というドラ息子の存在も含め、好かれていても由貴美とのことで頭がいっぱいの広海にはうっとうしい存在になる。
ミステリアスな話と恋愛の話がおり混ざり、村の秘密のこと、人柄のいい父親飛雄の存在も、物わかりのいい父親かと思いきや、やはりというか村の隠蔽体質そのものの様相も見せ、はたしてどういう結末が待っているのか。
途中、白馬達哉の門音に対する暴行はなんだか恐ろしい性格を秘めていて、その彼が、由貴美に会わせろと広海に頼む様子を見るにつけ、広海と由貴美が水根湖で会っていたときに現れ、逆上して襲いかかる様子は先の門音への暴行を知っているだけにぞっとしてしまう。
しかし、後でわかることだけれど、白馬達哉の行為は本当は・・・。
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