辻村深月 『かがみの孤城』



              2021-05-25


(作品は、辻村深月著 『かがみの孤城』        ポプラ社による。)
                  
          
 初出 
 本書は「asta」2013年11月号から2014年10月号まで連載されたものに大幅に加筆修正。
 本書 2017年(平成29年)5月刊行。

 辻村深月
(つじむら・みづき)(本書より) 

 1980年2月29日生まれ。千葉大学教育学部卒業。2004年「冷たい校舎の時は止まる」で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。「ツナグ」(新潮社)で第32回吉川英治文学新人賞を、「鍵のない夢を見る」(文藝春秋)で第147回直木三十五賞を受賞。他の著書に「凍りのくじら」「ぼくのメジャースプーン」「スローハイツの神様」「ゼロ・ハチ・ゼロ・ナナ。」「島はぼくらと」(以上講談社)、「本日は大安なり」(角川書店)、「オーダーメイド殺人クラブ」(集英社)、「ハケンアニメ!」(マガジンハウス)など多数。 

主な登場人物:

[城に通う7人の子]
(女の子)

安西こころ

雪科(ゆきしな)第五中学の生徒、中一。あの日以来学校に行けないでいる。共働きの両親は、スクール(不登校の子どもが学校の他に通う場所)に行くよう勧めたがるも行けないでいる。
アキ(晶子) ポニーテールの女の子、中三、しっかり者。
フウカ(風歌) 眼鏡の女の子、中二。高い声優声。
(男の子)
マサムネ(政宗) ゲーム機の生意気そうな男の子、中二。
スバル(昴) そばかすの物静かな男の子、中三。
リオン(理音) ジャージ姿のイケメンの男の子、中一。
ウレシノ(嬉野遙) 小太りで気弱そうな男の子、中一。
“オオカミ”さん

「願いが叶う城」の狼面の少女。
ルール:城が開くのは今日(五月)から三月三十日まで。‘願いの叶う鍵’を見つけたヤツ一人だけが、願いを叶える権利があると。

伊田先生 安西こころの担任。こころの気持ちを理解してない模様。
真田美織

こころと同じクラスの活発そうで気が強そうな女の子。
クラスの委員長。こころのことをいじめていて、そのことでこころは学校に行けなくなる。

池田忠太 こころと同じ小学校から第五中学に。こころのことが好きだったらしいが、真田美織が忠太を好きになり、こころに「お前みたいなブス、大嫌いだから」と告げる。
東条萌 こころのクラスに転入してきた女の子。こころの席の隣、そして二軒隣に住み、仲良くなるが、こころが不登校になってからはポストに連絡票とかの資料を投函するだけに。
喜多嶋先生

フリースクールの「心の教室」の先生。
こころの気持ちを理解してくれる信頼の先生。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)

 どこにも行けず部屋に閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然、鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先の世界には、似た境遇の7人が集められていた。胸に秘めた願いを叶えるため、7人は隠された鍵を探す…。

読後感:

 学校に行けない子供たちが鏡を通して城に集まる。主人公の安西こころは、その中でもなかなか馴染めないでいる。五月から始まり、三月までの月ごとに子供たちの仲は次第に仲間意識が芽生えるようになり、互いの事情もわかり合えるようになっていくが、展開はすんなりとはいかない。

 みんながいれば学校に行けると、学校で会えることを信じて登校したこころたちを待ち受けていたのは衝撃の出来事だった。
 物語は子供たちの気持ちが赤裸々に変化していく描写が読者を引きつけてやまない。そして親や先生たちの子供に対する理解、思いやりがいかに子供の成長に大切かを知らされることに。

 ラストに近づくに従い、願いが叶う鍵を見つけられるのか、そしてただ一人しかかなえられないこと、かなえられた後には今までの城の中でのことの記憶は消えてしまうことのルールにどう対処するのか。
 どんな結末が待っているのか、固唾をのんで読み進んでいくことに。


余談1:

 グリム童話をしっかり知っていたらヒントが判ったのに?。「赤ずきんちゃん」と「狼と七匹の子やぎ」・・う〜ん!!

余談2:

 本作品の文庫本発売の全面新聞広告にあった。8冠、累計100万部突破。
 ・2018年本屋大賞
 ・オオサマノブランチブック大賞2017
 ・ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR 2017
  ・埼玉イチオシ本2017
 ・第11回神奈川学校図書館員大賞
 ・熊本県学校図書館大賞2017
 ・啓文堂書店文芸賞大賞
 ・第6回ブクログ大賞小説部門大賞 と。
 著者の言葉 「この本があなたの居場所になりますように。」

背景画は、自然いっぱいの素材集がErrorとなって消失してしまったので、背景素材無料のものからに。

           
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