読後感:
北海道は函館とそして川汲峠(カックミトウゲ)を越えた函館の東、南茅部(カヤベ)の昆布漁を主にして暮らす漁村で繰り広げられる人間模様が第一章、第二章で展開する。
母親が異人と結婚し生まれた目の色が違う薫と孝志の姉弟の運命は、それぞれ性格も生き様も異なるけれど、姉弟につながる想いはお互い理解しあえるもの。赤木家での生活では子供も、自分も守れないと感じた薫は、広次だけが頼りで赤ん坊を連れて函館に身を寄せようと決意し、悲劇を迎えることに。
漁村での生活ぶりはいかにもの様子が溢れ、海の香りと土の感触を感じさせるに十分である。一方で函館の街並みの様子は、漁師の町とは対照的に一見華やいだ雰囲気を感じさせ、かって旅行で行った函館の雰囲気を思い起こさせるもので感慨深いものであった。
薫と邦一との関係、薫と広次の許されない関係、はたまた孝志のどうしようもない男であるが、でも優しさを秘めて姉の薫を思う気持ちも分かる気がして、捨てがたい。
さて、第三章になると美輝と美哉も大きく成人すると共に、仲の良かった姉妹もそれぞれ異なる道を求めて進んでいくが、それを見つめるタミは孫達の母親であった娘の薫の血を引いていることにうろたえることになる。それは自分の血であることも・・・・。
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