主な登場人物:
幸田弘之 |
北川とは同じ大学で10年の付き合い。半年前に関西に移ってきて勤め先は倉庫会社、住まいは吹田。 人間のいる土地は全て嫌いという、来年30歳。 子供の頃の暗い記憶にさいなまされている。 モモへの思いが深い。 昔かかわった青銅社の追跡からも逃れる必要あり・・・。 |
北川浩二 |
千葉船橋出身、大阪に8年、運送会社勤務。 幸田を誘い、住田銀行の金塊強奪を計画する。おっとり系の奥さんと子供とマンション暮らし。 細心の心遣いと大胆さ、冷徹さを併せ持つ男。 |
北川春樹 |
北川浩二の弟。 高2の半ばにズッコケ、グラツク春樹を北川が大阪に呼出し、アルバイトで幸田と同じ倉庫会社に。 バイクに凝っている。 |
野田 |
オフコンのアフターケアを仕事にするサラリーマン。 ボルボを乗り回す。 |
モモさん |
爆弾のエキスパート。 東京生まれの韓国人、いわくつきの男、公安、北、南から追われている。幸田としか心を開かない。 |
ジィちゃんこと岸口順三 |
エレベータサービス会社勤務。住田銀行にも出入りしている。
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物語の展開:
銀行本店の地下深く眠る6トンの金塊を奪取せよ! 六人の仲間で始めた計画には不測の出来事がつぎつぎに起こってくる。
読後感:
高村薫作品の初期作品であるが、今までに「マークスの山」から「新・リア王」までを読んできて、初期作品に戻ったということで、著者の作家としての出発点を知る上で興味深かった。 やはりこの著者の原点のようなものが感じられる、内容のあるものが後に残った。
まずディテールの素晴らしさと迫力、そして人の生き方のむなしさというか背後にくっついている諸々を背負った人物像がいい。
感動作「レディ・ジョーカー」の仲間達が再現されたようで、わくわくしながら読み進んだ。 泥棒仲間であるが、何故か応援したくなるような人情を持ち合わせていたり、非常さの下に思いやりが隠されていたり、やはりこの著者は好きな作家の最右翼の一人だ。
解説(長谷部史親)の経歴紹介も興味のわくもので、作品の根底にあるものがかいま見られておもしろかった。
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