(作品は、遠藤周作著『ルーアンの丘』PHP研究所、 遠藤順子著『夫の宿題』 PHP研究所による)
本書は大きくは、「赤ゲットの仏蘭西旅行」と滞仏日記(1952年9月から1953年1月)の二部構成からなっている。 「赤ゲットの仏蘭西旅行」は昭和26年11月から翌年7月まで「カトリック・ダイジェスト」に連載。 本書は、1998年(平成10年)9月刊行 遠藤順子著「夫の宿題」: 1998年(平成10年)7月刊行 |
|
読後感: 断然面白いのは、前半の戦後初めて留学生(27歳で)としてフランスに船で、客船の最下等のキャビンに押し込まれ、フランスマルセーユまでの船旅での出来事と、大学が始まる秋までを、北仏のノルマンディーのルーアンにあるロビンヌ家で過ごした3ヶ月間の報告である。 ◇遠藤順子「夫の宿題」 このエッセイは遠藤周作の夫人、遠藤順子さんが夫とのことについて、その出会い、結婚そして何度にもおよぶ病気との闘い、人との出会い、キリスト教との関わり、日常の諸々のことなどが綴られている。そして遠藤周作が病を克服して「沈黙」という作品を書くことに病をも乗り越えられたこと、最後の作品となった「深い河」が本当に神様のおぼしめしで作品を書く時間を与えられたことを知った。 |
|
◇印象に残る言葉: 遠藤周作著「ルーアンの丘」より ・日本を出発の時「近代文学」の佐々木基一氏の言葉(座右の銘に) ・解説で作家加藤宗哉氏の言葉: 三十年間遠藤先生の近くに過ごしながら、私はフランス留学時代の話をほとんど聞いたことがない。 |
余談: 著者がどんな状況のもとにあり、どういうことを考え、どんな人となりであったかを知ると、読む作品自体にも愛着が沸いてくる。 |
|
背景画は本書の表紙を利用。 |