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　　　　　　　　　　　　　　2019-06-25

（作品は、住野よる著『よるのばけもの』　　　双葉社による。）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　

　　

　　本書　２０１６年（平成２８年）１２月刊行。書き下ろし作品。

　住野よる：（「また、同じ夢を見ていた」より）　
　
　大阪在住。高校時代より執筆活動を開始。デビュー作「君の膵臓をたべたい」がベストセラーとなり注目を集める。パピコが大好き。

主な登場人物：

安達五月＜あっちー＞僕、俺	３年２組の中学生。夜になると化け物になる。シャドーの分身の術が出来る。夜の学校に来て矢野がいることを発見。矢野は化け物の姿にも驚かず。夜な夜なやってきて矢野と会話する。
矢野さつき	とろくて、空気が読めなくて、声が大きく、しゃべりかたが独特で猫背。クラスの仲間からは無視され嫌がらせをされるも、にやにやと笑って動じていない風。夜の学校にいつもきている。
緑川双葉	矢野と同じくらい空気を読まない。普段は感情をあまり表に出さない、ひっそりとしたクラスの一員。矢野は緑川に苦手意識。
笠井	オシャレで僕の夜中に彼女の家に忍び込もうとして補導されたことがある。矢野のこと心底嫌っているが、軽くて感情的でも、きちんと分別がある。
工藤	１年生から同じクラスで僕と仲良しの女子。僕の隣の席。愚痴や嫌なことも笑顔で包んで話せる強い奴。
元田	部活のグローブを置き忘れ、夜学校に忍び込み怪獣を見たと皆には信じられず再び挑戦しようと・・・。
井口	誰にだって笑顔を振りまく優しい子。自ら積極的に矢野への悪意を表さない奴。2年生の時隣の席。矢野僕に曰く、「いぐっ、ちゃんが好、きなんだね」
中川ゆりこ	顔も性格も派手で、うちのクラスの男どもからも人気。自分より劣っているとみなした人を傷つけることを怖がらない人間。俺中川のこと前から苦手。

能登	保健室の女先生、33歳。クラスに人気。

物語の概要：（図書館の紹介記事より。）

　夜になると、僕は化け物になる。ある日、化け物になった僕は、忘れ物をとりに夜の学校へと忍びこんだ。誰もいないと思っていた夜の教室。だけどそこには、なぜかクラスメイトの矢野さつきがいて…。　　　　　　　　　　　　　　

読後感：

　何故か夜中になると黒い粒の波が僕の全身を覆い、六つの足を持つ獣、四本の尻尾、頭部にギョロリとむいた八つ目玉のばけものに。大きさは自由に変身でき、速く走れる。そんな自分が学校の3階のクラスの教室に忍び込むと、驚いたことに矢野さつきがいた。声であっちーと見破られ、言葉のやり取りが行われることに。

　教室での矢野は皆から無視される存在だが、おかまいなし、その言動が騒動を引き起こす。あっちーこと俺は他の仲間からの外れることを嫌い、矢野は出来るだけ見ないようにしているが、夜の教室では疑問に思うこと、クラスの子の様子など取りなすようなことを行う。
　矢野のことについては、でもよく分からないが、どういうつもりなのかを色々考えると矢野はやはり頭がおかしい奴なのか、ひょっとしたら必死に自分なりに考えて行動し、生きているんだとしたらと心を痛める。
　矢野とあっちーのやりとりがおもしろい。著者のこういう気持ちをおもんばかる描写は先の「君の膵臓を食べたい」で感じた印象と相通じるものがあり、ぐっとくる。

　矢野が能登先生の誕生日祝いを教室に持ってきたことで起きたハプニング。俺がこのクラスの一員として正しい行動で飛んできたそのものを踏みつけた。その時の矢野の気持ちはいかがなものか。その夜謝ろうと思い、教室に現れたときの矢野とのやり取りが胸に迫る。

「人間の姿派？今のその姿、派？」「どっち、が本物な、のかなって」「私はどっちもな、いよ。どっちもな、い、昼も夜、も別にない。私はなん、にも違、くない。周りが違、うだけ。・・・」
「あっちー、くん、は、怖くない、よ」「あっちー、くんは見、てくれるか、ら」
「あっちー、くんは私が怖、い？」の矢野の言葉が胸を刺す。
　そして僕が思うことは。
　矢野さんは、僕に怖がられていることを悲しいと言った。それがどういうことか。
　僕なら誰から怖がられたら悲しいか、誰から近づきたくないと思われたら、悲しいか。考えてみれば、想像がついた。信じている人だ。
　それから工藤や笠井とのやりとりをして自分の立ち位置をしっかりと決めていなかったことに考えを到らせる。果たしてどんな風に・・・。
　

	余談：　著者の住野よるのことについて調べてみたら。。。・著者は女性と思っていたのに男性だった。・ペンネームの由来が：教室のすみっこにいるような子の夜に創造性があるはずだという意味が・・・。・また、デビュ－したきっかけの話もおもしろい。
	背景画は、自然いっぱいの素材集がErrorとなって消失してしまったので、背景素材無料のものからに。