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住野よる著 『腹を割ったら血が出るだけさ』









                  
2022-11-25

(作品は、住野よる著 『腹を割ったら血が出るだけさ』      双葉社による。)

             


本書  2022年(令和4年)7月刊行。

住野よる本書より

 高校時代より執筆活動を開始。2015年「君の膵臓をたべたい」でデビュー。同作で16年「本屋大賞」第2位、Yahoo!検索対象<小説部門>など、数多くの賞を受賞した。著書に「また、同じ夢を見ていた」「よるのばけもの」「か「」く「」し「」ご「」と「」」「青くて痛くて脆い」「この気持ちもいつか忘れる」「麦本三歩の好きなもの」シリーズなど。ライブハウスと書店が好き。

 主な登場人物:
[高校生]
糸林茜寧(あかね)

高校生。小楠(おぐす)なのかの「少女のマーチ」の主人公に自身をなぞらえて生きている。「この本が私の支え」と。
・関口美優
(みゆ) 茜寧の親友。寂しがり屋。
・菊池晋
(しん) 茜寧の恋人。

上村竜彬(たつあき) 茜寧と同じの高校生。「インパチェンス」の後藤樹里亜のアイドルとしての失敗面を暴くことに熱意。
[ライブハウススタッフ]
宇川逢(あい)

女装的な服装で、ライブハウスのスタッフ。過保護の逢。
・藤野命(みこと) 同室での暮らしをしている。

[インパチェンスメンバー] 意志があって、負けず嫌いな奴がほしいと、集められた7人のグループ。
高槻朔奈(さくな) リーダー。
後藤樹里亜(じゅりあ)

映画化された「少女のマーチ」の作詞をした。
自身はアイドルは嫌っている。

・和歌山蘭 最年長。見た目派手。
・交野杜和子(かたの・とわこ) エリート。
・江迎麻希(えむかえ・まき) 一番人気。人なつっこい。
・橋本碧生(あお) 歯に衣着せぬ対応。
・飯塚愛唯(あい) 最年少、熱血アイドル。

[書店員]

・西尾史和(ふみかず)
・上村耀子
(ようこ)

小楠なのか(おぐす) 小説家、「少女のマーチ」の作者。
 物語の概要:(図書館の紹介記事より。)
 
 茜寧は、友達や恋人に囲まれ充実した日々を送っている。しかしそれは、偽りの自分を演じ続けるという苦しい毎日だった。ある日、茜寧は愛読する小説の登場人物、〈あい〉にそっくりな人と街で出逢い…。いくつもの人生が交差して響き合う、青春群像劇。
 
 読後感:
 
 高校生の糸林茜寧(あかね)は、小楠(おぐす)なのかの小説「少女のマーチ」の主人公に自身をなぞらえ、 あいという、 これも作品の中の人物に「愛されたい」との思いから、 自身の想像の世界にどっぷり。そんな中、現実の世界でたまたまCDショップで出会った、女装的な姿の宇川逢(あい)に「少女のマーチ」の“あい”とそっくりであると認め、近づく。

 かたや、ライブハウスのスタッフである宇川逢は、アイドルグループ「インパチェンス」の後藤樹里亜
(じゅりあ)と付き合っているが、茜寧に対して興味を抱き、「少女のマーチ」を読んでみるも、理解はいまいち。
 物語は茜寧の高校生活、アイドルグループの「インパチェンス」のライブの様子や、メンバー個々のやりとり、茜寧のバイト先の書店の状況と、めまぐるしく、まさに群像劇の様相を展開する。

 描写は、個々の人物の心情、人となり、外からの評価が、語られながら展開するので、何なんだと思いながらの読書に。
 しかし、後半に向かって、ぐいぐいと引き込まれる展開が待っていた。
 後藤樹里亜の、アイドルとしての将来の道を見つける様子、宇川逢の戸惑いと決断、そして問題の茜寧の、最後の行動がどこに向かうのか。

「愛されたい」と願う、茜寧の願いが起こす波紋が、物語の終焉を迎えるとき、クライマックスでの衝撃が読者を捉えて放さない。
 


余談:

 これまで読んできたとの違い「君の膵臓をたべたい」「また、同じ夢を見ていた」「よるのばけもの」「青くて痛くて脆い」「麦本三歩の好きなもの」シリーズに戸惑う。
 なかなか感情移入が出来ない状態が続いたが、ラストまで我慢しながら読み進めていくに、一挙に引き込まれる事態に。さすがかと思わせる出来だった。 

 

                    

                          

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