読後感:
読み出すキッカケが高村薫の「冷血」の作品中、医師の一家四人家族殺人事件の被害者、中学1年の早熟(?)の女子学生が読書好きで読んでいたという文章。この女子学生の人物像に惹かれ、どんな内容か読んでみたくなった。
果たして、生まれは卑しいが、誇り高い心の持ち主であるジュリヤンの恋多い?神学生の出世物語。
でも本当のところフランスのナポレオン亡き後の時代、王政復古の時代背景を知っていないと小説の面白さが半減するという解説を見て、よく理解して読むと、展開がおもしろそうだ。
ともあれジュリヤンとレナール夫人との恋愛ゲーム、そしてラ・モール嬢(マチルド)との恋の駆け引き。気位の高い毒舌と心変わりの激しいマチルトお嬢さんと方や身分の低さ、引け目を感じては色々揺れ動く感情に左右されながら、貴族社会を泳いでいくジュリヤンの頼もしさ?は恋愛小説としての面白さという点からも結構おもしろいのでは。
最後まで読むとこの作品の良さが分かった気がしてくる。そして解説に記されている事柄がなるほどと理解できてくる。やはり読み継がれている作品であることがわかった。
解説を見てこの作品のベースというかヒントになっている実際の事件のこと、歴史上にもからむ色々な問題があると言うことを知って繰り返し読む必要があるなあと思った。
ラストのジュリヤンの結末、現在ではそんな結果はあり得ないことと思うが、なんとも意外なように思われた。それにしても、ジュリアンの奇異な行動、マチルドの移り気とも言える特異な行動、レナール夫人のいちずさ、表題の“赤と黒”の意味を考えると心に残る作品であったかなあ。
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