新川帆立 『元彼の遺言状』



              2022-03-25


(作品は、新川帆立著 『元彼の遺言状』    宝島社による。)
                  
          

 
本書 2021年(令和3年)1月刊行。
      単行本化に当たり、第19回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作品、
    新川帆立「三つ前の彼」を加筆修正。


 新川帆立
(しんかわ・ほたて)(本書による)
 

 1991年生まれ。アメリカ合衆国テキサス州ダラス出身、宮崎県宮崎市育ち、現在東京都在住。東京大学法学部卒業後、弁護士。第19回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、本作でデビュー。

主な登場人物:

剣持麗子
兄 雅俊
(まさとし)
父親 雅昭
(まさあき)
母親 菜々子

海外系大手法律事務所(山田川村・津久井法律事務所)で弁護士、28歳。年収2千万の、お金に執着する楽天家。篠田の依頼を受け、代理人として活動を始める。
・兄 雅俊 厚生労働省で新薬の認可関係の部署に。
    婚約者優佳
(ゆうか)
・父 経済産業省で石炭に関する落ち目の部署に。
・母 家の中でじっと耐えて暮らす人生。

[森川家]の人々

森川金治(かなはる)
妻 恵子
兄 富治
(とみはる)
弟 栄治

大手製薬メーカー、森川製薬の社長。質実剛健。
派閥争いで社長派と専務派がある。
・副社長:平井真人(経営難に喘ぐ森川製薬の立て直しに送り込まれた人物、40歳前後。)カリスマ風貌。
・富治 白血球を作れない難病との暮らし。経営にも、事業にも一切タッチなし。財産、相続権全てを栄治にあげちゃう。
・森川栄治 大手製薬メーカーの御曹司、30歳。1月30日未明永眠。麗子の大学の先輩。在学中3ヶ月程度付き合って別れた。
遺産に関しての奇妙な遺言状を残していた。

森川銀治

金治の弟。 動画投稿の収入で生活。
栄治とも女好きで家政婦(美代)を妊娠させ家から追い出される。

森川真梨子
夫 定之
息子 拓未
(たくみ)
   妻 雪乃
娘 沙英
(さえ)

金治の姉。
・定之 森川製薬の専務。新規事業や新薬開発に意欲的。
・拓未 若くしてキレ者、野心家。
・雪乃 年齢不詳の美人。栄治の恋人だったが、栄治がうつ病になり、拓未に乗り換える。
・沙英 栄治の元カノという20代半ばの女性。

篠田

麗子の大学のゼミの先輩。栄治とも交友が深かった。
麗子に栄治の代理人として死の究明と遺産相続者としての名乗りを依頼する。

村山権太 森川栄治の顧問弁護士。
津々井 山田川村・津久井法律事務所の創設者で剣持麗子の雇い人。森川金治社長が顧問弁護士を解任して、津々井事務所に栄治の遺言状の無効を依頼する。
原口朝陽(あさひ) 森川栄治の元恋人。信州総合病院の看護師。愛嬌のある女。
浜田医師 信州総合病院の医師で、栄治の主治医。

堂上先生
妻 真佐美
息子 亮

軽井沢の森川の屋敷の隣に住む獣医。森川の屋敷ではバッカスという犬を飼っている。
・妻 栄治の元カレリストにあり。
・亮 4〜5歳の男児。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)

 第19回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。 「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」。 奇妙な遺言状をめぐって、おカネ好きの敏腕女性弁護士が活躍。 前代未聞の遺産相続ミステリー。

読後感:

 大手製薬メーカー森川製薬の御曹司森川栄治が奇妙な遺言状を残し、亡くなる。 遺言状には「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る。特定できない場合、遺産はすべて国庫に帰属させる」と。そこで一週間前に栄治と会ったという交友のある篠田が、インフルエンザをうつしたのが原因と剣持麗子に代理人として交渉するよう依頼することで物語は展開する。

 森川製薬の内情はなかなか複雑、その人物キャラがどんどん犯人捜しに絡んできて、興味が尽きない。剣持麗子の高飛車な女性像と時に優しさを匂わせる反面キャラも楽しい。
 犯人像は決まったかに見えたのに、どっこい意外な展開に引き込まれてしまった。


余談:

「このミステリーがすごい」大賞受賞作ということからか、 図書館の予約を見たらすごい数だった。その選考評価を見たらやはり登場人物のキャラの良さを評価するのが多かった。納得。
背景画は、自然いっぱいの素材集がErrorとなって消失してしまったので、背景素材無料のものからに。

           
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